猫が飼い主の腕に抱きついてくる時の心理5つ

猫が飼い主の腕に抱きついてくる時の心理5つ

愛猫が突如、腕に抱きついてきたという経験はありませんか?抱きつきには、甘えるように抱きつくこともあれば、攻撃的なときもあります。謎の多いこの行動にはどのような想いがあるのでしょうか?今回は猫が腕に抱きつく理由についてご紹介いたします。

離さないからね!猫が腕に抱きついてくる理由

抱きつく猫

猫は素っ気ない態度をとりながらも、時々妙に甘えたような行動をとることがあります。そのひとつが腕に抱きつく行為です。普段はクールな愛猫が、忙しいときに限って腕をがっしりとホールドしてくる様子は戸惑いながらも幸せな瞬間といえますね。そして、そのしがみつき方も様々なものがあります。

ただ抱きつくだけのときもあれば、同時に甘噛みをしたり蹴りを入れたりと、猫の行動には多くの謎があります。これらの行動には猫のどのような気持ちが込められているのでしょうか?猫が飼い主さんの腕にしがみついてくる理由について、いくつかご紹介いたします。

1.甘えている

甘える猫

飼い主さんの腕に抱きつく行動を、冒頭で「妙に甘えたような行動」と表現しましたが、本当に甘えたいという気持ちからこの行動をとっています。特に甘えん坊な性格で、子猫気分が持続している猫は成長しても母猫の温もりを求めます。飼い主さんの腕に抱きつくことで、母の温もりを思い出し、安心することができるのです。

2.遊んでいる

遊ぶ猫

母猫は、我が子が生後6ヶ月になるまでに、猫として生きるためのスキルを教育していきます。猫は本来単独で生活する動物です。群れを成す犬とは異なり生後半年もすると、子猫は母猫やきょうだい猫たちと別れ、独立します。そして、厳しい野生の環境を生き抜かなければなりません。

そこで母猫は、狩りの訓練の導入として自らのしっぽにじゃれさせる遊びを取り入れます。この遊びから、子猫は動くものを見ると自然と体が反応するようになります。このとき、獲物を捕える動作として、抱きついたと同時に噛み付いたり蹴りを入れることも学習します。もちろん、母猫やきょうだい猫に対しては本気で噛み付くことはありません。

猫は生後2週~3ヶ月頃までの間に、母猫との遊びやきょうだい猫とのじゃれ合いを通して力加減を学びます。この時期は多くの経験を積む中で猫らしさを学び、吸収する貴重な時期です。この時期を「社会化期」といいます。

社会化期に力加減を学ぶ

社会化期に力加減を学んだ猫は、飼い主さんとの遊びの中でも力加減をすることができます。幼い頃の遊びのような感覚で、抱きつきからの甘噛み攻撃をしてきてもほとんど痛くはありません。しかし、母離れやきょうだい離れが早すぎた猫は、社会化期に大切なことを学ばずに成長してしまいます。すると、単にじゃれているつもりでも、つい力が入りすぎてしまうことがあるのです。

また飼い主さんも、子猫の反応が面白いからと手や足を使って遊ぶことを習慣化してしまうことで、後に怪我をしてしまう恐れがあります。社会化期に思うように学習ができなかった猫と暮らす飼い主さんは、愛猫の思うままにやらせてばかりではいけません。遊びの中で、爪を立てて抱きつかせたり、噛みつきや蹴りをコントロールさせることが重要です。

3.狩猟本能から獲物を狩っている

獲物を狙う猫

先ほどのじゃれ合いよりもエスカレートした状態が、本気で狩りをしようとしているモードに突入していることです。いわば、しっぽを使った訓練よりも実践に近く、本格的に獲物を狩る体勢に入っています。ネコ科の野生動物たちは獲物を狩るときに対象にしがみつき、急所を噛んで攻撃します。

飼い主さんの腕や足も、獲物として見ている場合は、狩猟本能から抱きついてきている可能性があります。猫はトラやライオンのように凶暴なイメージはないかもしれませんが、鋭い歯に噛まれてしまったら怪我は間逃れません。抱きついているだけならば、無理に辞めさせる必要はありません。しかし、痛みを伴うような噛みつきが見られるようであれば注意しなければなりません。「痛い!」「ダメ!」などと簡単な言葉で叱るようにしましょう。

4.興奮している

ぬいぐるみで遊ぶ猫

腕にしがみついた途端、後ろ足で蹴りを入れてくることがあります。通称ケリケリと呼ばれる行動です。これも狩猟本能からきています。そして、猫がこの行動をとっている時は興奮している状態です。飼い主さんが手や足を直接使って遊んでいる最中に時々見られます。ケリケリ中は興奮していることもあり、爪を立てられてしまうことも珍しくありません。「痛い!」と言ってその場は解放してもらいましょう。

この行動自体は本能的なものなので、対策が必要になります。まずは、飼い主さんの手足をおもちゃにしないことです。代わりに蹴りぐるみを渡しましょう。そして狩猟本能が満たされるように、日頃からおもちゃを使用して狩りを模した遊びをするようにしましょう。

5.不安になっている

甘える猫

不安で心細く感じているときに、誰かがそばにいてくれると安心するものです。幼い頃も、言葉では上手く表現できない不安に襲われたときに、抱っこしてもらうと不思議と落ち着いたという経験があるでしょう。猫も言い知れぬ不安を感じているときに、飼い主さんの腕に抱きつくことで安心できることがあるのです。

まだ幼い子猫のときや、甘えん坊な性格の猫は、ぬいぐるみやクッションなどにも抱きつくことがあります。しかし、体温を感じる人の温もりから得られる安心感は大きいのでしょう。攻撃行動とは異なり、無理に引き離してしまうと不安定になってしまうことがあります。時間が許す限り、付き合ってあげましょう。

猫が抱きつく行動には甘えたい気持ちや、本能的なものまで様々な気持ちが隠されていました。猫は人間のように、言葉で想いを伝えることができない分、ボディランゲージや行動によって表現しています。愛猫にこの行動が見られたらその気持ちに寄り添いつつ、現在の環境で愛猫が安心できているか、猫らしい生活を送れているかなどについて見つめ直してみましょう。

愛猫が腕に抱きついてきたときの対応

眠る猫

猫と長く暮らしていると、猫の習性や、甘え方について理解を重ねてくるでしょう。しかし、まだ猫との暮らしが始まったばかりでは戸惑うこともあると思います。腕に抱きつく行動も、それがたとえ甘えからきている場合でも不思議に思うかもしれません。「猫は人に懐かない」という通説は迷信です。猫も人に懐き、愛情を求めています。

また一方で、人との暮らしに慣れ心を許してくれたとしても、猫には野生の本能が色濃く残っています。これは、猫は犬ほど品種改良が進んでいないことや、元々単独で暮らしていたために、誰かと行動を共にするという感覚が薄いことなどが背景にあります。何れにしても愛猫が腕に抱きつくようになったら、どのように対応すれば良いのでしょうか?この疑問を「甘えからくる場合」と「本能的な行動からくる場合」の二つに分けてご紹介いたします。

甘えからくる抱きつくへの対応法

腕に抱きつく猫

先の項目でも少し紹介しましたが、愛猫が甘えや不安という気持ちを抱えて腕に抱きついてくる場合は、次のような対応を心がけましょう。

可能であれば気が済むまで付き合う

特に不安の要素が強い場合は、その理由についても考慮しなければなりません。抱きつく行動が見られるようになった頃に、生活環境や飼い主さん自身に変化がなかったかを思い出してみましょう。そしてそれを考えつつ、抱きついてきたときに時間があれば愛猫の気が済むまで付き合ってあげましょう。このとき、優しく声をかけて安心させてあげることも大切なことです。優しく語りかけてくれることで、安心できるのは人間の子どもも猫も共通しています。

時間が無い場合は、そっと手を離し移動する

もしも時間がない場合は、そっと手を離して別の場所へと移動しましょう。その場に留まってしまうと、単に突き放されたと感じてしまい、そのことが不安を招いてしまいます。別の場所へと移動することで、今は忙しいと愛猫も諦めがつくようになります。ただし、別の機会に時間があれば甘えさせてあげましょう。

不安はストレスの原因になります。そして、ストレスは万病の元です。常に一緒にいることは不可能でも、必ず一緒にいてくれる時間を作ってくれると理解することで、しつこく抱きつくことはなくなるでしょう。この抱きつき行為には、飼い主さんの気を引くためという意味合いも持っています。突き放しすぎてしまうと、行動がエスカレートしてしまう恐れがあります。そして、安心感が得られずに精神的に不安定になってしまう可能性があります。

飼い主さんのにおいのついたもので代用する

愛猫がとても甘えん坊な性格である場合、留守にするときは飼い主さんのにおいのついたタオルや蹴りぐるみがあると安心することができます。いわば腕の代わりです。いずれのアイテムを活用するにしても、一度様子を見てから留守番に預けるようにしてください。ただ抱きつくだけであれば問題ありません。しかし、激しく吸い付く行為や、食べようとしてしまうのであれば危険なので預けることはできません。誤飲やウールサッキングに十分きをつけて代用できるものを探しましょう。

本能的な行動からくる抱きつきへの対応法

腕に抱きつき手を噛む猫

甘えを理由にする抱きつきとは異なり、狩猟本能から抱きつく行動が見られる場合は、飼い主さんが負傷してしまう恐れがあり危険です。速やかにやめさせるためにも次のような行動をとりましょう。

手や足をおもちゃ代わりにしない

飼い主さん自身の手足は、準備のいらない最も手軽なおもちゃ代わりです。そして、自分が動かす手や足にじゃれついてくれることで愛猫との繋がりができたかのような錯覚に陥ります。特に子猫の場合はまだ歯が鋭くないため、それほど痛みはありません。乳歯の状態で甘噛みをされてもくすぐったい程度です。しかし、猫も人間同様に成長とともに永久歯へと生え変わります。甘噛み程度でも、永久歯で噛まれると痛みを伴います。まだ怪我をしない段階でしつけなければこの先、大怪我に繋がります。

「痛い!」と言葉で訴えて手を離させる

また、手足で遊ぶ習慣を身につけてしまうと、遊び以外の場面でも飼い主さんの手足の動きを見ると飛びつかずにはいられなくなってしまいます。そのため、狩猟本能から抱きつき行為や甘噛み、蹴りを入れてくるという場合には早急にやめさせるようにしましょう。速やかに手を離し、「痛い!」と注意します。何度か繰り返すうちに「痛い」という言葉がやめてほしいのだと雰囲気から理解できるようになります。これでその場での怪我を回避することが可能になります。ただし、これだけでは不十分です。

蹴りぐるみや狩猟本能をくすぐる遊びをする

猫は脳の構造上、人間のように理性的な判断が難しく、本能をコントロールすることが苦手です。だから狩猟本能という本能的な行動には逆らうことができません。だから、逆にその本能を満たせるようなことを生活の中に取り入れることで解決への糸口が見い出せます。

蹴りぐるみを与えたり、食前に狩りの真似事をして遊ばせると獲物を狩った満足感を得ることができます。遊びや代用品を活かすことで猫の本能も満たされ、飼い主さんも怪我を回避することができるようになります。猫にしつけは不可能といわれますが、全く不可能というわけではありません。猫の習性や本能的な行動を活かしながら、それを好ましい形で満たせば良いのです。

猫と人の良い距離感とは?

顎乗せする猫

猫の甘えに応えすぎると、分離不安になるのではないかと心配になる飼い主さんもいらっしゃるでしょう。猫の分離不安とは、飼い主さんの姿がほんの僅かでも見えなくなってしまったら不安になり、問題行動を起こしたり体調を崩してしまう状態を指します。そしてそれを予防するためには、甘えを無視することが好ましいといわれています。しかし、ただ無視をすれば解決するのでしょうか?ここからは、猫と人の良い距離感についてご紹介いたします。

信頼関係を築くことが第一歩

愛猫との間にしっかりとした信頼関係が築けていなければ、分離不安の予防はできません。まず、愛猫にとって飼い主さんが安心できる存在になることが重要です。ありのままを受け入れてくれて、心から愛情を注いでくれると感じることができればしつけができる状態になります。無視や距離感という概念の前に、愛猫が心を許し、飼い主さんとの生活が安心できる幸せなものになるように心がけましょう。

敢えて離れる時間を作る

愛猫のそばにいられる時間がある程度確保できる飼い主さんでも、敢えて離れる時間を作ることで、留守番が必要になったときに役立ちます。愛猫がひとりで夢中になれるおもちゃを用意して、それで遊ばせている間はなるべく介入しないようにします。別室や離れたところから見守るようにしましょう。

一緒に過ごす時間も大切

距離を置く時間を作ったら、逆に一緒に過ごす時間も確保するようにしましょう。一日のうち、それがわずかな時間であっても、愛猫にとっては安心できる時間になります。この離れる時間とそばにいる時間のふたつの要素が合わさって分離不安の予防になるのです。ただ闇雲に無視をするのではなく、バランスをとることで自然と不安が解消されるようになるのです。

バランスを考えた生活を普段から送ることで、分離不安を過度に恐れる必要がなくなります。愛猫が甘えや不安から、少し一緒にいてほしいという気持ちには応えてあげても大丈夫なのです。

まとめ

なこ

猫が飼い主さんの腕に抱きつく理由は奥が深く、愛猫の想いが込められた行動です。狩猟本能の意味合いが目立つ場合は対策が必要ですが、そうではないケースでは、愛猫の気持ちを尊重してあげることが大切です。

また、程よく愛猫のペースに合わせてあげるためには、日頃から程よい距離感を保つようにしてください。愛猫との間に信頼関係が築かれていれば、忙しくて相手をしてあげられなくても理解することができます。

クールに見える猫が腕に抱きついてくれるということは、猫好きさんにとっては最高の癒しになります。分離不安に気をつけた生活を送っているのであれば、飼い主さんも素直に喜んでも良いと思います。

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