愛猫のキスで感染するリスクのある病気
人間のかかる感染症には、たくさんの種類があると言われています。その中でも、半分以上の病原体は動物と人間の間で感染し合います。
動物の体にいる病原体が、人間に感染してしまうケースが多くあるのです。こういった動物から人に感染する病気を「人獣共通感染症」と言います。感染には色々な経路がありますが、ここでは猫のキスから感染する可能性がある病気を紹介しましょう。
1. パスツレラ症
パスツレラ菌によって起こる感染症です。猫の口の中や爪には、この細菌が必ず存在すると言いますが、猫には症状がないため、予防接種の項目には含まれません。
猫に噛まれたり、引っ掻かれた人間が感染すると言われていますが、キスによる気道感染もあります。
パスツレラ症は、鼻から肺にかけての「呼吸器系」の感染の約6割を占めているそうです。感染すると、肺炎や気管支炎、風邪っぽい症状が出ます。定期的に風邪のような症状を繰り返している方は、猫とキスをする習慣があるからなのかも知れません。
2. 猫クラミジア性結膜炎
猫クラミジアとは、クラミジアの一種で猫の結膜炎、鼻炎、呼吸器系症状の原因となるものです。
猫クラミジアの人間への感染もあり、感染した人間は結膜炎を発症すると言われています。また、無症状のままクラミジアを保菌している場合もあるようです。
感染する経路はくしゃみや接触が主になります。猫から人への感染は、日本ではまだ報告はないようですが、外国ではいくつかでているそうです。
3. トキソプラズマ症
トキソプラズマと言う原虫が原因で起こる感染症です。哺乳類や鳥類の体内で寄生するほか、排泄物や土の中にも存在します。猫の排泄物を何かしらの経路から人間が口の中にいれると感染してしまいます。
健康な人なら感染しても発熱やリンパ節が少し腫れる程度で済むそうです。また、ほとんどの人は症状がでないとも言われています。
しかし、妊娠中の人がトキソプラズマ症に感染すると、胎児に感染する場合もあり脳などに障害がおこる危険があるのです。流産になる可能性もあるそうです。
4. カプノサイトファーガ・カニモルサス症
カプノサイトファーガ菌は猫の口の中に常在する菌で、予防接種をしている猫でも高確率に存在します。
人間が感染しても、発症するのは稀と言われていますが、発症してしまうと、およそ30%が亡くなると言う報告もあるそうです。感染ルートは、ひっかかれたり噛みつかれた際にできる傷口、眼や口の周辺を舐められた時に粘膜面から感染することもあります。
5. コリネバクテリウム・ウルセランス症
こんなニュースをご存知でしょうか?呼吸困難で女性が亡くなった原因は、コリネバクテリウム・ウルセランス菌に感染していたからでした。
女性の血液を詳しく調べると、コリネバクテリウム菌が検出されたのですが、その女性は猫を飼っており、その中の一匹からも同じ菌が見つかったそうです。そのため、この女性は猫から感染した可能性が高いと言われています。
猫のくしゃみや鼻水からうつり、感染すれば風邪のような症状が出るそうです。そして、悪化すると呼吸困難にも陥る危険があるのです。
愛猫との過度な接触は避けよう
猫から人間に感染する可能性がある病気を挙げましたが、猫とのキスや過度な接触は避けた方が良いということが良くわかりますね。
キスをすると死ぬの?と大袈裟に思うかもしれませんが、猫のもつ菌が人間に感染している事例があるのは事実です。また、感染が原因で亡くなった人の事例も、ただの噂話ではないのです。
感染しても症状が出る出ないは、個人差や免疫力などでも違います。キスをしても症状がないからと、油断はできません。猫に触った後、トイレ掃除の後は必ず手洗いをして、愛猫との過度なスキンシップは避けるようにしたほうがよいでしょう。
まとめ
愛猫とのキスで注意が必要なことについて書きました。猫から人間への感染による病気をいくつか挙げましたが、スキンシップでしているキスも注意しなければいけないのですね。
猫が保菌する病原体には、飼い主さんが衛生面に注意して予防を心がけなければいけません。手洗いを習慣づけ、過度な接触を控えてウイルスを寄せつけないようにしましょう。
人獣共通感染症とは、「ヒトとそれ以外の脊椎動物の両方に感染または寄生する病原体により生じる感染症のこと」です。病原体には「細菌・ウイルス・真菌・リケッチア・寄生虫」が含まれます。コミュニケーションをとった後はしっかり手を洗い、過剰なコミュニケーションは避けたほうがよいでしょう。