フィラリア症って犬だけの病気じゃないの?
動物病院でよく耳にするフィラリア予防という言葉。
ワンちゃんだけのものだと思い、聞き過ごす猫ちゃんの飼い主さんたち、気をつけてください!実はフィラリアって猫ちゃんにも感染するんです!
そもそもフィラリア症って?
フィラリア症とは、犬糸状虫(Dirofilaria immitis)という名前の寄生虫が寄生する病気のことです。主に肺動脈、右心系に寄生し、循環器系に障害を与えます。
重症になると肺水腫やうっ血、腹水など他の臓器にも障害を及ぼし、亡くなってしまうこともしばしばです。
最近のワンちゃんはしっかりと予防が徹底されているので、あまり見なくはなりましたが、猫ちゃんで予防されている飼い主さんは残念ながら、まだまだ少ないのが現実です。
感染経路
ご存じの方も多いとは思いますが、フィラリアは蚊が媒介して感染します。
フィラリア陽性の血中には、ミクロフィラリア(mf)というフィラリアの子供が多数含まれており、それを吸った蚊が次に猫ちゃんに吸血することで感染が成立します。
一説には、猫ちゃんにフィラリアが感染している確率は10頭に1頭とも言われており、決して少なくはない確率だと思います。
猫ちゃんのフィラリアは発見が難しい?
イヌのフィラリア症の発見に比べ、ネコで見つけるのは困難と言われています。
これは犬糸状虫という名前からして、猫ちゃんは本来の宿主ではないので、なかなかうまく感染が成立せず、感染していても多くの場合症状を示さないということが主な原因です。
フィラリアに感染しているか調べる方法は大きく4つあります。
- 抗体検査
- 抗原検査
- 胸部レントゲン撮影
- 心臓超音波検査
抗原、抗体検査は血液を用いて検査をするのですが、フィラリアに感染していても虫体の成長段階や雄雌によっては、確実に診断できるとは言えない検査です。
診断をするには、これらの検査にレントゲンでの肺や心臓の状態を把握し、超音波で心臓内部の様子や虫体そのものの検出などを組み合わせ、総合的に結びつけていくことしかできません。
感染したらどんな症状がでるの?
猫ちゃんでのフィラリア症は、イヌでの場合と大きく異なる症状を示し、3つ時期に分かれます。
第1期
未成熟虫が心臓から肺動脈に移動して、そこで死滅した虫体によって炎症が引き起こされて発咳、呼吸困難、嘔吐などの症状を示します。
第2期
まず先の未成熟虫が成熟し、成虫となります。そこで死滅した虫体自体が血管につまることによって重度の炎症や血栓塞栓症が発生し、急性肺障害や突然死を引き起こします。
第3期
重篤な肺障害を乗り越えた猫ちゃんでは、慢性的な呼吸器障害を示すと言われています。
以上にあげた通りです。できればどの症状も防いであげたいですよね。
治療方法はあるの?
一度感染が成立してしまうと特効薬は存在せず、基本的に対症療法になります。
イヌでは薬剤で成虫を駆虫してしまうこともあるのですが、猫ちゃんでは死滅した虫体自体が血管につまる可能性があるため避けるべきです。
また外科的に摘出するのも、猫ちゃんでは実施できる場合が少ないので、感染を予防するというのが何よりの方法です。
まとめ
診断も治療も困難を極めるネコちゃんのフィラリア症、しかし予防では完全に防げます!予防しとけばよかったと後悔する前に、少しでも多くの飼い主さんに知っていただきたいと思います。
また、我々獣医の中にも所詮イヌの病気と軽く考える先生がいらっしゃり、飼い主さんにはむしろネコちゃんの方が危険な病気であることをわかっていただきたいです。
完全室内外でも感染していたという話も聞いたことがあるので、家から出ないから安心というわけではありません。
月に一回、予防薬を背中に垂らすだけのことなので、少しでも予防率が上がることを祈っています。