猫が後ろ足を骨折している時の症状
1.後ろ足を浮かせる、ひきずって歩く
もし猫が骨折した場所が後ろ足の場合は、その後ろ足だけ引きずって歩き、後ろ足を浮かせる、庇って歩くなど歩行異常がみられます。
猫は後ろ足を含め、4本足で歩く動物なため、骨折部位や重症度によって異なりますが、後ろ足が一か所だけ骨折した場合でも歩くことはできます。ですが骨折部位の足は、正常に動かすこともできず激しい痛みも伴います。
2.後ろ足を触ろうとしただけで嫌がる・怒る
一度骨折した経験をもっている方は分かると思うのですが、骨折すると、とてつもなく激しい痛みに襲われます。そのため後ろ足などの骨折している部分を触られると、とても痛み嫌がります。なので、骨折しているところを触ろうとした途端、猫は攻撃的な行動をとる場合があります。
3.動かなくなる・隅に隠れてじっとしている
たとえ4本足の猫で後ろ足が骨折しても、歩くことはできるかもしれませんが、骨折した後ろ足は、床に着いて使うことができないため、動きたがらなくなります。いつもと比べて、じっとうずくまり寝ていることが多くなります。
猫は本能的に自分が怪我し、弱っている状態だと相手(敵)に狙われやすいことから、安全な場所に身を潜める行動をとるため、部屋の隅っこに隠れていることもあります。
また猫はトイレをする際に、後ろ足で自分の体重を支えて排泄を行うのですが、後ろ足を骨折すると、体のバランスがとれなくなり、お尻周りや後ろ足が汚れるようになります。
4.後ろ足の骨折部分が腫れてくる
後ろ足以外にも、骨折した部位などにもよりますが、骨折した部分の周りが腫れてくることがあり、更に痛みを伴います。そのため、ほんの少し動くだけでも激しい痛みがおこります。場合によっては出血することもあります。
猫が後ろ足を骨折していた時の対処法
動かさない
明らかに猫が後ろ足を、ひきずって歩いている、足を浮かせている、触ろうとしただけで嫌がる、怒る、などが見られた場合は、後ろ足が脱臼、骨折している可能性があります。その場合は激しい痛みを伴うため、可能な限り、猫を動かさないようにすることが大切です。
副木は不要
後ろ足など、猫の四肢が骨折している場合は、ダンボールや板などを当てて、添え木する方法がベストですが、無理に巻いてしまうことで、骨折断片が皮膚を突き破る恐れがあり、猫が嫌がって、攻撃してくることもありますので、かえって状態が悪くなる場合があります。
すぐに動物病院に行く際は、逆に何もせずに、なるべく安静にした状態で、連れてくる方がいいと思います。
骨折部分から出血している際は止血処置を行う
しかし後ろ足の骨折部位から出血している場合、ガーゼなどを当てて圧迫止血を行う必要があります。
骨折して出血いる後ろ足から、菌が感染し傷口が化膿することがありますので、できれば骨折している後ろ足全体を、タオルなどで優しく巻いてあげてください。
あくまでも骨折した応急処理は、骨折の更なる悪化を防ぎ、出血している場合は、止血処置することです。
すぐに動物病院に連れていく
猫が後ろ足を骨折した場合は、残念ながらお家ではどうすることもできません。
そのため、後ろ足の動き方が明らかにおかしいと骨折を疑う場合は、すぐに動物病院に連れていく必要があります。様子を長々と見すぎてはいけません。
ほとんどの動物病院は夜19時に閉めてしまうのですが、中には夜間対応している病院もありますので、連れていきましょう。
猫の自然治癒
骨折した後ろ足やその断片、重症度によって異なりますが、四肢は猫にとって歩行のためになくてはならない器官です。後ろ足などを骨折をすると、骨折部位を修復させようと自然治癒力が働き、くっつけさせようとします。
そのため猫の後ろ足が骨折しても、治療せずに放置してしまうと、骨が異様な形で固まってしまい、骨折変性を生じる恐れがあります。
もしそうなってしまうと、更に完全に完治するまでに長い期間がかかり、あるいは後遺症として、後ろ足が不自由なまま一生過ごすことになってしまうかもしれません。
猫が骨折した時にかかる病院の費用
動物病院によって検査や処置、手術費用などはそれぞれ異なります。私が勤務している動物病院でかかる費用を元に、いくつかお話ししたいと思いますので、あくまでも参考にしてください。
レントゲン検査
レントゲンを撮る枚数によって多少値段が変わりますが、およそ5000円ほどかかります。触診で猫が後ろ足を骨折していることが分かりますが、骨折している正確な位置や断片などは分かりません。
そのため、後ろ足のどこの骨がどのように骨折しているのか、早急に知る必要がありますので、レントゲン検査は必ず行います。
血液検査
血液検査の項目数によって値段が変動しますが、4000円〜7000円ほどかかる場合があります。後ろ足だけ骨折したとしても、臓器に影響はないか知る必要があるため、血液検査も行います。
手術をする場合に、事前に猫に、何らかの持病がないかどうかも知る必要があるからです。猫の年齢や血液検査の結果によって、骨折の治療方法を変える場合があるからです。
包帯やギプスによる固定処置
処置内容によって多少料金が変わりますが、およそ2000〜3000円ほどかかります。骨折した後ろ足は骨同士が完全にくっ付いて治るまでは包帯やギプスで固定(外固定法)しなければいけません。
外固定法は骨折の整復手術後もする必要があります。骨折した部位が後ろ足だと徐々に包帯などがズレ落ち、場合によっては猫が噛んで取ろうとすることもありますのでお家でしっかりと注意する必要があります。
改めて巻き直して、猫の首にエリザベスカラーをつけることもあります。
骨折部分の整復手術
手術費用は動物病院によって異なり、平均的におよそ4〜5万円かかるといわれていますが骨折の度合いや状態、動物病院によっては10万円超えることもあります。
猫の後ろ足が骨折し血液検査などでも手術に耐えらえる場合、ほとんどは骨折部の整復手術を行います。骨折した部位や状態にもよりますが骨折した部分をピンで固定し、骨折した骨同士をワイヤーや金属板で固定をします。
ですが最近ではペットの保険会社も増えており保険に加入していた場合はかなり費用が抑えることができます。
その他かかる費用(注射代・内服代・入院費など)
他にも注射代や内服代、また骨折の状況や猫の容態にもよりますが入院費用もかかってきます。退院したとしても完全に治るまでは約1か月間かかり、定期的には状態の確認やギプスの巻き直しなどの処置を行う必要があるため完治するまで多額の費用がかかります。
- 注射代 約2000〜3000円
- 内服代 約1000円(1週間分)
- 入院費用 1日あたり3000円
内容によっても費用が変わるので動物病院にて確認することも大事だと思います。
猫が後ろ足を骨折する原因
タンスやカーテンなど高いところからの落下
室内飼いの猫で多いのがタンスや棚の上など、高いところから着地に失敗して骨折する場合です。他にもカーテンに登った際に落下したことや、爪にカーテンの繊維が引っかかり、パニックになって落下したこともあげられます。
また上の階の手すりから誤って、足を滑らせてしまい落ちてしまった事故もあります。
ソファーや洗面所など低いところからの落下
高いところだけではなくソファーの縁からの落下や洗面所からの落下など低いところからの落下事故も少なくはありません。
元々猫は優れたバランス力や柔軟な体格をもっているので高いところから飛び降りる際は着地するまでの間に体勢を変えながら衝撃を柔らげるように着地をするため骨折することは少ないです。
しかし低いところのからの落下事故では体勢を整える前に落ちてしまうので非常に骨折しやすいといわれています。そのため、後ろ足のみならず前足も骨折・脱臼している可能性が高いです。
ドアに挟まれる、ゲージに足をひっかかる
猫が後ろ足を骨折する、室内事故としてあげられるのは、ドアに挟まれることや、子猫の場合は、ゲージの金網の隙間にひっかかってしまうことがあげられます。子猫の時期は好奇心が旺盛なので小さな体でもゲージに登ろうとして誤って金網にひっかかってしまい落下することで骨折してしまいます。ゲージの隙間に挟まった肢を抜こうとして脱臼したり骨折するケースもあります。
交通事故
飼育している猫の中には外に出る機会がある猫がいます。やはり完全室内飼いの猫より外で飼っている・外に出る機会がある猫の方が骨折事故が多く、そのほとんどは車による交通事故が多いです。
猫の骨折を予防する方法
完全室内飼い
猫の骨折の多くの原因は交通事故なため、猫の飼育環境を完全室内飼いにすることだけでも、骨折事故のリスクを大きく減らすことができます。脱走しないように、しっかりと網戸や窓をロックする対策も必要です。
滑り止めのマットを敷く
着地した際にマットによって足を滑らせて後ろ足が脱臼・骨折することがあります。ペット用の滑り止めのマットに変えてあげましょう。特に活発な子猫や足腰が弱い高齢猫の場合は骨折しやすいので床に敷くマット類に注意しましょう。
また誤って落下したとしても、無事に着地できるように、部屋のものを整理整頓して綺麗に保つことも大事です。
まとめ
猫の骨折事故は少ないですが、お家の中でもドアに挟まれる、誤って落下したことで後ろ足などを骨折することがあります。骨折した場合は足をひきずって歩く様子や、浮かせる、激しい痛みにより触ろうとしただけで怒るなどがみられます。
適切な治療をしなければ、自然に骨同士がくっ付いて変性骨折を生じ、あるいは後遺症として、後ろ足が不自由になる恐れがあります。少しでも異変を感じ、あるいは落下事故を目撃した際は、念のためすぐに動物病院へ連れてきてください。
ふだんの生活でも外に出さないように完全室内飼いを心がけて、滑り止めのマット類に変えるなどの工夫や対策をすることで、猫の骨折予防だけではなく、足腰の負担も軽減されます。
50代以上 女性 匿名
絶対安静で3週間、ピンを抜くまで3ヵ月以上、全治4ヵ月以上。固定されてた期間が長すぎたようで関節の可動域が制限されてしまい、もちろん現在は完全室内飼いだけど今でも階段の降り方がぎこちない。もう少し早くピン抜いてもらえてたら元に戻ったかも…とは考えてしまう。
50代以上 女性 匿名
痛みでじっとしてるかと思いきや、猫ってば隙あらば飛びます。犬用の1段ケージ、トイレスペースと寝室が分かれているのが使いやすかったです。仕切りが閉められる作りで、トイレ掃除の際に脱走される心配もなく常に清潔に保てました。
部屋でも…と思うかもしれませんが広すぎても動き回ってしまいます。特に絶対安静期間は狭めでベッドと爪とぎのみイン。
同室だったので夜な夜な大絶叫。耳栓も必需品でしたね。
あとはなるべくストレスのかからないエリカラを調達してあげること。いろんなサイズや素材があり選ぶのも楽しかったです。
病院は厳重に脚丸ごと包帯グルグル巻きにしてくれますが、家では(傷は保護しつつ)風通しを確保していました。夏場だったためか骨折と関係ない指先等の皮膚がジメっとしてしまい傷が増えそうだったし、圧迫などによる褥瘡は切傷などより治りにくいですから。
常に状態をチェックする必要があり、簡単にはオススメできませんが舐めないように対処出来れば必要最小限の保護で十分だと思います。完治するまで手術傷以外の手当ては皆無でした。
30代 女性 しおり
我が家の猫ちゃんが骨折したときも、じっとしている猫ちゃんを見つけなんだかおかしいなと、様子をみていました。きっと、キャットタワーからおりるときに捻挫をしたかなんかだろうと軽く考えていましたが、調べてみると後ろ足が腫れていまして、すぐに動物病院に連れていき検査をしていただきました。
すると、骨折していることがわかり驚きました。同時に反省もしました。骨折が治ってからも、キャットタワーのまわりには何も置かないようにして安全に降りることができるように、工夫しました。それからは、事故や怪我はありません。