猫の『先端巨大症』とは?糖尿病との関係

【獣医師監修】猫の『先端巨大症』とは?糖尿病との関係

かつては猫の先端巨大症はかなり稀な疾患だと言われていましたが、近年、糖尿病罹患猫で20-30%隠れているのではないかと言われています。当然ながら下垂体腫瘍による内分泌で、血糖コントロールは不安定になり、結果としてQOLの維持が難しくなります。今回はそんな糖尿病との意外な関係性を中心にお話ししたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の先端巨大症ってどんな病気?

メインクーン

先端巨大症、聞き慣れない病名かと思います。脳の下垂体前葉に形成された腫瘍が過剰に成長ホルモンを分泌し、身体的には四肢末端が大きくなると言われています。

先端巨大症の人

猫の先端巨大症の特徴

その他の身体的特徴としては

  • 体重増加
  • 頭部肥大
  • 下顎の突出
  • 犬歯の間隔拡大
  • 各臓器の腫大による腹部膨満

などが挙げられますが、必ずしも全て一致するとは限りません。臨床兆候としては、多食が最も多くみられ、多飲多尿などもみられます。

糖尿病の猫に多い

以前はかなり稀な病気とされていましたが近年、糖尿病の猫ちゃんで併発していることが多いのではないかと言われています。実は詳しく見てみると糖尿病と深く関係している病気なんです。

今回は先端巨大症と糖尿病の関係を詳しく見ていきたいと思います。

猫の先端巨大症と糖尿病

インスリン治療を受ける猫

猫ちゃんの糖尿病もインスリンでコントロールしていくことが多いのですが、適正量のインスリンを投与していても、血糖値のコントロールが難しい猫ちゃんも一定数います。そんな血糖コントロールがしづらい、猫ちゃんの20〜30%が、先端巨大症に罹患していると言われています。

糖尿病の猫に先端巨大症が多い理由

なぜ糖尿病罹患猫で多いのでしょうか?先ほど述べたように、先端巨大症は脳の下垂体という部分に発生する腫瘍が原因であり、下垂体前葉から分泌される成長ホルモンはとても強く、インスリン対して抵抗性を示す性質を持っています。

インスリンが作用しづらいということは、細胞内に糖(グルコース)を取り込むことができないということなので、高血糖につながるという仕組みですね。

猫の先端巨大症はどのように診断するの?

検査を受ける猫

臨床兆候や外貌からだけでは、なかなか判断が難しい疾患ですが、どのように診断するのでしょうか?

1.血液検査

血清成長ホルモン(GH)濃度

脳下垂体に腫瘍が形成されると、そこから過剰に成長ホルモンが分泌され、血中濃度が上昇します。しかし偽陰性、偽陽性となることもあるので、この検査結果だけで確定診断をすることはできません。

血清インスリン様成長因子1(IGF-1)濃度

IGF-1は肝臓で成長ホルモン(GH)によって刺激されると分泌され血中濃度が上昇します。下垂体腫瘍から間接的に上昇する項目で有用性が高い検査です。上記のGH濃度と両方を測定することで正確な診断につながると言われています。

2.画像検査

先端巨大症を確定診断するには、下垂体に腫瘍が形成されているかを確認しなければなりません。CT検査やMRI検査を用いれば、下垂体の異常を確認することができるのですが、費用や設備の面から、全ての猫ちゃんに実施できる検査とは言えないと思います。

猫の先端巨大症の治療の方法

レントゲンをする猫

糖尿病を併発したら?

インスリンが効きづらくなるので、糖尿病になるリスクが高くなりますが、インスリンが効かないわけではないので、通常よりも高用量投与することで、血糖値をコントロールしQOLを維持することが治療目的になってきます。

放射線治療

根治的な治療を狙うならば、元々の原因である下垂体腫瘍からの成長ホルモンを減少させなければいけないのですが、現状、あまり積極的には行われていません。獣医療全般として、脳外科という分野はあまり発展しておらず、下垂体を外科的に切除することはあまりありません。

その一方で、放射線による治療は近年発展してきており、下垂体腫瘍を放射線で焼いて減少させるという方法がありますが、一般病院では、まだまだ実用的ではないのが現状です。

まとめ

横になるメインクーン

糖尿病と先端巨大症の意外な関係性。この疾患を診断すること自体難しいのですが、血糖コントロールが不安定な、糖尿病の猫ちゃんには隠れている可能性があります。

基礎疾患が隠れているかどうかで、治療の方法が違ってくることもあるので、糖尿病と闘っている猫ちゃんでは、特に気をつけてあげたいですね。