野良猫に多い病気
野良猫には病気があるイメージですが、「野良猫の病気って何ていう病気?」と聞かれれば戸惑ってしまう人も少なくはないかもしれません。
そこで今回は、野良猫が感染している可能性の高い病気を、いくつかご紹介します!
猫風邪
”猫風邪”と一言でいっても、実は種類は何種類かあります。
中でも1番多いのは”猫ウイルス性鼻気管炎”。
ヘルペスウイルスが原因で、鼻水やくしゃみ、結膜炎による涙目などの症状が見られます。
そして二つ目は、”カリシウイルス感染症”です。
猫の感染症の中でも感染力はとても強いことで知られています。
カリシウイルスが原因で発症しますが、くしゃみ、鼻炎、結膜炎、発熱などのほかにも、口内炎や口の中に潰瘍なども良く見られます。
口内が炎症を起こすことにより、口臭がきつくなる、痛がる素ぶりを見せる、大量のよだれを垂らす、など症状は様々です。
三つ目は、”猫クラミジア感染症”。
名前の通り、クラミジアが原因で発症する猫風邪です。
主な症状は結膜炎ですが、他の感染症を併発することでくしゃみや鼻水、咳などの症状を伴う場合があります。
三種類の猫風邪に大きな症状の違いはありませんので、病院でしっかり検査をしなければ”何ウイルスが原因か”がわかりません。
また、この三種類の猫風邪は同時に感染してしまうことも少なくはなく、同時に感染すればするほど重症化してしまう可能性があります。
猫風邪は一度感染してしまうと慢性化しやすく、季節の変わり目やストレスがかかった時、免疫が落ちているときなどのタイミングで何度も発症してしまうことがあります。
ノミ・ダニ・シラミ
野良猫の病気と言えば、ノミやダニ、シラミも多いと言われています。
野良猫が体を痒がる、被毛を掻き分けると虫が見える、などから発覚することが多いのではないでしょうか。
ノミやダニ、シラミなどは、動物病院へ行き投薬してもらうことで完治することができます。ただ、大量に寄生しており吸血されることで貧血をおこしている場合などはそれにあわせた治療も適宜行われるかと思います。
完全にいなくなるまでには何か月かかかる場合もありますので、先住の動物がいる場合、完治するまでは触れ合わせてはいけません。
耳ダニ
耳ダニも野良猫の病気で多いと言われています。
耳ダニは、猫が耳を痒がる、猫の耳の中が黒い、汚れているなどの症状から発覚することも多く、検査をすることで耳ダニの診断がされます。これもなかなかにしつこい寄生虫なので根治には少し時間がかかる場合があります。
免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
免疫不全ウイルス感染症は、猫の間で感染する猫免疫不全ウイルス(FIV)によって発症する病気で猫エイズとも呼ばれます。
猫免疫不全ウイルス(FIV)は、猫の唾液、血液などが原因で感染するウイルスですが、感染方法は猫同士の喧嘩だけでなく、母親が猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染している際には、お腹の子への母子感染なども原因で感染します。
猫回虫
猫回虫は、野良猫のほとんどが持っている病気だと言っても過言ではないくらい、よく遭遇する寄生虫感染です。
ちなみに、猫回虫の駆除薬は成虫にしか効かないので、1度で駆除することは難しい場合もあります。
猫伝染性腹膜炎(FIP)
多くの猫が持っている”コロナウイルス”が突然変異したものが原因で発症してしまう病気です。
コロナウイルスが原因なので、コロナウイルスを持つ猫の排せつ物などから感染してしまうのですが、その後突然変異を起こすかどうかは猫によると言われています。今のところ根治的な治療法も、有効な予防法もない恐ろしい病気です。
トキソプラズマ症
トキソプラズマに感染しているネズミなどを捕食することから、猫が感染すると言われている病気です。
室内飼いの猫の場合、今の時代ネズミなどを捕食することも少ないと言われていますが、野良猫の場合はネズミなどを捕食することもまだまだ多く、それが原因でトキソプラズマ症に感染してしまうケースも少なくはありません。
猫白血病ウイルス感染症(FeLV)
猫白血病ウイルスというレトロウイルスが原因の感染症です。
このウイルスは、免疫力を低下させ腎臓疾患や血液疾患や腫瘍などの様々な疾患を引き起こすと考えられています。
母子感染やケンカ、食器の共有やグルーミングで感染します。
病気の野良猫の見分け方
耳の汚れ
耳が汚れている野良猫は、耳の病気の可能性があると考えられます。
耳ダニだけでなく、中耳炎や外耳炎などの可能性もありますので、野良猫の耳が汚れている場合には病気を疑いましょう。
被毛のツヤ
被毛のツヤが悪い野良猫は、病気の可能性があると考えられます。
野良猫の毛ツヤが悪い場合、ノミやダニ、シラミだけでなく、腎臓病や猫エイズなどの病気を患っている可能性もあります。
毛ツヤが悪いと感じた場合には、動物病院で寄生虫の確認や血液検査をしてもらうことで腎臓病や猫エイズ、その他の病気かどうかも確認できます。
涙や目やに
野良猫に1番多いのが、涙や目やにの症状です。
涙や目やにがひどい場合、猫風邪に感染していることがほとんどです。
猫風邪だからといって安心してはいけません。猫風邪は悪化してしまうことも多いのです。
ひどい場合は最悪眼球摘出などをしなければいけなくなります。
猫から猫に感染する病気
猫から、猫へと感染する病気をご紹介します。
- 猫回虫
- 猫伝染性腹膜炎(FIP)
- トキソプラズマ症
- 猫クラミジア感染症(猫風邪)
- 猫カリシウイルス感染症(猫風邪)など
今回あげた病気のほとんどは猫から猫へと感染します。猫から猫へ感染する病気はまだまだ沢山ありますが、ここでは特にかかりやすいものをいくつかご紹介させていただきました。
どれも先ほど紹介した病気なので、原因などの説明は控えさせていただきますが、野良猫の病気の中で、猫同士で感染する確率が高いものを少し紹介させていただいたので、参考になればなと思います。
先住猫が家にいるという場合には、必ず野良猫を動物病院へ連れて行ってから会わせた方が良いと言えます。また、これらの病気は野良猫だけが持っている病気ではありませんので、誤解がないようにしましょう。
野良猫から人に感染する病気
実は動物から人間に感染する”人獣共通感染症”は、150種類ほどあると言われていますが、日本で確認されているのは約50種類ほど。
その中から、猫から人へと感染する病気をいくつかご紹介します。
猫ひっかき病
猫にひっかかれることで感染する病気です。
皮膚が赤くなるだけでなく、ひどい場合には熱が出たり、重症化してしまうと脳炎になったりしてしまうこともある病気なので、甘く見てはいけませんね。
猫回虫
先ほど紹介した病気の1つです。
猫回虫に感染している猫の糞などから感染します。人の体の中に回虫の卵が入ってしまうと、猫回虫が体の中を移動することで、様々な障害を引き起こします。
内臓に入ってしまうと、風邪のような症状や、肺炎、脳にはいれば発作などをおこし、そして目に入ることで視力の低下などの視力障害も見られます。
真菌症
いわゆるカビも、猫から人に感染するケースが多い感染症です。
接触することで感染し、皮膚炎などを引き起こす病気です。
大人はもちろん、小さな子供も注意が必要になります。
このほかにも、先ほど”猫から猫に移る病気”でご紹介させていただいた「トキソプラズマ症」なども、猫から人間に感染する病気の一つです。
まとめ
今回は野良猫の病気についてまとめました。
野良猫は病気をたくさん持っている可能性が多いので、健康そうに見えても必ず動物病院へ連れていくようにしましょう。
また、先ほども書きましたが、これら紹介した病気は野良猫だけがかかる病気ではありませんので、注意しましょう。
野良猫から猫に移る病気だけでなく、野良猫から人へと移ってしまう病気も少なくはありません。
健康な大人は大丈夫でも、体の小さな子供や免疫力が低下しているお年寄りなどはどうしても感染しやすくなってしまうので、注意が必要になります。