猫がIBDと診断された時の症状や原因、治療法まで

猫がIBDと診断された時の症状や原因、治療法まで

猫の病気には、IBDと言われる炎症性腸疾患の病気があります。人間にもあるように猫にもある病気のひとつです。猫がIBDと診断されるまでには、疑われる病気の排除をしないと特定されにくいのです。猫がIBDになった時の、症状や原因や治療法をまとめました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫のIBD(炎症性腸疾患)とは

夕日と猫のシルエット

IBDとは猫の腸に障害を起こす疾患

IBDとは、腸に障害を起こす、原因不明の疾患です。IBDは通常、潰瘍性大腸炎とクローン病のことを指します。

大腸や小腸に慢性的に炎症が生じて、潰瘍ができるそうです。IBDの病気は、症状が回復したり、悪くなったりを繰り返す慢性疾患の病気で、完治されない病気と言われています。

猫のIBDとは

人間の医学では、IBDについて潰瘍性大腸炎とクローン病と示されています。しかし猫や犬のIBDに対して、消化管粘膜炎症病変を特徴とした、突発性の慢性胃腸疾患群と獣医学では言われているそうです。

原因が特定しにくい病気、あるいは特定できない原因不明の疾患として、IBDが非常に多いことも言われています。

IBDと特定しにくい疑われる病気

猫の消化管症状から、消化管粘膜を調べて疑われる病気に、リンパ球形質細胞性陽炎と診断されるケースが多いのです。中には、リンパ球形質細胞性陽炎と腫瘍であるリンパ腫との鑑別が難しいとも言われています。

猫の消化管粘膜を病理組織に出しても、炎症か腫瘍かの判断が難しいそうです。IBDを特定するのに可能な限り、特殊な検査を用いたり、消化管内視鏡検査と粘膜生検などのあらゆる組合せをしたりしながら、検査をしていくことも可能になっているようです。

猫のIBDの症状

だるそうに横になる猫

慢性的な下痢

まず、猫のIBDの症状と言われているのが、慢性的な下痢です。猫の便が緩い、粘血便、血便の症状があると言われます。

慢性的な嘔吐

猫が吐くのは珍しいことではありませんが、猫のIBDは毛玉や食べ過ぎによる嘔吐ではないことがあげられます。猫の体調が悪く、嘔吐するときにIBDの症状の可能性があると言うことです。

食事をした後に何度も吐く、毎日のように吐く、原因不明で気分が悪くて吐くと言う症状があります。

食欲不振からくるもの

猫のIBDを疑う場合、猫の食事の様子がいつもと違い、様子がおかしいと思うのです。ご飯をがっついてあまり噛まずに食べる猫が、よく噛むようになったりします。

また、よく食べていた猫の食欲が落ちたりします。食べているのに痩せてきたと疑うときも原因があります。

猫がIBDになる原因

様々な食物

食物抗原によるもの

猫のIBDの原因には、食物に対するアレルギーで、猫の身体の免疫システムが崩れてしまった可能性があります。
猫がアレルギー体質かどうかを把握しておく必要もあります。

野菜、肉、魚、果物等あらゆる食物がアレルギーの原因(食物抗原)にがアレルギーの原因(食物抗原)あります。血液検査で何に対してアレルギーを起こしているか調べることができます。

環境の変化によるもの

猫のIBDの原因として考えられられるのは、環境の変化により、免疫システムが崩れてしまった可能性があります。慣れない環境への引越し等の変化、生活環境による家族構成の変化などはありませんか?

猫の体質や性質によるもの

猫のIBDの原因には、ストレスにより免疫力のシステムがおかしくなり、発症してしまうこともあるようです。

人間も、ストレスを溜めると体に良くないと言うのと同じです。神経質な性格や、ストレスを感じやすい猫は、免疫システムの異常が起きてしまう可能性があると言います。

猫のIBD治療

薬を飲まされている猫の顔アップ

食餌療法

猫のIBDを治療するには、猫の体に負担をかけない食事を心がけなければいけません。アレルギー反応のでやすい猫は、高タンパク、高脂肪のものは避けること、アレルゲンになるものを大量に食べ続けないことが大切です。

猫のIBDの症状は、猫それぞれで違いますが、ドライフードをやめて改善されたケースもあります。猫の体質にあった食餌療法で、胃腸の炎症や障害をおさえていく必要があります。

薬物療法

猫のIBD治療に、ステロイドによる薬物療法がよく言われています。効果は、炎症と鎮痛を抑える免疫力を低下させる効果があるそうです。

猫にステロイド投与を使用するときに、IBDと診断されてからどれくらい進行しているかでも変わってきます。ステロイド投与をして、1週間~2週間で効果が出るとされています。

しかし効果が見られない場合は、治療方針を変えていく必要があるようです。このステロイド投与は、IBDが進行してしまった猫には、癌化や肝臓に影響がでてしまいます。症状が悪化するとステロイド投与による副作用で死亡してしまうケースもゼロではありません。

猫のIBD検査の方法

  • 血液検査
  • 超音波検査
  • 消化管粘膜の病理組織検査

猫の消化器官の病気は多数あり、その中からIBDの病気を特定するのは困難でもあります。血液検査、超音波検査を受け、肝臓や膵臓の値を見ます。

それだけでは猫がIBDかどうかはわかりません。IBDを確定するには、消化管粘膜の病理組織検査をして診断されます。

猫がIBDと診断されたら

飼い主に抱っこされた猫と診察する獣医師

猫のIBDは、アレルギー、ストレス、遺伝、感染等の原因が推定されないものです。下痢が続く、嘔吐ばかりする、食欲がない等、猫の様子がおかしいと思えば検査を受けて、病気を特定する必要があります。

猫の病気には、完治する場合や完治しない場合があります。また、診断から病気が原因不明で特定できないものもあるのです。それでも、何とかして元気にしてあげたいと思うのも当然です。

動物への治療法や検査なども進歩しています。まずは、生活環境や食事管理をしっかりして、身体に負担のかからないようにしていくことが大切だと思います。

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