小猫症とは
小猫症は成長期中に体が大きくなることができず子猫と同じような小さい体格の猫のことを指し、別名ではドワーフキャットと呼ばれています。発症率が極めて低く日本でも発症例はあまりないため不明なところが多い先天性の病気です。
小猫症の原因
小猫症は、喉元のところにある甲状腺の機能が生まれつき正常に働いていない先天性甲状腺機能低下症が原因といわれています。甲状腺ホルモンはタンパク質や脂質、炭水化物を代謝しエネルギーとして作ってくれます。
また体全身の成長の発達を促進させたり脳や心臓、胃腸の働きも活性化してくれるなど生きるうえでとても重要なホルモンです。しかし小猫症は生まれつきこの甲状腺の機能が働いていないため発育不全となり、体が大きく成長できず小さいままが小猫症(ドワーフキャット)の特徴でもあります。
小猫症の特徴
小猫症は体が大きくなれず小さかったり顔の大きさが体と比べて大きかったり、骨や筋肉の成長不足により走ったりジャンプしたりなど猫特有の動きがしにくいのが特徴です。
また体の熱をつくることができず低体温になったり、各臓器や脳の発育不全や機能低下により水頭症やテンカン発作が起こることもあります。さらに腎不全、腹部膨満、歯の発達も不十分で乳歯が残ったままだったり永久歯が生えてこないなど体全身に様々な障害をあたえます。
小猫症の猫への治療
小猫症に関係している甲状腺ホルモンは血液検査で調べることができ、ホルモン量が低い場合は甲状腺ホルモンを投与する治療法があります。
甲状腺ホルモン量が正常値になれば普通の猫と同じような生活を送ることができるといわれていますが、猫に腎不全など各臓器の病気があった場合は食欲にムラがあったり嘔吐や下痢、貧血などの症状をおこすのでその治療も同時に行う必要があります。
また甲状腺ホルモンの治療も毎日続けていかないといけないため小猫症は一生治療が必要な病気なのです。治療だけではなく投与したホルモン量が適切かどうか血液検査や他に異常なところはないかどうか、定期的に検査しなければいけません。
小猫症のうりえる君
日本でも小猫症(ドワーフキャット)を発症している猫がおり、ある動物のテレビ番組で「子猫のまま成長しない猫」として、うりえる君が取り上げられました。うりえる君の見た目は子猫のように体が小さくまるで天使のような容姿で一見は不自由さが感じられないように見えますが、実際は体長が約18㎝、体重がわずが1.3㎏しかなく生後3ヶ月ほどの子猫と変わらない体格で未熟なままなのです。
うりえる君は生後約6ヶ月頃あたりから成長のスピードが止まってしまいました。出会った当初はわずが170gほどしかなく、生後3ヶ月頃になっても成長していないことに気づき病院で検査した結果、うりえる君は甲状腺機能低下症による小猫症を発症していると分かりました。
小猫症の影響で舌が短いためスポイトであたえないと水を飲むことができなかったり、胃腸の消化機能の低下によりフードもふやかしたりペースト状のものをあたえ3時間おきのマッサージをし、トイレ時も自力で排泄ができないため毎回サポートしなければいけませんでした。
世界的に有名な子猫症の猫「リルバブ」
また、うりえる君の他にも「永遠の子猫」としてアメリカのメディアに取り上げられた「リルバブ」も有名な猫です。リルバブもうりえる君と同じ小猫症を発症し体重も2㎏ありません。またリルバブは小猫症だけはなく指の数が多い多指症や骨がだんだん石のように固く脆くなってしまう大理石骨症の難病にもかかっています。発育不全により顎が小さいため舌が収まりきれずいつも出ているのがリルバブのチャームポイントでもあり、写真や動画をSNSに投稿したところその可愛い姿に一気に人気となりCM出演やリルバブのオリジナルグッズも販売されました。
小猫症の寿命
小猫症(ドワーフキャット)は発症率がとても低く、未だ解明されていない部分が多いためハッキリとした寿命は分かっていません。しかし成長や発育不足の影響で様々な障害を抱えていたり他の病気を併発していた場合も含め寿命が短いといわれています。
小猫症のうりえる君は1才7ヶ月という短い命で天国へ旅立ちました。しかしアメリカで有名な小猫症のリルバブは難病を抱えながら余命4ヶ月と宣告されましたが飼い主さんや周りのサポートもあり2018年現在も生き続けています。
またカナダで有名なエルフィーとギムリの兄妹猫も小猫症を患っていますが今も元気に過ごしておりSNSで投稿するたびに多くのコメントが寄せられています。
まとめ
小猫症は一見はとても可愛らしく元気に見えますが実際は成長や発達障害により生まれつき大きいリスクを抱えています。場合によっては、うりえる君のように食事やトイレ時でもお世話をしなければいけなかったり、リルバブのように別の難病も発症しているなど小猫症はその子その子によって症状や抱えているリスクに差があります。
しかし、どんな姿でも命の重みはみんな一緒です。
短い命といわれているけれど飼い主さんの懸命な努力や愛情だけではなく私たちもサポートしてあげることが小さい命を救うことができると思います。