猫にもある更年期障害(甲状腺機能亢進(こうしん)症)
人間の場合、40歳後半から50歳前半くらいの年齢を「更年期」と呼び、この更年期の時期にはホルモンバランスが崩れることにより、「更年期障害」を起こしやすくなります。
更年期障害の症状は性別により違いがありますが、女性の場合、更年期頃には閉経を迎えます。それにより、卵巣の働きが低下し、ホルモンバランスが崩れて、動悸やめまい、体にほてりを感じる、冷える、頭痛等の様々な症状が現れます。
男性の場合、過労やストレスが原因となり、うつ等の精神的な症状が出るほか、疲労を感じやすくなる、動悸やほてり、集中力の低下などが見られます。
これらの症状が出る更年期障害ですが、実は人間特有のものではなく、猫や犬等の動物にも見られることがあります。
今回は猫の更年期障害について、詳しくご説明していきたいと思います。
猫の更年期障害の症状(甲状腺機能亢進(こうしん)症)
正式に更年期障害と名づけられているわけではなく、”人間でいうと更年期障害と同じ様な症状”が出ると言われており、猫の場合、正しい病名は甲状腺機能亢進(こうしん)症です。
人間の更年期障害の原因になる内分泌腺とは異なります。
猫の場合、特に更年期障害と同じ症状が出やすいのは、7歳以上のメス猫だと言われています。甲状腺のホルモンバランスが崩れ、過剰分泌してしまう病気です。甲状腺ホルモンが多くなってしまったことにより、次の症状が見られます。
- イライラしやすくなる
- 攻撃的になる
- 食欲旺盛になる
- 水をよく飲む
- 食べているのに体重が減っていく
このような症状が出て、飼い主さんは重大な病気を疑い、病院へ連れていったところ、甲状腺ホルモンが多く出ていることから、人間でいうと更年期障害と同じだと診断される場合が多いようです。
猫が更年期障害になったら
猫が更年期障害になると、基本的には怒りやすくなることが多いようなので、しつこくしたり、嫌がるのに体を触ったりすることは厳禁です。
また、食べても食べても次々に欲しがるというのも特徴です。爪が出たままでひっかかりやすくなる、いつも目を見開いているように見える、落ち着きなくうろうろしているなどもよくみられる症状です。
猫が更年期障害の治療法としては、抗甲状腺薬剤を投与し、甲状腺ホルモンの分泌量を抑える、もしくは肥大化してしまった甲状腺を取り除いてホルモンの分泌量を抑える、専用の処方食を食べさせるといった3つの治療法が行われることもあります。
この病気は原因や確実な治療法が見つかっていないため、定期健診を受け早期発見に努めることが大切です。
猫の更年期障害についてまとめ
愛猫が最近イライラしやすくなった、急に痩せていく等、人間でいう更年期障害と疑われるような症状が出た場合、甲状腺機能亢進症を疑いましょう。
更年期障害のような症状は、人間だけでなく、猫にとっても生活に支障が出やすく辛い症状だと言われています。このような病気が疑われる際には、早急に獣医師へ相談し、その後の治療法を決めていくことが大切です。