猫ちゃんも人工透析できる?
猫も人工透析の治療ができる
腎臓の機能が悪くなると体内の老廃物が排出されずにどんどん蓄積されていきます。透析をおこなう事により人工的にろ過し、老廃物や余分な水分を取り除くことができます。
動物医療も昔と比べて進歩しており、猫ちゃんも透析による治療ができるようになりましたが積極的におこなっている病院が数少ないのが現状です。
透析で効果のある病気
さらに透析をする際は急性腎不全の場合にすることが多いです。急性腎不全をおこす場合は中毒症状をおこす食べ物や植物、医薬品を口にしてしまった場合や尿道結石により排尿が不可能になった時に腎臓の数値が一気に上昇し障害をあたえることにより発症します。
急性腎不全は急激な腎臓機能障害ですので、早急に処置をおこなえば腎臓の機能が回復する可能性があり、透析治療はとても効果があります。また年齢が若い傾向にみられるため体力的に耐えられるという要因もあります。
透析しても効果が出ずらい病気
一方で慢性腎不全の場合は腎臓の数値が常に高く、機能もかなり低下しているため透析をおこなったとしてもあまり効果がみられません。
またほとんどは高齢の猫ちゃんにみられ症状が進行すると食欲不振や嘔吐により体重が低下するため透析治療に耐えられる体力がないことから慢性腎不全の猫ちゃんにはあまり勧めていない傾向があります。
慢性腎不全から、尿毒症を起こしてしまった場合には透析を行う場合もありますが、透析は全身麻酔下で行いますので、行うかどうかについては担当の獣医師とよく相談の上決定してください。
猫の透析治療とは
一旦腎不全になってしまうと腎臓の機能が回復することはできないため老廃物が排出されず体内に蓄積してしまいます。そのため腎臓の代わりに透析を使用することで老廃物を除去することができます。人工透析では血液透析と腹膜透析の2種類の方法があります。
血液透析
人工透析器を使って体内にある血液をいったん体外に出し、老廃物や余分な水分を取り除いて血液を綺麗にし、体内に戻す方法です。腎臓は体にとって必要な物質と、不必要な物質を選別する働きを持ちます。腎臓の機能が落ちると、このような働きができなくなります。人工透析を行うと、体にとって不必要なものを器械が除去してくれるので、老廃物があまり存在しない血液になります。
人の場合は主に血液透析による治療をおこないますが機械自体が非常に高額なため大半の動物病院では導入していません。また首にある頸静脈からカテーテルをいれ透析をおこなうのですが、猫ちゃんの血管が細いためカテーテルが入らないことが多く難しいです。
さらに貧血になりやすこともあり腹膜透析を勧める病院が多いです。
腹膜透析
腹膜(胃などの臓器を覆う膜)にカテーテルを挿入しそこから透析液を入れ少し時間をおきます。しだいに体内の老廃物や余分な水分などが透析液に移動していくので最後にその透析液を体外に排出させることにより血液が綺麗に浄化されます。
猫ちゃんの場合お腹の中に2時間ほど透析液を入れたままにし30分ほど時間をかけて抜き、それを経過や検査結果などに基づき回数を調節しながらおこなっています。血液透析と比べ体の負担が少ないといわれていますが、透析液を出し入れするためのカテーテルを確保するための手術しなければいけないので透析の治療する前に体力を消耗します。
さらに常にカテーテルが装置している状態なのでそこから感染をひろいやすいため清潔を保ち感染症に注意しなければいけません。腎不全のステージによりますが腹膜透析をおこなうことで腎臓の数値が一時的に改善しQOLの向上や初期段階に透析を始めた場合はある程度の腎臓の働きを保つことができるといわれています。
猫の病気は透析治療で治せる?費用はどれくらい?
費用はとてもかかります
透析をおこなうのに時間がかかるため入院や一時的に預ける必要があります。また血液透析、腹膜透析のどちらとも継続しておこなわないといけないため長期的にみてみると費用はかかります。
またその間に腎臓の働きが現在どの程度なのか定期的に血液検査が必要になりますので検査代も発生します。
完治はできません
透析をすることで治ると思う方がいらっしゃるのですが、一回壊れた腎臓の働きは治療しても回復することができないため透析はあくまでも腎臓機能を補う治療法です。
透析により体内の老廃物や余分な水分を排出され腎臓の数値も低下しますが一時的なものであり再び老廃物が溜まっていきます。透析治療をおこなったとしても腎臓の働きが完全に戻ることは不可能ですが延命することはできます。
まとめ
猫ちゃんでも透析をおこなうことができますが腎不全を完治することはできず血液透析の場合は専用の機械が必要な事もあり、ほとんどの動物病院では積極的におこなっていません。
また透析治療は腎臓の代わりに体内に溜まった老廃物や余分な水分を排出させるものであり継続しなければいけないので、費用の面や治療の際、入院や一時的に預かっておこなうため猫ちゃん自身のストレスもかかります。
そのため腎不全に対する治療をおこなう前に透析にするのか、補液療法にするのか獣医師としっかりと相談することが大事になります。
また治療を受ける愛猫の気持ちを忘れずに考慮し、私たち飼い主は判断しなければいけないと思います。