猫を受診させるボーダーラインは難しい?
猫ちゃんの飼い主さんにとって、猫ちゃんのマイペースで気まぐれな性格は、チャームポイントのひとつともいえると思いますが、その性格ゆえに、日常生活の中で難しいこともあるでしょう。
その一つに病院への受診が挙げられると思います。
しかし、受診しないと病気の発見が遅れてしまう恐れもあり、その事態は避けなければなりません。では、どのような状態を受診するか否かのボーダーラインにしたらいいのでしょうか。
愛猫をどうしても受診させる必要があるケース
猫ちゃんの中には、飼い主さんが触るのも難しく、病院に連れて行くことが難しい子もいるでしょう。
しかし、中にはどうしても受診が必要なケースもあります。どのような場合に受診が必要なのでしょうか。
検査が必要
体調不良の原因を特定すべく、検査が必要な場合があります。
採血や聴診、視診など往診でも可能な検査もありますが、レントゲン検査やCT、MRIなどの特殊な装置を使った検査などでは受診をしたうえで院内の検査を行う必要があるでしょう。その場合は受診をしなければなりません。
飼い主さんの判断では難しい場合
嘔吐をした、下痢をした、けがをしているなど眼に見えて異常がわかる場合は受診をするかどうかの判断もつけやすいと思いますが、判断のつけにくい異常もあります。
何となく元気がない、なんとなく食欲が無いなど、小さな変化で飼い主さんが気付いていても何が原因か判断が難しい場合もあるでしょう。
傷なども飼い主さんが見つけられなくても、専門家であれば見つけられる可能性が高いです。いつもと何となく違うけれど原因がわからないなどの場合は、受診することをお勧めします。
投薬などの治療や管理が難しい場合
猫ちゃんの場合、嫌なことは嫌!という子も多く、投薬や患部のケアが難しい場合もあります。
飼い主さんの場合、猫ちゃんの甘えもあって処置や投薬を嫌がることがあるため、必要な場合は病院でケアをしてもらう必要があるでしょう。お薬が飲めなったり、傷口の消毒が出来ないことで、状態が悪化してしまうこともあります。
猫ちゃんの性格を考えて、難しそうな場合は事前に申告したり、お家に帰って挑戦してみて難しい場合は相談するようにしましょう。
愛猫を受診をさせるか迷う…何を指標(ボーダーライン)にしたらいい?
怖がりな猫ちゃんの場合、受診することでトラウマになってしまったり、飼い主さんとの信頼関係すら崩れてしまったら…と心配な方もいるのではないでしょうか。
できることならば家で様子を見たいという猫ちゃんの飼い主さんも多いと思います。では、その様子見が間違った判断にならないために、何を指標に様子を見たらいいのでしょうか。
どのぐらい元気か?
まず一番大切なのが元気の有無です。高齢になって寝る時間が増えると判断が難しいかもしれません。
高齢でなければ一日の活動量や、日常生活でどのような遊びをしているかを観察しておいて比較すると良いでしょう。
高齢の子の場合も、寝ている時間がどのくらいかを大まかに覚えておいて比較すると変化に気づきやすいと思います。
普段から元気な時の一日の流れがどのようなものかを把握できていると、トラブルがあった時にわかりやすいです。
食欲はあるか?
元気と同じくらい大切なのが食欲の有無です。下痢や嘔吐などの消化器症状がなくても、食欲が無い場合は体調に変化が起きている可能性があります。
また、長期間食欲が無く、食べられないままだと体力が消耗してしまうこともあります。普段よく食べている子がご飯を食べない場合は要注意の可能性が高いです。
猫ちゃんの場合、精神的な問題や、ごはんの嗜好性の問題で食べないこともあるので、お家の猫ちゃんの普段の食べ方や鉱物なども把握できていると安心です。
ご飯を食べても食べ終わるまでに時間がかかる、最初の一口を口にするまでに時間がかかるなど、食欲の変化の可能性があるため注意深く観察することをおすすめします。
症状の程度はどのぐらいか?どのくらいの期間か?
すでに何か体調の変化があって、治療をしたり様子を見ている場合にも、受診すべきタイミングはあります。
受診している場合、再診の予定が立てられている場合もありますが、その中でもお家の猫ちゃんの体調の変化は観察していかなければなりません。程度が悪化してしまったり、決められた治療が家で行なえていない場合は受診すべきです。
また、体調に変化があって、様子を見ている段階の場合であっても、長期間改善が見られなかったり、何度も繰り返す場合は受診をすべきと言えるでしょう。
様子を見ている場合は、1週間や数日など期間を決めて、その間に改善が無いようであれば受診をするなど決めると、悪化したまま放置した状態になりにくいです。
受診するためにはどんな工夫をしたらいい?
受診が必要とわかったら、猫ちゃんを病院に連れて行く必要があります。外へ出るのが苦手な猫ちゃんの場合、飼い主さんもいろいろな対策を取る必要があるでしょう。
受診をするためにどんなことが出来るでしょうか。
洗濯ネットを利用する
音やいつもと違うにおい、場所などに猫ちゃんは敏感に反応します。
他の動物さんたちの鳴き声やアルコールのにおい、今まで注射などの痛い経験をしてきた猫ちゃんは自分の経験を思い出して緊張してしまったり、逃げようと必死になることがあります。
処置や診察をするときに、動きを制限することと肌に触れられる密着した袋に入ってもらうことで猫ちゃんに安心してもらうことを目的に、洗濯ネットに入れて診察をしたりすることがあります。
お家から病院へ行くまでキャリーケースに入ってもらうことが一般的ですが、さらにその中に洗濯ネットに入ってもらった状態で連れてきてもらうこともあります。
抱っこなどが出来る猫ちゃんであれば試してみても良いかもしれません。
普段から小さなことで病院を訪れて慣らす
とくに仔猫ちゃんや、お外が苦手でない猫ちゃんで試せる方法と言えます。病院というと、注射や手術など、痛いことや怖いことが起こる場所という強いイメージが猫ちゃんたちにとってもあります。
病院で怖いことや緊張したこと以外の経験を多くできると、病院にも慣れてくれる可能性が高いです。
体重測定や爪切りでこまめに通院したり、何かの処置の際に、診察代や待合室でお気に入りのおやつを食べるなどの練習をしてみてもいいかもしれません。
猫ちゃんの性格にもよりますが、獣医師の先生や看護師さんと猫ちゃんに仲良くなってもらうというのも、病院を嫌いにならない作戦のひとつとして試してみても良いと思います。
往診や電話相談などを利用する
どうしても猫ちゃんを家の外に連れ出すのが難しい場合の方法として、往診や電話相談などの病院以外の場所での診察が挙げられます。
メリットは猫ちゃんが安心できる家で診察が受けられることや、体力が消耗している猫ちゃんを連れ出さずに済むことで、更なる消耗を防げることなどが挙げられます。
デメリットとして、往診ではできない処置や検査が中にはあること、自分の安心できるテリトリー内での処置によって安心できる場所が不安な場所に代わってしまう可能性があること、逆に攻撃的になってしまう猫ちゃんもいることなどが挙げられます。
メリットとデメリットを比較したり、お家の猫ちゃんに適しているかどうかを考えて検討すること、症状などによってかかりつけの先生に往診や電話相談での受診の可否や適切か否かということをまずは相談してみることをお勧めします。
まとめ
このように、病院での受診が難しい猫ちゃんたちは多いかもしれません。しかし、安心して過ごせることやストレスを与えることはもちろん最小限にしながら、健康に過ごすことが大切です。
お家の猫ちゃんの性格や習性を理解し、万が一の時はきちんと受診できるよう、最善の方法をかかりつけの先生と事前に話し合っておくと安心です。