保護猫を飼っている、飼う予定の方へ!『ウイルス感染症』知っていますか?

保護猫を飼っている、飼う予定の方へ!『ウイルス感染症』知っていますか?

保護猫は元々外で生活していたためウイルス感染症にかかっている可能性が高いです。もし感染症にかかっていた場合、予後が悪く命にかかわります。また同居猫にうつってしまいます。血液検査で感染症にかかっているか分かりますが大半の猫ちゃんは検査を受けていません。感染症を拡大させないためにもウイルス感染症について知っておく必要があります。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

野良猫はウイルス感染している割合が高い!

横たわる黒猫

猫ちゃんを飼っている7割〜8割は雑種猫といわれています。私の愛猫チャロのように野良猫を拾ってきたり保護団体から譲ってもらったといったかたちで家族にお迎えしている方が多いようです。特に元野良さんは外で生活をしていたため様々なウイルスに感染している可能性があります。

見た目は元気でもある日症状を発症した場合、治療法がなく高い確率で命を落としてしまう感染症も中にはあります。また同居猫に感染症がうつってしまうこともありますので、これから保護猫さんを迎えようと考えてる方、もしくはもう迎えられた方は参考にしてくださいね。

猫の感染症にはどんな物がある?

感染症の猫

猫白血病ウイルス感染症

感染猫の唾液や鼻水などにウイルスが含まれいるため食器の共有やグルーミング、喧嘩の傷などで感染がおきてしまいます。また母猫が感染していた場合、仔猫も胎盤を介しての感染や母乳を飲む事で感染します。

ウイルスに感染しても100%病気を発症する事はありませんが免疫力が低下もしくは弱い場合発症するリスクが高まります。様々な臓器に障害をあたえ、リンパ腫、口内炎、ブドウ膜炎などの目の病気などを発症します。

発熱や下痢、貧血、リンパが腫れる事により食欲不振や元気喪失になります。ウイルス直接に対しての治療はなく、発症した病気に対しての治療と対症療法しかないため、症状が治りにくく命を落としてしまう事があります。

この猫白血病ウイルス感染症はワクチン接種で予防する事ができるため感染猫と暮らしている同居猫や外に出る習慣のある猫ちゃんは特にワクチン接種をする必要があります。

もし感染猫がいた場合は他の猫にうつさないように接触を控えてください。食器を別々にしたりゲージに入れて隔離する必要があります。

猫免疫不全ウイルス感染症

唾液にウイルスが多く含まれているため感染猫との喧嘩による傷などから感染します。症状は主に5つのステージに分けられています。

①急性期
感染してから約数週間〜4ヶ月後に発熱や下痢、リンパの腫れなどの症状がおきます。

②無症状キャリア
無症状のまま、抗体が陽性反応のまま数ヶ月〜数年間持続します。

③持続性全身性リンパ肉腫
全身にリンパ節の腫大がおこります。

④AIDS関連症候群
呼吸器疾患、消化器疾患、皮膚炎、傷が治りにくい、口内炎などがおこります。
大免疫異常に関連した症状もでてきます。

⑤AIDS(後天性免疫不全症候群)期
重度の削痩や貧血、日和見感染、悪性腫瘍など様々な症状をおこしやすくなります。

根本的な治療はなく、対症療法しかないため、症状を発症した場合予後がよくありません。
猫免疫不全ウイルスの予防のひとつは喧嘩防止のため外に出さない事です。

まとめ

病院で診察を受ける猫

ウイルスに感染している場合、何らかのきっかけで症状を発症してしまいます。現在ではウイルスに対しての確実なる治療法がなく対処療法しかないので、発症してしまうと予後はとても厳しいです。感染しないように予防をするしかありません。

ただし、特にエイズウイルスの場合はウイルスを持っていても発症せず寿命を全うする猫ちゃんもたくさんいます。なので、もちろんほかの子よりもリスクは抱えていますが、普通の猫ちゃんとして生活することは十分可能であることも覚えておいてください。

猫白血病ウイルス感染症に関しましてはワクチン接種で予防する事ができます。また同居猫がいる場合は接触をしないように隔離したり食器やトイレをそれぞれ分けてください。予防策は非常に大事ですがまずは愛猫が感染症にかかっているかウイルス検査をする必要があります。

特に野良猫で拾ってきた、保護団体に譲っていただいた猫ちゃんは要注意です。ウイルス検査は血液で陽性か陰性か調べる事ができます。もしまだ調べてなかったり、今後保護団体で猫ちゃんを飼おうと考えている方はウイルス検査をしてください。

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