猫の子宮蓄膿症はどんな病気?
- 猫の子宮蓄膿症はメス猫の子宮内部に膿が溜まる病気
子宮蓄膿症とは、文字通り雌猫の子宮内部に膿が溜まる病気です。
猫が子宮蓄膿症になるメカニズム
子宮蓄膿症のメカニズムには、「黄体ホルモン(プロジェステロン)」が関係しています。このホルモンが子宮に影響し、子宮の内膜が厚くなり、増殖してしまいます。そうすると感染が起こりやすくなり、膿がたまってしまうのです。
子宮蓄膿症になりやすい猫の年齢
わんちゃんは、子宮蓄膿症は中高齢の避妊していない子におおいですが、猫ちゃんの場合は、若齢で発症することが多いのです。
猫が子宮蓄膿症になる原因
子宮内膜炎
猫の子宮蓄膿症の原因として考えられるのが、この子宮内膜炎によるものです。子宮内膜炎とはその名の通り、子宮が何らかの原因で炎症を起こしてしまった状態のことで、この子宮内膜炎が長引くことで子宮内に膿が溜まり、子宮蓄膿症を併発している可能性があります。子宮内膜炎の症状は以下のようなものがあります。
- 下腹部痛
- 微熱
- 膣からおりものが出る
- 不正出血
特に猫は生理がない動物なので、もし膣からの出血が確認できれば子宮に何らかの異常が発生している可能性が高いので速やかに動物病院へ連れていくことをおすすめします。
子宮内膜炎のうちに治療を行うことで、子宮蓄膿症を予防することができますので、愛猫の健康管理をおこたらないようにしましょう。
子宮の細菌感染
子宮蓄膿症の原因である子宮内膜炎は、子宮が細菌感染をすることで発生します。通常の状態であれば子宮への細菌感染はおこりません。しかし、若い年齢の猫で発情期中の猫は、オスを受け入れやすくするために子宮の頸部が緩んでいます。
その結果、子宮へ細菌感染してしまい子宮が炎症を起こし、重症化すると子宮蓄膿症を発生させることになります。そのため発情期に入っているメス猫は特に子宮蓄膿症に注意をする必要があります。
免疫力が低下しているから
子宮蓄膿症を引き起こす原因はもう一つ、発情期のメスはオスの精子を受け入れやすくするために通常よりも免疫力が低下しているという点があげられます。
通常よりも免疫力が低下している状態で、細菌が子宮へ侵入することを許してしまったら、子宮蓄膿症になってしまうリスクは極めて高くなります。
また、猫はストレスなどによっても免疫力が低下します。発情期ではなくても、何らかのストレスにより免疫力が低下し子宮蓄膿症を引き起こす可能性はあります。ストレスは万病の元、大切な愛猫の健康を守るためにもストレスのない環境を用意してあげましょう。
細菌感染をした状態で発情期や妊娠期間が終わった
子宮蓄膿症は子宮内膜炎が進行した状態です。そのため、猫ちゃんの中には子宮蓄膿症まで行かない子もいますが、子宮内膜炎を発症したにも関わらず正しい治療を受けられなかった猫ちゃんの多くは、子宮蓄膿症を患ってしまいます。
その原因は、子宮に細菌感染をしている状態で発情期や妊娠期間が終わったため子宮頚管が閉じてしまい、細菌が子宮の中で閉じ込められたまま増殖するためです。
前述したように、発情期になると猫の子宮頚管を緩み開いた状態になるのですが、通常の状態はピッタリと閉じています。そのため、子宮頚管が開いた状態で細菌が入り込み、発情期が終わると同時に細菌が閉じ込められた結果、子宮蓄膿症まで発展するパターンが生まれるということです。
猫の子宮蓄膿症の主な症状
- 子宮蓄膿症が進行すると:猫のお腹が膨らんでいる
- 子宮蓄膿症が進行すると:猫の元気がない、嘔吐や下痢、発熱がある
症状が進むと溜まった膿でお腹が膨らんでくる場合があります。
次第に元気がなくなり、嘔吐や下痢、発熱などの症状も表われます。溜まった膿で子宮が破裂してしまったり、細菌が全身に回って敗血症という状態になり命を落とすケースもある油断できない病気です。
子宮蓄膿症は、大きく分けて2つのタイプがあります。
- 開放型
- 閉鎖型
子宮蓄膿症『開放型』
開放型では陰部から大量の膿が出るため、そこで気付く飼い主さんも多いようです。開放型でも膿の量が少ないと猫が舐めてしまうなどして、発見が遅れることもあります。
子宮蓄膿症『閉鎖型』
膿が外に出ない閉鎖型の場合、気付かないうちに膿が子宮内に溜まってしまい、手遅れになることがあります。頻繁に陰部を気にして舐めているようなら、おなかの膨らみなど他の症状がないか確認してみましょう。
猫の子宮蓄膿症を治療する方法
外科手術での子宮蓄膿症の治療
猫の子宮蓄膿症では、子宮と卵巣を摘出する手術を行うのが一般的です。
急性腎不全などの重い症状がある場合は、点滴や抗生物質の投与などその子の状態に必要な処置をおこない、状態を安定させてから手術します。もちろん子宮蓄膿症は一刻を争う病気なので、獣医師の判断で速やかに手術になることが多いです。手術前後の状態の安定のために数日から数週間の入院が必要になります。
外科手術以外での子宮蓄膿症の治療
何らかの理由で外科手術が困難と判断された場合、もしくは繁殖させたいなどの強い要望があった場合、手術をしない治療法が取られることがあります。抗生物質を使って炎症を抑え、、黄体ホルモンが関連してるのでそれを抑制するようなお薬を使ったりします。
しかし再発の可能性が高く、治療後のケアも必要となります。
なので、基本的には外科手術が適応となります。
猫の子宮蓄膿症を予防するために
子宮蓄膿症は手遅れになれば死亡する怖い病気です。出産させないと決めている雌猫であれば、適正な時期に避妊手術をしておいた方が、発症する心配もありません。
リスクや注意点は?猫の子宮蓄膿症を治療する手術
子宮を取り除く手術は、通常の避妊手術とほぼ変わりませんが、全身麻酔を行うため、ある程度のリスクはあります。持病がある猫や、高齢で体力のない猫の場合はリスクが高くなります。
とはいえ、子宮蓄膿症では外科手術が一番有効な治療法です。獣医さんと十分に相談し、猫の状態を考えたうえで治療方針を決めましょう。子宮蓄膿症は炎症を起こした子宮と卵巣を取り除くことでほぼ完治し、再発の可能性もありません。
しかし、中には子宮に感染していた細菌が全身に回って敗血症を起こすケースもあります。術後の様子には、しばらくの間気を付けた方がよいでしょう。
自然治癒は難しい?猫の子宮蓄膿症
猫の子宮蓄膿症が自然に治癒する確率は非常に低いと考えておいてよいでしょう。それほど症状が重くないと思って様子をみているうちに急激に悪化することもあります。
子宮蓄膿症による子宮の破裂や腹膜炎などで苦痛を伴い死亡するケースもあるので、症状が軽いうちに治療することが肝心です。
子宮蓄膿症の症状は、他の病気にも共通する症状です。気になる症状がある場合は病院へ連れて行きましょう。
まとめ
- 猫の子宮蓄膿症とはメス猫の子宮内部に膿が溜まる病気
- 猫の子宮蓄膿症を予防するためには「避妊手術を受けさせること」
子宮蓄膿症は外からは見えない子宮内の炎症なので、わかりにくい場合も多いです。
初期は元気で食欲もあるので油断しがちですが、急激に症状が悪化することを考えると、少しのサインでも見逃さないように普段から病気について知っておくことが必要ですね。
子宮蓄膿症を予防する一番の方法は避妊手術を受けさせることです。避妊手術を受けることで子宮がんや乳腺腫瘍など、他の病気の予防にもなります。高齢になると手術のリスクも高くなるので、出産の予定が無ければ早めに手術を受けさせた方が安心です。
普段からトイレをきれいに保つなど、環境を清潔にしてあげることも細菌の感染を防ぐ大切な方法です。
40代 男性 しげる
食欲がなくなったり痛がったりしたので、獣医さんに診ていただくと子宮蓄のう症になっていて、手術が必要になりました。術後は、とても元気になり縫ったあとも綺麗に治りました。ずっと、痛みがあったみたいでそれがなくなりすっきりしたようで、喜んでいるようでした。元気になってくれて良かったなと思います。
50代以上 男性 匿名
50代以上 女性 ネコ目
1歳未満の子宮蓄膿症は稀なケースだそうです。大量の膿の後、血膿に変わりました。膿が出てくれたので早く気付く事が出来て良かったと思っています。
1ヶ月前に初めての発情期を迎え、2回目の発情期が来たら赤ちゃんをチャレンジしようと思っていました。赤ちゃんは残念でしたが、幸い破裂も無く速やかに手術をいて頂き、若いので回復も早いと良いなと思っています。