猫のヘルニアの種類別の症状とその原因

猫のヘルニアの種類別の症状とその原因

今、猫のヘルニアが増加傾向にあります。これまで、ヘルニアと言ったら私たち人間や足の短い犬種に多く発症する病気として認識されてきました。しかし、猫がヘルニアを発症することは、近年けして珍しいケースではなくなりつつあります。この記事では、そんな猫のヘルニアにスポットを当て、症状や原因についてわかりやすく学んでいきます。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫のヘルニアとは

マンチカン

猫のヘルニアとはどんな病気なのでしょうか?ヘルニアという病名はよく聞くけど、はっきりとどんな病気なのかはわからないという方もいると思います。

簡単に説明すると、体内の臓器が本来あるべき位置から飛び出してしまっている状態のことをヘルニアと言います。意外なことに腰や骨特有の病気だけがヘルニアというわけではないようです。人はもちろんですが、短足の犬種であるミニチュアダックスフンドや、ウエルッシュコーギー等に多いというのは有名ですね。

猫がヘルニアになる原因

太った猫

猫がヘルニアを発症する理由について、このような幾つかの要因が関連しているとされています。

老化によるもの

人間も同じで、骨の間にあるクッションの役割を果たすものがすり減り、骨と骨が圧力や摩擦に耐えられなくなり発症してしまう。

遺伝によるもの

これは絶対的なものではありませんが、やはり小さい種類の猫や、骨も細く小さい負担がかかりやすい種類の猫にも発症しやすいようです。

肥満によるもの

骨が体重の重みに耐えきれずに負荷や圧力がかかり発症してしまいます。

外的要因によるもの

交通事故やケガなどの要因から発症する場合です。

生活環境によるもの

家の中で飼われることが多くなったため、生活環境が芝生や土からフローリングやカーペットなどへと変化する中で、足や腰への負担が以前より増えたことも要因です。

猫のヘルニアの種類と症状

ここでは、猫のヘルニアの種類と症状について御紹介していきたいと思います。なお、下記のヘルニアは、人間にもありうる形でお話させていただいていることを御了承ください。

椎間板ヘルニア

人間のヘルニアの中でもよく聞く名前ですよね!椎間板への強い圧力などにより、椎間板内に存在する髄核が外に飛び出してしまった状態です。そして、その飛び出した髄核が神経に触れ、痛みやしびれなどを引き起こすそうです。

臍ヘルニア(へそ)(でべそ)

赤ちゃんの臍に存在するヘルニアのことで、特に治療などがなくても幼少期までには治まる傾向が強いものだそうです。

鼠経ヘルニア

一般的には”脱腸”と呼ばれるもので、本来おなかの中にある、腸や腹膜の一部が皮膚の下にでてきてしまう、下腹部あたりの病気で、手術での治療しか方法がないそうです。

横隔膜ヘルニア

このヘルニアは外部から大きな衝撃が加わることで横隔膜が破れてしまい、腹腔内の臓器が破れた横隔膜の隙間から胸腔内に侵入してしまうことで呼吸が苦しくなってしまうなど支障が出る病気です。
猫に一番多いヘルニアで、高いところからの転落や交通事故が原因になることが多いです。

まとめ

女性と見つめあう猫

猫に増えるヘルニアについていかがでしたか?ヘルニアという病気に限ったことではありませんが、猫は、腰に痛みや違和感などを抱いても口にすることができません。しかし、猫は必ず何らかのサインを出すことで、自らの異変を飼い主さんに訴えようとしているものです。私たちは、その異変やサインをしっかりとキャッチできるようにし、常日ごろから猫の健康状態に配慮していくことが大切なのだと思います。

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