飲食に関する気になる行動3つ
いつものように変わりなく食べているかどうかを見ることは、健康管理の基本です。特に、多頭飼いの場合はどのコが何をどのくらい食べているのかを把握していることが重要です。
1. フードをあまり食べない
猫は食べムラのあるコがけっこう多いもの。しかし、だからこそ見逃しやすいのが食欲の有無です。いつものフードを食べたくないのは、飽きたからだと思われがちです。しかし、実際は舌や鼻が美味しいと感じてくれないから、つまり体調がイマイチだからということも少なくありません。
食欲チェックは、体調を知るための第1歩です。1日様子を見て食べないようなら、すぐに病院へ行きましょう。
2. 何度も吐く
猫はよく吐く動物です。飲み込んだ毛や異物などを吐き戻すのは、猫にとっては自然なことで、特におかしなことではありません。問題は1日に何度も吐いている場合。原因は、食中毒のような急性のものから、腎臓病や便秘のようなゆっくり進む病気まで様々です。
具合が悪い時には、食べては吐き、水を飲んでもそれが刺激になってまた吐いてしまいます。これが続くと、逆流した胃液で食道が焼けて炎症を起こし、嘔吐の原因をもう1つ作り出してしまいます。毛玉を1つ2つ吐いた程度であれば、様子見でも構いません。しかし、何度も吐くようであれば、すぐに病院で検査をしてもらいましょう。
3. 食べ過ぎ、水を大量に飲む
食欲がないのも困りますが、度を超すのも困りものです。
食べ過ぎる
異常な食欲があって食べているのに、痩せてくる。これは高齢猫に多い甲状腺機能亢進症の代表的な症状です。甲状腺機能亢進症は、身体が常にランニングをしているような状態になる病気です。寝ていても走っているのと同じ状態で、心臓などに負担がかかり、様々な問題が起きてくる怖い病気です。
甲状腺機能亢進症には他の症状もありますが、普段との違和感に気がついたら、一刻も早く病院へ行って検査を受け、治療を始めましょう。
水をたくさん飲む
こちらは、腎臓病の代表的な症状の1つです。いつもの水飲み容器があっという間にカラになったら、腎臓病のサインかもしれません。その場合、飲む量と同時に、排出する尿の量も増えてきます。これはすでに症状が進んで治療が必要な状態ですので、すぐに病院へ連れて行きましょう。
トイレに関する気になる行動3つ
もともと猫は乾燥地帯に住み、わざわざ水を飲まなくても生きて行ける生き物です。生きたネズミやトリだけを食べていれば、それで何とかなりました。しかし、現代の飼い猫の食べ物は乾燥しているものが多めです。そのため、水分補給が追いつかず、泌尿器の病気にかかりやすくなっているのです。
4. おしっこの場所がなかなか決まらない
- トイレを何度も出たり入ったりする
- 尿が出てもほんの少し
- トイレの砂がほんのり赤い
- トイレで大声で鳴く
- 布団の上など、トイレ以外でトイレポーズを取る
こういう事をしているようなら、おしっこが上手くできていない証拠です。主な原因は、尿結石と膀胱炎です。「尿結石」は、腎臓や膀胱でマグネシウムやカルシウムが結晶化したもの。結晶が腎臓や膀胱の内側の壁を傷つけ、痛みを起こしたり、尿に血が混じったりします。
「膀胱炎」の原因は、結石のこともありますし細菌の感染であることもあります。細菌感染の場合も痛みを伴ったり、出した後でもスッキリできずいつまでもトイレに出入りし続けたりします。いずれにしろ、猫の不快そうな様子は見ているだけで辛くなるほど。一刻も早く治療を始め、早く楽にしてあげてください。
5. 排泄量が多すぎる
おしっこの量が多い
典型的な猫の腎臓病の症状です。尿の量が増えるというのは、1回の量が増える場合もありますし回数が増える場合もあります。これは、先ほどの「水をたくさん飲む」という症状と、同時に起きます。腎臓の機能低下をカバーするために起きる生理現象で、かなり症状が進んでいます。すぐに治療を始めて、それ以上の腎臓の機能低下を防ぎましょう。
下痢をする
トイレを見ればすぐ分かります。臭いもそうですし、あるいは、猫のお尻が汚れていたり、床でお尻を拭いて汚して回ったりするので、すぐに気がつきます。
お腹がゆるいのは、猫の体力を奪うだけでなく、衛生的にもよくありません。人間の住環境も脅かしますし多頭飼いの場合には、原因が伝染性の病気なら別のコにうつる可能性もあります。すぐに原因を突き止めてもらい治療を始めましょう。
6. 排泄をしない
食べる以上は、きちんと排泄しなければなりません。食欲不振の方が注目されがちですが、不要なものをきちんと排出できない方が深刻な状態かもしれません。
おしっこをしない
尿は、出なければたまる一方です。本格的に出なければ、尿路閉塞という状態になり急性腎不全を起こしてしまいます。この状態が2日続いてしまうと尿毒症を起こし亡くなってしまいます。いつものタイミングで1日おしっこをしなければ、一刻も早く病院に行ってください。そして、尿が出るような処置、導尿や専用のフードの処方などをしてもらって早く楽にしてあげてください。
うんちをしない
便秘は軽く考えられがちですが、便を出すことができなければ浣腸や摘便などの処置が必要になります。また、巨大結腸のような、腸が伸びきって機能しなくなるような状態になれば、これも手術か、一生きつい便秘に悩まされることになります。便を出そうと何度もトイレを往復し、いきみすぎて吐くことも増えていきます。食欲も落ちますし、他にも不快な症状が出てきます。
便秘は一刻を争うような病気ではありませんが、これくらいという油断が一生を左右します。2~3日出ないのが普通ならかなり危ないところにきています。早めに獣医さんと相談して、快適に排便ができるような道筋をつけてあげてください。
その他で気になる行動3つ
我が家の猫には、いつもご機嫌でいてほしいもの。しかし、「普段の様子が少し変わったぞ」と思ったら病院へのサインです。思いがけない病気が隠れていることがあるからです。
7. 消極的な行動をする
明らかにぐったりしていればすぐに病院ですが、
- 引きこもりがち
- 遊びに乗って来ない
- 触るとうるさそうにする
など、何となく元気がないなという場合もあるものです。様子を見るのも大切ですが、飼い主さんの「カン」というのは、かなり鋭いものなのです。気になることがあったら、できるだけ早く病院へ連れて行き、相談することをおすすめします。
8. くしゃみや鼻水などがでる
猫の風邪は珍しくなく、また、慢性化しやすい病気です。
- くしゃみをする
- 透明な鼻水をたらしている
- 鼻に黄色い鼻水が付いている
- 鼻が詰まってブーブー音がする
など。こんな時は、猫は涙目になっていることも多く、明らかに風邪をひいています。猫の鼻詰まりは怖いものです。嗅覚を失った猫は、食べ物を食べ物だと認識できず、お腹が空いていてもフードを食べなくなるからです。また、悪化すれば、口で呼吸しない猫は眠ることもままならなくなります。マイナスの方向へどんどん転がって行きがちですから、風邪だなと思ったら、熱がなくてもすぐに病院へ連れて行きましょう。
9. イライラして攻撃的
触ると怒ったり攻撃してきたりする場合には、どこか痛いのかもしれません。原因は、怪我をしたからかもしれませんし、内臓に問題があるからかもしれません。もしくは、強いストレスにさらされて心に痛みを感じているのかもしれません。
そんな時は、身体に異常がないか診てもらいましょう。原因が心理的なものなら例えば新しい猫が来て気が立っているなら、その対処法を教えてもらいましょう。猫が急に怒りっぽくなるのは、普通ではありません。1日も早く原因を探り、それを取り除く方法を探してあげてください。
まとめ
すぐに病院へ行くべき行動を9つご紹介しましたが、要はいつもと違う様子を見せたら、すぐに病院へ向かうか、少なくとも電話でドクターにアドバイスをもらいましょう。それには、普段から猫を観察しておくことが大切です。
しかし、難しく考えるはありません。食事の時、トイレの時、その折々で少しだけ猫に集中すればいいのです。一緒にいる時間を大切にし、「何をしてても可愛いね」と親ばかでいられたら、それが猫にとってベストな健康管理につながるのではないでしょうか。