猫の『てんかん』最近のお薬事情に関する論文をご紹介します!

猫の『てんかん』最近のお薬事情に関する論文をご紹介します!

珍しいと言われてきた猫のてんかん。しかし、猫さんが長生きになるにつれ、イギリスでは猫の聴覚原性反射性発作(FARS)を誘発するとして高齢猫に高音を聞かせない指導がされるようになるなど、てんかん発作にも様々な報告例が増えてきています。そんなねこのてんかん治療薬についてご紹介。

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記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

猫のてんかんは犬に比べると珍しい病気

ドクターの格好をした子猫

猫のてんかんは、長らく犬に比べると珍しい病気として研究が遅れてきました。

一般的には、昔は猫の痙攣は腎臓病の尿毒症からくるものというイメージが強く、あまり積極的に治療が行われなかったとも聞きます。

しかし、最近では高齢の猫さんが増え、猫のてんかんという話も耳にするようになりました。

論文を集めて検証してみた!

たくさんの薬とナースの格好をした猫

症例数が少ないというのは、まとまった数で薬を試してみることができないということ。 実際、盲目ランダム化比較試験という信頼できる方法でされた研究は二つだそうです。

そこで、18年の3月の論文では、たくさんの症例を個別にひとつひとつ評価をつけ、条件をそろえて安全性と有効性を図ってみようという試みがされました。

(この研究での)個々の抗てんかん薬の効果と安全性評価は、フェノバビタールが第一選択薬とされレベチラセタムとイメピトインがそれに続く選択薬であることが示された。イメピトインは唯一、安全性が強いレベルで示されている。また、効果と安全性については残りのものも含めて弱いレベルでのエビデンスが示されている。

引用: Individual AED assessments of efficacy and safety profile showed that phenobarbital might currently be considered as the first choice AED followed by levetiracetam and imepitoin. Only imepitoin's safety profile was supported by strong level of evidence. Imepitoin's efficacy as well as remaining AEDs' efficacy and safety profile were supported by weak level of evidence.
BMC veterinary research2018Mar02Vol. 14issue(1)

三つの治療薬が第一選択

人の手から錠剤の薬を食べるネコ
  • フェノバビタール
  • レベチラセタム
  • イメピトイン

フェノバビタールは日本でもよく第一選択薬としてつかわれていますが、レベチラセタム(イーケプラなどの名前で人間にはよく処方されているようです)は1次病院ではあまり扱っていません。

イメピトインは、抗痙攣剤のベンゾジアゼピン系薬と同じレセプターに部分的に働きかける新しい薬ですが、これもあまり使われないです。

このほかにも、日本生まれの薬剤で難治性てんかんに処方されるゾニサミドと呼ばれる肝臓や腎臓に負担が少ないと言われる薬も使われるようになりました。

ここ数年で、てんかん薬はたくさんの選択肢を持ち始めています。

てんかんは、見ているほうも本当につらい病気ですので、ぜひよい治療法が増えてほしいですね!

参考文献
https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/29499762

監修獣医師による補足

この他にもガバペンチン、ジアゼパム、臭化カリウムなどの抗てんかん薬がありますが、現状、日本ではフェノバルビタールとゾニサミドがよく使われる傾向にあります。

てんかん発作が安全にコントロールできるのであればどの薬の方が良いということもありませんが、これらの薬剤の中でもジアゼパムは体質的に劇症肝炎や循環不全が起こる可能性があり臭化カリウムは約40%で肺炎が起こる可能性があると言われているので第一選択薬にはなり得ないと考えます。

獣医師:長谷川 諒

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