1.情報を収集・交換する

猫にとって嗅覚は、周りの状況を把握するための大切なセンサーです。人が情報を得るのは視覚に頼りがちですが、猫はにおいから多くの情報を読み取ります。近くにいる相手の性別や年齢、健康状態、見知らぬ存在かどうかまで、においで判断しているのです。
猫トイレや廊下などの通り道に残るにおいは、猫同士の情報交換の手段になります。姿が見えなくても、誰が通ったか、どれくらい前に通ったのかを察知できるほど。そのため、急に生活臭が変わると、環境が変化したと認識し、不安や警戒心が強まることがあります。
2.フェロモンを感じ取る

猫は通常の嗅覚に加えて、上あごのあたりにある「ヤコブソン器官(鋤鼻器・じょびき)」でフェロモンを感知します。フェロモンは感情や状態を伝える化学物質で、安心できる場所か、緊張すべき相手かを判断する材料になるものです。
時折猫が見せる、口を半開きにしてにおいを確認する「フレーメン反応」は、ヤコブソン器官に空気を送り込んで情報の解析を行っている状態で、においを事細かにチェックしています。
フェロモンは行動や気分に強く影響するため、問題行動を抑えるためにフェロモンスプレーといった製品が使われる場合があります。柔軟剤や香水など、強い香りや人工的な香りが多いと、判断が乱れストレスになることもあるので注意が必要です。
3.食べ物の安全性を見極める

ご飯を持っていくと、クンクンとにおいを嗅いでから食べ始める光景を見たことがある方は多いのではないでしょうか。猫が食事前に必ずにおいを嗅ぐのは、好き嫌いからではなく安全確認のためです。
腐敗や異物の有無を嗅覚で確認し、少しでも違和感がある場合は口にしません。この能力は野生時代の名残で、自分や家族の命を守る重要な機能です。
体調不良や鼻の不調があると嗅覚が鈍り、目の前の食べ物の安全性の判断が難しくなり、食欲が落ちてしまいます。
食事環境はにおいの変化を最小限にする配慮が必要で、香りが強すぎるフードや、新しいフードへの急な切り替えをすると猫の警戒心を高めますので注意しましょう。
4.人や場所をにおいで記憶する

猫は人や場所をにおいから得る情報によって記憶します。飼い主のにおいが付いた衣類や寝具の上でゆったりとくつろぐのは、安心できる情報源だと判断できるからです。
においは安心感と直結しているため、引っ越しや模様替えで環境のにおいが大きく変わると、不安が強くなり問題行動が出やすくなります。そんなときは、猫のにおいが付いた物を残すことで精神的な負担を軽減できます。
一方、においと記憶が強く結びつくことで発生しやすいのは、粗相後の場所に尿のにおいが残っていて、同じ所で繰り返すようになるケースです。掃除の際には、きちんとにおいまで取り切るようにしましょう。
5.危険を察知する

猫の嗅覚は、わずかな危険も察知する防衛機能を担っています。刺激臭や異臭は、体に害がある可能性として認識され、人には心地よく感じられる香りでも、猫にとっては強すぎる場合があります。
アロマオイル(精油)、芳香剤、洗剤、香水の香りが原因で、食欲の低下や行動異常が起こることもあります。特に締め切った空間では影響が強く出やすいため、無香料や低刺激の製品を選ぶことが大切です。
特に、アロマオイル(精油)は猫が嗅ぐと中毒を起こしてしまう種類が多いことから、猫を飼っている家庭では使わないようにした方が良いです。
まとめ

様々なシーンで猫がにおいを嗅ぐ姿を目撃しますが、猫の嗅覚は「情報収集」「安全確認」「安心の確保」など数多くの役割を果たしています。あまりの嗅覚の鋭さゆえに、周りのにおいの変化には非常に敏感です。
猫にとって強い香りの製品やフード、引っ越しなどの急激な環境変化は、大きなストレスを与えてしまう要因に。猫の嗅覚の特性を理解し、強い香りを極力使わない安定した環境を整えることが、心身の健康を守ることにつながります。