猫には『被毛のタイプ』が4種類ある?意外なルーツからケア方法まで解説

猫には『被毛のタイプ』が4種類ある?意外なルーツからケア方法まで解説

猫の毛並みは、ふわふわだったり、つるんとしていたり、触れるだけでその子の個性が伝わってくるものですよね。その違いには「4つの被毛タイプ」と、それぞれの猫が歩んできた歴史が深く関わっています。ここでは、被毛のルーツやケア方法についてご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

1.短毛猫

寝ている猫

短毛猫には、暑い地域出身の『シングルコート』と、寒い地域出身の『ダブルコート』の2タイプが存在します。

日本で人気の「アメリカンショートヘア」「ロシアンブルー」「ブリティッシュショートヘア」「マンチカン」などは、実は寒さに耐えられるようアンダーコートが密集した『ダブルコート』の猫種です。

短毛とはいえ、びっしりと生えた毛が体温を逃さない構造になっており、見た目以上のボリュームがあるのが特徴です。

さらっとした手触りのおかげで筋肉の動きが感じられ、短毛ならではの近い距離感が楽しめます。

短毛ですが毛の密度が非常に高いため、抜け毛の量は多めです。

特に春と秋の換毛期には、アンダーコートがごっそりと抜けるため、ラバーブラシなどを使った定期的な抜け毛ケアが欠かせません。 また、毛が密生しているため地肌が蒸れやすく、皮膚トラブルの原因になることも。ブラッシングで通気性を良くしてあげることが、健康な皮膚を保つポイントです。

2.長毛猫

ノルウェージャン

長毛猫の多くは寒い地域をルーツに持ち、アンダーコートが豊富なダブルコートで体温を守ってきた歴史があります。

ノルウェージャンフォレストキャット、ペルシャ、メインクーン、ラグドールなどが代表的で、ふわりと空気を含む毛並みは美しく防寒性も抜群です。

その反面絡まりやすいため、毛玉を防ぐこまめなブラッシングが欠かせません。抜け毛は季節によって増えるものの、揺れる長毛のやわらかさは唯一無二です。

長毛猫は換毛期の抜け毛がとにかく多めで、ケアの頻度がポイントになります。

コームとスリッカーを使い分け、毛玉ができやすい脇腹やおしり周りを丁寧にほぐすと猫が快適に過ごすことができます。

空気を含んだふわふわの毛並みが魅力的なので、日常的なブラッシングが美しく保つコツになりますね。

3.巻き毛のカーリーコート

巻き毛猫

巻き毛の猫種は、遺伝的な突然変異によって生まれた非常にユニークで個性的な毛質です。

代表的な猫種には、「セルカークレックス」「デボンレックス」「ラパーマ」などがおり、波打つようなカールは軽やかで、触るとやわらかい質感が楽しめます。

カールの形を保つには、ブラシよりもコームのほうが向いています。強く引っ張るとカールが伸びたり切れ毛の原因になりやすいので、優しく整えるのがコツです。

皮脂が毛先まで届きにくい体質の子もいるため、乾燥が気になれば獣医に相談しながら保湿ケアを取り入れていくと安心です。毛並みが軽い分、暑さにも比較的強い傾向があります。

4.無毛のヘアレス系

スフィンクス

スフィンクスに代表されるヘアレス系は、被毛がほとんどない特殊なタイプです。

これも遺伝子の突然変異がルーツで、被毛がないため体温が外に逃げやすく、触れるとじんわりとした温もりを感じるのが魅力となっています。

毛がないぶん、皮脂が直接皮膚に溜まりやすいので、定期的なボディケアが必須です。濡れタオルでの拭き取りや、猫用シャンプーでの優しい洗浄が清潔さを保つポイントになります。

寒さに弱い体質でもあるため、室温管理や服の着用をうまく取り入れ、負担のない環境づくりを工夫してあげたいところです。また、紫外線による火傷や皮膚ガンのリスクも高く、日焼け対策が必須です。

まとめ

くっつきあう猫2匹

猫の被毛には4つのタイプがあり、それぞれに歴史や得意な環境があると分かると、毎日のケアがぐっと楽しくなります。

毛の厚さや質感は、遠い昔にその猫たちがどんな場所で暮らしていたのかを静かに語ってくれるものです。

その特性に合わせたブラッシングや温度管理を少し意識するだけで、愛猫がもっと心地よく過ごせます。

それぞれの毛質の違いを知り、愛猫に合ったお手入れと環境で快適な暮らしを保ってあげたいですね。

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