猫のご飯を出しっぱなしにするのが危険な理由3つ

ご飯を出しっぱなしにするのは、猫のペースを尊重している良い与え方のように思えますが、実は注意が必要な与え方です。フードの劣化、肥満の助長、健康管理が困難になるなどのリスクがあります。室温や湿度が高い季節はカビや細菌の発生など衛生面でも注意が必要で、慢性的な不調の原因にもなりかねません。
1.フードの劣化・衛生
ご飯の出しっぱなしは、フードの劣化や衛生状況を悪化させ、消化不良などのトラブルを引き起こすリスクがあります。
一般にドライフードは保存性が高いのですが、空気に触れると油分が酸化し、ニオイも味も落ちていきます。酸化したフードは猫の消化器官に負担をかけ、軟便や嘔吐などのトラブルを引き起こす可能性があるため、長時間出しっぱなしにするのは避けたほうが安全です。
ドライフードを置き餌にしている飼い主さんも多いと思われますが、フードの酸化に配慮した自動給餌器を使うなどして、安全に食べられるようにしましょう。
また、ウェットフードは水分量が多く、常温では雑菌が繁殖しやすくなっています。そのため、食べなくても30分ほどで片付けることが推奨されます。特に、夏場は傷みやすく注意が必要です。
2.肥満や病気の原因になる
出しっぱなしにしているとダラダラ食べてしまい、肥満や糖尿病などの原因にもなりかねません。
本来、猫は小分けにして食べる習性があると言われますが、それは猫によりけり。好きなときに、好きなだけ食べられるという環境では、食べ過ぎてしまう猫もいます。気づいたときには肥満になっていた…なんてことも、実はけっこう多いのです。
肥満になると、関節に負担をかけるため、生活の質が著しく低下します。さらに、糖尿病、尿路結石、肝臓への負担など、多くの病気のリスクが一気に高まります。出しっぱなしは、愛猫の健康を害し、寿命を縮める原因にもなるのです。
ご飯を出しっぱなしにするのが絶対にダメとは言いませんが、1日の量を決めるなどしっかりと管理する必要があります。
3.健康管理が困難になる
ご飯の出しっぱなしは、衛生面や肥満などの問題もありますが、日常的な健康管理をも困難にしてしまいます。ご飯を出しっぱなしにすると、猫が「いつ、どれだけの量を食べたか」が把握しづらくなりますし、食べ方の変化にも気づきにくくなります。その結果、病気の早期発見が遅れかねません。
また、複数の猫がいる家庭なら、誰がどのくらい食べているのか把握できなくなります。体調変化に気づくタイミングが遅れて、治療が後手に回るリスクが高くなるでしょう。さらに、肥満や栄養不足などの原因にもなりかねません。
猫の食欲は健康のバロメーターでもあります。食事量はもちろん、食いつきや食べ方などもよく観察するようにしましょう。
猫のご飯の適切な与え方とは

適切なごはんの与え方の基本は「決まった時間」に「決まった量」を「決まった回数」あげることです。これによって猫の1日の摂取量が正確に把握でき、体調の変化にもいち早く気づけます。フードは必ず計量してから与え、残った場合は長くても30分程度で片付けましょう。
忙しい飼い主さんは自動給餌器の利用が便利です。猫の生活リズムが整えられ、飼い主さんの食事管理も一気に楽になります。
また、ドライフードは密閉容器に入れ、冷暗所に保存することで劣化を最小限に抑えられます。保存方法にも気を配るようにしましょう。
ただし、猫のペースもあると思います。出しっぱなしスタイルが良いという猫には、1度に入れるご飯の量を少なくして小まめに足す、1日の給餌量を徹底するなど、少しでも安全に与えられるように工夫しましょう。
まとめ

ご飯の出しっぱなしは、猫が好きなときに食べられ、飼い主さんの手間を減らすことができて良いことのように思えますよね。しかし、実際には劣化・肥満・健康管理の不備という三重のリスクを抱えた習慣でもあります。病気の発見が遅れてしまう原因にもなりかねません。
猫の健康を守るためには、適切な食事管理が重要です。量、回数、時間を守り、食べ残しは放置せずに片付けるようにしましょう。
とはいえ、猫によってペースがあります。飼い主さんの理想を押し通して、ストレスになってしまってはお互いに不幸です。愛猫の様子を見ながら柔軟に対応することが大切です。