猫が男性より女性を好むとされている理由

1.声のトーンが高く話し方が穏やか
一般に、体格の大きい動物の声は、小さい動物の声よりも低くなる傾向があります。そのため、体の小さな猫は低い声よりも高い声を好む傾向があります。また声量が大きく乱暴な言葉遣いよりも、適度に小さな声量で穏やかな話し方をする方に、より安心感を覚えることは想像に難くありません。
警戒心の強い猫にとって、低いトーンで乱暴な話し方をする大声の人よりも、高いトーンの声で穏やかに話す小声気味の人の方が、好まれやすいのだと考えられます。そして前者は男性に、後者は女性に多い傾向があるため、それが「女性を好む」という結果に現れたのでしょう。
2.柔らかな物腰で押しが弱い
声と同様に、動作も猫に対して威圧感を与えない人の方が安心され、好まれる傾向にあります。一般的に、体が大きく動作も大きく力強くなりやすい男性よりも、体が小柄で物腰の柔らかい女性の方が、安心感を与えやすいと考えられます。自分の思いのままにぐいぐいと押しの強い男性的な行動パターンも、猫には威圧感を与えやすいでしょう。
3.猫の扱いに慣れている人が多い
実験や調査が行われた時代は、まだ「外で働く男性と家庭を守る女性」という傾向が今よりも強かったと考えられます。そのため、猫が好んだ女性の方が、男性よりも在宅時間が長く、普段から猫と接する時間が長いという傾向が見られるケースもありました。
4.相手のペースに合わせられる人が多い
男性は椅子に座ったまま猫に話しかける人が多く、女性はしゃがんで猫の目線に合わせた姿勢で話しかける人が多かったという報告もありました。猫と接している時間の長さとも関係しているかもしれませんが、子育ての経験が男性よりも多い女性の方が、相手のペースに合わせられる人が多く、猫にも安心感を与えやすかったということも考えられます。
5.猫は男性より女性のニオイを好むという説も
ある研究で、「多くの動物は、女性の汗より男性の汗のニオイを不快に感じる」という結果が見られたそうです。この実験の対象はマウスだったようですが、猫にも同じような傾向が見られる可能性はあるでしょう。
ちなみに、男性の脇の下の汗に含まれる特定の成分が、猫をはじめほとんどの哺乳類に対してストレスを与える可能性があるという研究結果もみられます。
ただし、その後のコミュニケーションで信頼関係を築ければ、この問題はクリアできると考えられます。男性は必ず猫から不快に思われ、良好な関係を結べないという根拠にはならないでしょう。
男性が猫との距離を縮めるための方法

猫から好まれづらいと自覚されている方が、性別を問わずに意識すると良いと思われる「猫との距離を縮めるための方法」をご紹介します。
普段の言動を柔和にするよう心がける
普段から、行動や話し方について下記のポイントを心がけるようにしましょう。
- 声のトーンを意識して少し高めにする
- 声を張らずに適度な声量で話す
- 話す速度や動作は、意識してゆっくり穏やかにする
- 何かを思いついても、突発的に大きな動作をしない
自分の気持ちは抑えて猫のペースを尊重する
「仲良くなりたい」という気持ちは一旦抑え、何をするにも猫のペースを尊重しましょう。自分から近寄っていくのではなく、猫の方から近づいてきてくれるのを待ちましょう。ぐいぐいと押しが強い行動は、かえって敬遠されてしまいます。
一番大切なのはその猫に寄り添うこと

老若男女問わず、猫と仲良くなるために最も大切なことは、猫を驚かせず、怖がらせず、安全で安心できる存在だと認めてもらうことです。猫が好むような話し方や行動を心がけるのも、全てを猫のペースに合わせるのも、目的は猫からの信頼を得るためです。
そして、すべての猫は「猫」という一括りで表せる存在ではありません。それぞれの猫により、性格もこれまでの経験もさまざまです。猫はあなたを「人」とか「男性」「女性」のような分類としてではなく、「あなた」として見、感じ、信頼できるかどうかを判断しているはずです。
私たちも、相手を「猫」と一括りで見るのではなく、1匹の猫として個体を見、感じ、相手の気持ちに寄り添うことが、仲良くなるための近道なのではないでしょうか。
まとめ

猫が男性よりも女性の方が好きだなんて、単なる都市伝説だと思う方もいるでしょう。しかし、警戒心の強い猫の習性を考えると、たしかに「男性的」と言われる言動よりも「女性的」と言われる言動の方が、猫に安心感を与えやすいという考え方にも一理あります。
猫が男性よりも女性の方を好みやすいというのが事実だとしても、それは「男性」か「女性」かが問題の本質ではありません。老若男女を問わず、猫の習性を知り、そして個々の猫の性格や反応をよく観察し、寄り添うことで、信頼を得ることができるでしょう。