1.話しかけるトーンはやや高めに

猫は耳の良い動物で、その聴覚は人間の約4倍以上と言われ、約60~6万ヘルツの可聴域(人間は約20~2万ヘルツ)を誇っています。獲物であるネズミの鳴き声や虫の羽音を感知するため、特に高音域の聞き取りが得意です。
高い声のほうが聞き取りやすい猫の特性を踏まえると、人間の場合でも、男性よりも女性の声のほうを好むと考えられています(ただし、金切り声は不快感を与えるため、NG)。
男性の低い声は、大昔の捕食動物の唸り声を連想させるので、多くの猫は苦手です。たとえば、聞き惚れるような名声優さんの「君を愛してる…」という魅力的な低音ボイスも、猫にはリアルな野獣の雄叫びに聞こえてしまうかもしれません。
愛猫によりお近づきになりたいなら、まず、意識的に高めの声で話しかけるようにしましょう。
2.穏やかな調子で

前項でも触れたように、高めの声を心がけても、金切り声を上げたり、叫んだりしては何の効果もありません。大事なのは、トーンを高く保ったまま、ゆったりと穏やかな調子でささやきかけることです。
言葉を持たない猫は、意味そのものよりも、話しかけられたときの「雰囲気」で、自分にとって好ましい情報か、そうでないかを判断します。
「いい子だね」と呟かれたら何となくうれしくなり、イタズラをしでかした後、「ダメでしょ!」と叱られたら、ちょっとブルーな気分になります。
むしろ、言葉が通じない分、音や響きによって、飼い主さんの意図をより鋭敏に察知しているかのようです。
飼い主さんが落ち着いた感じで声掛けすると、愛猫は「なんか安心できる人だなぁ…」と受け取り、リラックスできます。愛猫と仲良くなるには、安心感を持ってもらうことが何よりも重要です。
高めのトーンで穏やかに話しかけられるようになれば、次は、愛猫家・究極の声掛け「赤ちゃん言葉の名手」へステップアップです。
3. 目指すは赤ちゃん言葉の名手!

男女問わず、洗練された飼い主さんであれば、知らないうちに、ナチュラルな赤ちゃん言葉の使い手になっているはずです。
「かわいいでちゅね~」、「ごはんでちゅか~」、「どちた~」、「ちゅきだよ~」。
おそらく、飼い主さんごとに、決して他人には聞かれたくない、オリジナルでちょっと恥ずかしい赤ちゃん言葉があることでしょう。
経験してみればわかりますが、赤ちゃん言葉を使うと、自然にトーンが高くなり、ゆっくりした口調になります。少なくとも駅前の街頭演説のような絶叫は不可能です。愛猫から厚い支持を獲得するには、「でちゅね~」をそっと添えたささやきメッセージが欠かせません。
飼い主さんの多くが愛猫相手に赤ちゃん言葉を使うのは、猫がもともと赤ちゃんっぽい特徴を備えているから、と言われています。顔のわりに大きな瞳、手足の短さ、まんまるとした身体つきなど、どれも人間の赤ちゃんとそっくりです。
赤ちゃん言葉は、猫にとって聞き心地が良く、コミュニケーション手段として非常に優れています。
もしみなさんが愛猫との仲をさらに深めたいなら、臆することなく、赤ちゃん言葉に挑戦し、「マイスター」の域を目指してみてください。
まとめ

今回は、猫が好む声はどういったものなのか、3つの具体例を紹介しました。
ひと言でまとめたら、「話すトーンはやや高めに、ゆっくりとした口調」が基本です。霊長類最強の声掛け「赤ちゃん言葉」は、この2つの特徴を最初から網羅しています。
極言すれば、愛猫に好んでもらえるかどうかは、恥ずかしがらずに胸を張って、「赤ちゃん言葉」を使えるかどうか、飼い主さんの「勇気」にかかっているとも言えます。
本文で紹介した内容を元に、語尾の「でちゅね~」によりいっそう磨きをかけ、愛猫のハートをぜひつかんでみてください。