1.社会性が育っているから

猫の社会性は、生後2週齢から7週齢前後の「社会化期」の過ごし方によって大きく左右されます。
この大切な時期に、人や他の動物とふれあう機会をつくることで、猫は「怖くない」「仲間だ」と認識しやすくなります。
つまり、子猫のうちから犬やうさぎなどと一緒に過ごしていれば、警戒することなく仲良くなりやすいのです。
さらに社会化期とされる期間は、人や動物との関わりだけでなく、さまざまな経験に慣れてもらうチャンスでもあります。
爪切りやキャリーに入る練習なども、この時期から始めてみてはいかがでしょうか。
もちろん社会化期を過ぎた後でも、根気強く丁寧に接することで、少しずつ社会性を身につけることができると言われています。
2.共感能力や母性本能が働いているから

猫が他の動物の赤ちゃんを受け入れて育てる姿は、ネットでもよく話題になっています。
ある動物園では、保護されたタヌキの赤ちゃんを猫が自分の寝床に運び、他の子猫と一緒に授乳させたケースも報告されていました。
この行動の背景には、多くの哺乳類が持っているとされる「共感能力」が関係していると考えられています。
特に猫は母性本能が強いため、お世話を必要とする命に対して「かわいそう」「お腹が空いていそう」といった感情を抱きやすいのかもしれません。
また、一緒にいることで得られる安心感や楽しさも、別の動物を仲間として迎え入れる大きな要因になっていると言えるでしょう。
3.違う種でも同じ仲間とみなしているから

一説によると、猫は飼い主さんのことを「大きな猫」と認識していると言われています。
相手が猫でも人間でも、猫には態度の変化が見られないことから、この説が生まれました。
つまり、猫は自分と同じ動物かどうかではなく、相手の行動や接し方を見て、仲良くなれるかを判断している可能性があります。
また、他の動物を仲間と誤って認識することを、専門用語では「誤解発(ごかいはつ)」と呼び、これは猫以外の動物でも見られる習性なのだとか。
異なる種であっても仲間として受け入れる姿は、まるで「仲良しのかたちに正解はない」ということを、私たちに教えてくれているようです。
他の動物と同時に飼うときの注意点

「猫が他の動物とも仲良くなれる」というのは、必ずしも全ての猫に当てはまるものではありません。
育ってきた環境や性格によっても左右されますし、猫は本来「狩猟本能」を持つ動物だということを、理解しておく必要があります。
同時に飼う際には、お互いのストレスにならないような配慮と安全を守る責任が、飼い主さんにあります。
できれば、社会性が育ちやすく警戒心の薄い「子猫」のうちから一緒に飼うと、スムーズに慣れてもらいやすいでしょう。
一緒に遊ばせるときには、必ず飼い主さんが見守ることが大切です。
安心できる居場所をお互いに設け、相性が合わない場合や危険が伴うときは、完全に別室で飼うことも検討しましょう。
まとめ

猫が他の動物と仲良くできるのは、子猫の頃に身につけた社会性や、多くの動物が持っている共感能力、違う種でも仲間とみなす習性が要因として考えられます。
とはいえ、他の動物との同居にはリスクも伴います。
まずはお互いが安心して過ごせる環境を整え、少しずつ距離を縮めていくことが大切です。
猫のペースを尊重しながら、無理なく関係性を築いていきましょう。