1.猫は気象予報士って本当?

結論から言うと、半分本当で、半分迷信です。少なくとも気象予報士の資格は持っていません。ただ、生まれながらの感覚をベースに、猫には天気の急変を感知する能力がある、と昔から囁かれています。
この話の出どころは、例の「猫が顔を洗うと雨が降る」という俗説です。
猫が顔を洗うのは、口まわりをキレイにするだけでなく、ヒゲのお手入れ、という目的もあります。
神経が密集する猫のヒゲには、温度や匂い、障害物との距離感の捕捉など、さまざまな役割があります。単独で狩りして暮らす猫にとって、ヒゲはサバイバルツールのひとつであり、非常に重要な部位です。
ところが、低気圧が近づくと、大事なヒゲが湿気を含んでハリを失ってしまいます。放っておくと、体感センサーとしての機能が低下。そこで猫は、正常な状態をキープするため、まるで顔を洗うかのように、ヒゲをせっせとメンテナンスします。
天気に左右されがちな漁師さんたちの間で、大昔から「猫が顔を洗うと雨が降る」と言われていたのは、日々の観察を通じて、雨降り前の猫のしぐさに気づいていたからです。
そういった背景もあって、「猫が顔を洗うと雨が降る」という言い伝えが、意外に信憑性の高い俗説として、人びとの間で今でも信じられています。
2.猫は霊能者って本当?

猫には幽霊が見える、と半ば愛猫家たちの間で噂になっています。本当にそうなのでしょうか?
答えから先に言うと、単なる噂話に過ぎません。おそらく、愛猫の一点凝視時の迫力と神秘性に、猫好きのみなさんの想像力が刺激され、「幽霊が…見えている!」と直観したのでしょう。急にピタッと動きを止め、虚空を見つめる猫の姿は、確かに霊能者のそれです。
猫が壁や天井をじーっと見るのは、「部屋の中を舞うホコリが気になっている」、あるいは「遠くから響いてくる物音を集中して聞いている」といった可能性があります。いずれにしても、霊的な存在への反応ではなく、聴覚・視覚を駆使した結果です。
もし猫が本当に霊能者で、心霊現象を幻視できたら、生活に支障をきたすような深刻な事態になるかもしれません。
「落ち武者が寿司詰め状態…」
そんなおうちには決して住みたくないものです。
3.猫は辛口グルメ評論家って本当?

猫の食に対するこだわりは、猫飼いさんなら、日々、イヤというほど味わっているはずです。
好き嫌いの激しさはもちろん、いったん気に入ったフードでも、一定期間が過ぎると、容赦なく「好かん」のカテゴリーに入れられてしまいます。猫のシビアな食通ぶりは、まるで辛口グルメ評論家のようです。
猫の食べムラには、「ネオフォビア(新奇恐怖症)」、「ネオフィリア(新しいもの好き)」という異なる2つの要素が深く影響している、と考えられています。
「ネオフィリア」は、同じメニューが続いたとき、「もう飽きたよ!」の意思表示として表れます。一方、「ネオフォビア」は、飼い主さん厳選の高級プレミアムフードへの切り替えに「No!」を突きつけます。
この背景には、野生時代の名残が関係しています。
栄養源が限られる野生下では、同じ種類の食べ物に依存していると、環境の変化などで獲物の数が激減した場合、命の危機に直面します。幅広い獲物のレパートリーを持っておくことが、危機管理上の猫のフードスタイルです。
ちなみに、「ネオフォビア」、「ネオフィリア」、どちらの傾向が強いかは、個体差によるところが大きいと言われています。
猫が数多のグルメ評論家と一線を画しているのは、ダメな理由を一切論評してくれないことです。不満点を指摘してくれれば改善の余地はありますが、ただ、手つかずのフードを残し、クールに立ち去るだけ。言葉で表現しない分、ある意味、辛口グルメ評論家よりも激辛です。
まとめ

ミステリアスな猫は、私たち人間にさまざまな影響を与えています。猫の噂や迷信、言い伝えの豊富さもそのひとつの証です。
今回は、代表的なものとして、「天気にまつわる言い伝え」、「超能力めいた迷信」、「食に関する噂」の3つを紹介しました。
猫が私たちの心をつかんで離さない限り、おそらく、今後も、ウソか本当かわからない、奇妙で不思議な言い伝えや迷信が生まれていくことでしょう。それもまた、猫を語るうえでたまらない魅力になるはずです。