猫を「乾燥」から守るための3つの対策

1.水分摂取量を増やす
猫の体の約60〜70%は水分で構成されており、乾燥対策の基本は体の中から潤すことです。猫はもともと砂漠出身の動物で、あまり水を飲まない習性があるため、飼い主が意識して水分補給を促す必要があります。
具体的な工夫として、まずウェットフードや手作り食を積極的に取り入れ、食事から水分を補給させましょう。
ドライフードを与える場合も、ぬるま湯や猫用ミルクでふやかすのは有効です。また、飲み水は複数箇所に設置し、常に新鮮な状態を保つようにしてください。
特に猫が好む「循環式の給水器」は、流れる水に興味を示し、飲水量が増えやすい傾向があります。飲水器の素材や形状、設置場所など、愛猫の好みを把握して対策をとるようにしましょう。
愛猫の好みがわかりづらい場合、さまざまなタイプの給水器を置いてみて、一番飲んでいるタイプはどんなものなのかを観察するとわかりやすいです。
2.部屋の湿度を適切に保つ
猫の皮膚や粘膜を乾燥から守るためには、生活環境の湿度管理が欠かせません。冬場など暖房器具を使用する時期は、室内の湿度が急激に下がりやすくなります。
湿度が低すぎると、猫の皮膚のバリア機能が低下し、フケやかゆみ、アレルギー症状などを引き起こしやすくなります。
理想的な湿度は、猫にとっても人にとっても快適な「40%~60%」を目安とし、加湿器を使って維持しましょう。
ただし、湿度が高すぎるとカビやダニが繁殖しやすくなるため、湿度計で定期的にチェックすることが大切です。
また、加湿器がない場合は、濡れたタオルを室内に干す、観葉植物を置くといった方法でも、ある程度の湿度を確保できます。
3.体の外側から保湿ケア
体の中や環境から対策を講じたら、次は皮膚に直接潤いを与える外側からの保湿ケアを取り入れましょう。
乾燥が原因でフケやかゆみが出ている猫には、保湿成分が含まれた猫用のシャンプーを選び、優しく洗うことが効果的です。
また、シャンプーの頻度が高すぎるとかえって皮膚の油分を取り過ぎて乾燥を悪化させる可能性があるため、洗いすぎには注意が必要です。
シャンプーが強いストレスに感じることも多いので、ふき取りタイプのタオルシャンプーやブラッシングの強化のみでも良いでしょう。
日常的なケアとしては、保湿成分入りのミストやローションを、ブラッシング時などに皮膚や被毛に直接スプレーしてなじませると、手軽に保湿効果を得られます。
ただし、猫は香りに敏感なため、無香料のものを選ぶ、舐めても安全な成分であることなどを確認してから使用しましょう。
猫が「乾燥」しやすい理由と放置してはいけない深刻な影響

猫は、もともと水をあまり飲まないという性質に加え、被毛に覆われているため飼い主が皮膚の乾燥に気づきにくいことから、乾燥によるリスクを抱えやすい動物です。
乾燥を放置すると、体の内側と外側の両方に深刻な健康被害をもたらす可能性も。内側では、慢性的な水分不足が脱水状態を引き起こし、血液が濃くなることで尿が濃縮されます。
これは腎臓への負担を増大させ、尿石症や膀胱炎といった泌尿器系の病気のリスクを大幅に高める要因となるので注意が必要です。
外側では、皮膚が乾燥することでバリア機能が低下し、フケ、かゆみ、皮膚炎といったトラブルが発生しやすくなります。
乾燥は、猫の生活の質を著しく低下させ、命にかかわる病気にもつながるため、決して放置してはいけません。
飼い主が確認すべき「乾燥」のサイン

愛猫が乾燥しているかどうかを早期に判断するためには、日頃から体の状態をチェックする習慣を持つことが大切です。
まず、脱水のサインとして重要なのが「皮膚の弾力」です。猫の背中側の皮膚を優しくつまみ上げ、すぐに元に戻らなければ脱水が疑われます。
また、歯茎のチェックも有効です。指で歯茎を軽く押さえ、離した後にピンク色が戻るまでの時間が長い場合も脱水状態のサインです。
外側からの乾燥のサインとしては、フケが多くなる、毛ヅヤがなくなる、体を頻繁に掻く、肉球がひび割れるといった皮膚や被毛の変化が挙げられます。
さらに、水の飲み方やトイレの回数が減っていないか、尿の量が極端に少なく濃くなっていないかなど、排泄の様子も注意深く観察しましょう。
まとめ

猫にとって「乾燥」は、単なる皮膚のトラブルではなく、腎臓病や尿路疾患といった重篤な病気を引き起こす可能性もある危険な状態です。
水分摂取量の増加、室内の適切な湿度管理、そして外側からの保湿ケアという三本柱の対策を講じることで、愛猫の健康を守ることができます。
乾燥のサインは目立たないことが多いため、飼い主は日々の観察を怠らず、愛猫の健康と長寿のために、継続的な乾燥対策を実践していきましょう。