1.繊細で豊かなしっぽの動き

愛猫の気持ちがいちばん表れやすいのは、しっぽの動きです。
猫は、人間の言葉の代わりに、変幻自在にしっぽを操ることで、さまざまな気持ちを伝えてくれます。
一例を挙げると、ピーンと元気よく立っているときは、「上機嫌」、反対に、パタパタと左右に忙しなく振っているときは、「不機嫌やストレス状態」の意思表示です。
この他にも、身体に巻きつけたり、後ろ脚に挟んだりしているときは、「警戒や恐怖」、水平状態を保ったまま、先っぽだけをゆらゆら揺らしているときは、「集中(もしくは迷い)」などもあります。
猫のしっぽの繊細かつ豊かな動きは、漫画で言えば、フキダシのようなものです。その時々の猫の気持ちがストレートに表れています。
飼い主さんの帰宅後、しっぽをピーンと立てながらお出迎えに来たときは、「ヤッター!やっと会えた!」、爪切り時のしっぽパタパタは、「いい加減にしてちょうだいよ!」。
しっぽの変化を通じて、意外に冗舌な愛猫の本音が浮かび上がってきます。
2.人間との関わりで学んだ鳴き声

しっぽの動きと同様に、鳴き声の変化もまた、猫の心理を読み解く際の大事なポイントです。
甲高い調子で「ニャー!」と鳴けば、何らかの要求(ゴハンやスキンシップ、おもちゃ遊びなど)のサインで、鬼気迫る様子で「シャーッ!」と鳴けば、「これ以上近寄ると、容赦しないぞ!」という威嚇を表現しています。
また、飼い主さんの不在時に、やや低めのトーンで「ニャーオ」や「ミーオ」と長めに鳴くときは、「寂しいよ…不安だ…」といった心理状態です。
逆に、飼い主さんにやさしく撫でられて、ゴロゴロ音を響かせているときは、「この上なく幸せ…」と最高の気分に浸ってくれています。愛猫のゴロゴロ音は、飼い主さんにとって至福のメロディーでしょう。
ただ、猫はひと筋縄ではいかない動物で、同じゴロゴロ音でも、状況によって意味が変わってきます。不安やストレス、要求を含んでいる場合は、ゴロゴロのピッチが速く(何となく忙しい感じ)、トーンがやや高くなります。
ちなみに、猫はもともとあまり鳴かない動物で、現在の飼い猫のように頻繁に鳴くようになったのは、人間と暮らして以降のことだと言われています。人間相手に鳴くと、ゴハンをもらえたり、撫でられたり、自分の利益になることを学習した結果です。
3.耳の反応で愛猫の気持ちがわかる

3つ目は、耳の反応です。
猫は鋭い聴覚の持ち主で、その能力は人間の約4倍以上だと考えられています。
デフォルト・モードは耳を正面に向けた状態ですが、気になる音を察知すると、ピンと張り詰めたかのように立ちます。人間と違って、左右バラバラに動くのも猫耳の特徴で、まるで柔軟な素材でできたパラボラアンテナみたいです。
耳を倒して、横に引っ張ったような状態は、いわゆる「イカ耳」と呼ばれ、「不安や怒り、恐怖」といったネガティブな感情を示しています。
面白いのは、「イカ耳」のように見えても、実は、リラックス・モード(眠たいなど)の場合もあることです。その際は、お怒りモードと比べると、ほどよく力が抜けています。おうちのソファーで飼い主さんが足を投げ出してくつろいでいる状態に何となく近い感じです。
似たような耳の反応でも、まったく正反対の意味が潜んでいる―この二重性は、猫の不思議さを端的に表す好例かもしれません。飼い主さんにとっては、「読耳術」の力量を試されているかのようです。
特に「イカ耳」のときは、愛猫の機嫌を損ねないように、注意深く観察してから、「そっとしておく」、あるいは「やさしく撫でる」など、飼い主さんは適切な行動を判断してみてください。
まとめ

今回の記事では、愛猫の気持ちを推し量る3つのポイントを紹介しました。
「しっぽの動き」、「鳴き声」、「耳のかたち」、この3つを的確に読み取れるようになると、愛猫の本音や心理状態に気づきやすくなります。
まずは、バリエーション豊富な「しっぽの動き」に注目して、愛猫が今どんなことを思っているのか、少しずつ理解を深めていってください。経験を積んだ先には、よりいっそう良好な愛猫との信頼関係が待っているはずです。