1.飼い主さんの匂いに安心するから

1つ目の理由は、安心感を得たいからです。
猫は匂いに敏感な動物で、食べ物の良し悪しや獲物の気配など、鋭い嗅覚によって多くの物事を判断します。特に、匂いを通じた安全・安心確認は、猫の非常に重要な「仕事」です。
たとえば、出先から帰った飼い主さんの服は、汗や体臭などを含め、さまざまな匂いがしみついています。匂いフェチの愛猫からすれば、飼い主さんの「個性」が全開にあふれる、またとないスポットです。その濃厚な匂いを放っておくわけにはいきません。
どんなに汗まみれのTシャツでも、飼い主さんの匂いがあふれているので、愛猫は喜んで「服の上」に寝転びに行きます。おそらく、飼い主さんが思う以上に、愛猫にとってリラックスできる場所なのでしょう。
ついでに言えば、「服の上」に、飼い主さん自身が「うっ!」とむせ返る、脱ぎたてフレッシュな夏場の靴下もそろうと、より愛猫好みな寝床が整います。
2.素材の感触が心地よいから

2つ目の理由は、素材の感触が心地よいからです。
猫は匂いだけでなく、素材にも強いこだわりを持っています。みなさんの愛猫がモコモコ生地の猫ベッドや毛布を好むのも、肌触りが絶妙ゆえのことです。
多くの猫は、ボア生地やフリース生地のように、やわらかく、ふわふわした「服の上」が大好きです。しかも、飼い主さんの匂い付きなので、たまりません。ただくつろぐだけでなく、鼻を突っ込んだり、ホリホリしたり、自分なりに楽しむ術を知っています。
その姿はまるで、飼い主さんが愛猫をナデナデし、ときに顔を埋めて匂いを嗅ぐのと同じです。
類は友を呼ぶ、と言いますが、猫は主を選ぶ、ということなのでしょうか。「服の上」、「猫の上」、気づかないうちに、お互いに似たことをやっています。
3.脱ぎたての服は暖かいから

最後の3つ目は、脱ぎたての服が暖かいからです。
猫は基本的に寒さが苦手で、特に冬場は、あらゆる手を尽くして、暖をとろうとします。飼い主さんの膝の上をはじめ、前述したモコモコ毛布、ベッドでの添い寝など、寒さ対策に余念がありません。
そういう意味では、脱ぎたての服もまた、愛猫にとって絶好の防寒グッズです。
帰宅後、飼い主さんが部屋着に着替え、家事に取りかかるや否や、まるで正月の餅撒きのように、愛猫は、無造作に脱ぎ捨てられた「服の上」に飛びつきます。
脱ぎたてホヤホヤの「服の上」は、飼い主さんの分身がまだそこにいるかのごとく、抜群のぬくもりを残しています。私たちの感覚で言うと、おそらく、ちょうど良い湯加減の温泉に浸かっているような心地よさなのかもしれません。
飼い主さんの服が愛猫の抜け毛だらけになって困るなら、こまめなブラッシングを欠かさないようにしましょう。服についた抜け毛は、エチケットブラシなどで取り除いてみてください。
まとめ

今回は、猫がなぜ飼い主さんの「服の上」に入り浸るのか、3つのポイントに絞って解説しました。
「飼い主さんの匂い」、「素材の肌触り」、「ほどよいぬくもり」は、どれも愛猫の安心感を演出する大切な要素です。つまりは、飼い主さんの「服の上」は、いろいろな意味で、愛猫にとって居心地の良い場所なのでしょう。
日常生活に支障が生じない限り、「服の上」でまったりくつろぐ愛猫を、飼い主さんは温かく見守ってあげてください。