猫の『視力低下』の原因となる病気3選 目が見えていないときのサインや予防策まで解説

猫の『視力低下』の原因となる病気3選 目が見えていないときのサインや予防策まで解説

猫も、人間の陽に視力が悪くなることがあるのでしょうか?今回は、視力低下を招きやすい4つの疾患についてご紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.緑内障

グリーンアイの猫

猫が視力低下する疾患のひとつに、「緑内障」というものがあります。緑内障とは、眼圧が高くなることで視力低下を招く疾患のこと。罹患する原因はさまざまありますが、猫のケースでは慢性的なぶどう膜炎から関連することが多いといわれています。

急性の場合、痛みや充血、目の大きさに変化が現れることもあります。慢性の場合は、徐々に視野が狭くなり、気付いたときには失明していることもあるようです。いずれにしても進行が早い疾患なので、早期発見が望ましいでしょう。

目をしょぼしょぼさせている、黒目の大きさが左右で違う、黒目の奥が緑・青っぽく見えるなどの症状がある場合は、緑内障の可能性があります。数日で悪化してしまうこともあるので、気付いた時点で動物病院に連れていきましょう。

2.慢性腎臓病

トイレから出る猫

意外なことに、慢性腎臓病が原因で視力低下するケースもあります。慢性腎臓病は猫がなりやすい疾患のひとつで、長期にわたって徐々に腎臓機能が低下していく怖い疾患です。腎臓は一度機能低下すると元に戻ることはなく、末期では尿毒症や意識低下を引き起こすことも。

慢性腎臓病はさまざまな症状が出ますが、高血圧になることも多いようです。その結果、網膜の毛細血管が損傷を起こしたり、眼底の出血につながることがあります。これにより視力低下・失明を起こすことがあるため、注意が必要です。

ただし、慢性腎臓病は初期症状に気が付きにくいことでも知られています。目の充血の有無のほか、多飲多尿・体重減少・食欲などの変化がないか確認しましょう。

3.糖尿病

インスリンを測る猫

人間と同様、猫も糖尿病になることがあります。糖尿病とは、血糖値を調整する「インスリン」というホルモンが上手く作用しなくなり、血糖値が上がりすぎてしまう疾患です。糖尿病には「1型」と「2型」がありますが、猫に多いのは「2型糖尿病」に似た病態です。インスリンが不足しているわけではなく、分泌は充分されているのに効きが悪いという状態です。

血糖値が高い状態が続くと、血圧の上昇などから眼へのトラブルにつながり、視力低下を引き起こします。進行すると失明の危険もあります。

糖尿病になる原因は、遺伝的要因・肥満・ストレスなどさまざまですが、猫の場合、肥満などの生活習慣が関連しているとされています。発症すると、飲水量や尿量の増加、元気がなくなるなどの症状が見られるほか、進行すると体重減少も起こり、死に至る危険性もあります。

視力低下のサイン

手で目を隠す猫

ジャンプが苦手になる

猫は、もともと高い場所に飛び乗るのが得意な動物です。以前と比べてジャンプが下手になったり、ためらう仕草を見せた場合は、視力が落ちているサイン。また、視界が悪いため、家具や壁にぶつかることも増えます。

活動量が低下する

視力低下が長期にわたると、動くこと自体を避けるようになります。ジャンプしたり走り回ったりすることを怖がり、活動量が落ちるのです。また、動きがゆっくりになったり、暗闇での活動を嫌がることもあります。

瞳孔の反応が鈍い

通常、猫の目は、光を当てると瞳孔が小さくなるものです。しかし、視力に問題が発生すると、瞳孔の動きが鈍くなることがあります。左右で反応に差がある場合も、なんらかの疾患が隠れている可能性があります。

まとめ

めがねをかけた猫

猫が視力低下のサインを示したら、まずは動物病院に連れて行くことが大切です。その際は、他の症状が出ていないかも確認し、獣医師と治療について相談しましょう。

適した治療を進めるとともに、ジャンプを失敗したり壁にぶつかったりして起きる事故を防ぐ工夫も必要になります。猫が歩きやすいよう動線を確保し、見えにくくてもお気に入りの場所に移動できるようにしてあげましょう。

また、視力低下しているときは音にも敏感になるため、大きな音を立てずに生活してあげた方がいいでしょう。

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