猫がやりがちな「ジェスチャー」6選

1.しっぽを立てる・小刻みに震わせる
猫がしっぽを垂直にピンと立てて近づいてくる行動は、親愛の情や喜びを表す代表的なサインです。
特に、しっぽの先を小刻みにプルプルと震わせるのは、人間でいう「やったー!」や「大好き!」といった、強い喜びや期待感が溢れている状態だと言われています。
これは子猫が母猫におねだりする行動の名残とも言われており、「あなたに甘えたい」「かまってほしい」という強い要求や、食事への期待を示しているのです。
このようなジェスチャーを見せた時は、猫の気持ちに応え、優しく撫でたり、遊んであげたりすることで、愛猫との絆を深める絶好の機会となります。
ただし、要求の鳴き声とセットの場合、すぐに応じすぎると要求行動がエスカレートすることもあるため、タイミングを見極めるようにしましょう。
2.喉をゴロゴロ鳴らす
猫の「ゴロゴロ」という音は、一般的にリラックスや満足感を示しているとされますが、その心理は多岐にわたります。最も多いのは、安心しきっている状態や、飼い主と触れ合っている時の幸福感です。
しかし、なかには要求やストレスや体調不良を抱えている時に、自らを落ち着かせるための行動としてゴロゴロ鳴らすこともあります。特に鳴き声が混ざったようなゴロゴロ音は要求のサインである可能性が高いです。
静かに目を閉じてゴロゴロしている場合は純粋なリラックスと判断し、穏やかな時間を共有しましょう。
逆に、元気がなく、普段とは違う鳴き方をしている場合は、体調の変化がないか注意深く観察し、必要であれば動物病院に相談するなど、状況に応じた配慮が求められます。
3.まばたきをする
猫の世界では、目をじっと見つめ続ける行為は敵意や威嚇と見なされます。そのため、ゆっくりとまばたきをすることは、「私はあなたに敵意を持っていません」「あなたを信頼しています」という平和的なメッセージを意味しています。
このサインを見かけたら、飼い主も焦らず、同じようにゆっくりとまばたきを返してあげましょう。これにより、猫に「あなたの気持ちを受け取ったよ」「私もあなたを信頼しているよ」という肯定的な返事をすることができ、お互いの信頼関係がより強いものになります。
4.体や頭をすりつける(マーキング)
猫が飼い主の体や家具に頭や頬、体をスリスリとこすりつけるのは、主にマーキングの行動です。
猫の顔の周りには臭腺があり、その腺から分泌される自分のニオイを物に付着させることで、「ここは自分の縄張りである」「この人は自分のものだ」と主張しています。
特に飼い主に対して行う場合は、愛情表現や挨拶の意味合いが強く、「あなたを信頼している」「甘えたい」という気持ちの表れです。この行動は、猫が精神的に安心している証拠でもあります。
スリスリしてきたら、猫の気持ちを汲み取り、優しく撫でてあげたり、話しかけたりすることで、愛猫の所有欲と愛情を満たしてあげましょう。
5.お腹を見せて寝転がる
猫がヘソ天の体勢でお腹を見せて寝転がるのは、最大限の信頼と安心感の表れです。猫にとってお腹は急所であり、無防備な状態を晒すのは、外敵の危険が全くないと心から感じている相手にしか行いません。
これは飼い主に対する絶対的な信頼のサインと言えます。しかし、「撫でてほしい」という甘えの気持ちや、遊びに誘う挑発の意味合いが強い場合もあるようです。
この際、無遠慮にお腹を触ると、急に猫キックや噛みつきに転じる猫もいるため、注意しましょう。
猫がお腹を見せている時は、信頼に応え、そっと優しく声をかけたり、手が届く範囲の背中や頭を撫でるに留めるなど、猫のペースを尊重した接し方を心がけてくださいね。
6.耳を後ろに倒す(イカ耳)・しっぽを大きく振る
猫が耳をペタンと後ろに倒すイカ耳、またはしっぽを左右に大きくバタバタと振るのは、不満、苛立ち、警戒、恐怖といったネガティブな感情を表すサインです。
耳を倒すのは、威嚇や防御の体勢であり、これ以上近づくと攻撃に転じる可能性があることを示唆しています。また、犬と異なり、猫がしっぽを大きく振るのは「嬉しい」ではなく、「イライラしている」「やめてほしい」という不機嫌のサインです。
これらのジェスチャーが見られた際は、猫がストレスを感じている状況を理解し、すぐに距離を置いてそっとしてあげることが重要です。無理に構おうとすると、猫はさらにストレスを感じ、飼い主との信頼関係を損なうことにもつながりかねません。
猫と良好な関係を築くための接し方

猫との強い信頼関係を築くためには、猫の独立した性質と繊細なボディランゲージを理解することが大切です。
猫は単独行動を好む動物であり、人間のように常に寄り添うことを求めません。そのため、猫が一人になりたいサイン(例:イカ耳、しっぽ振り、隠れる)を見せたら、そっと距離を置いて尊重することが最も重要です。
また、接する際は、大きな声や急な動きを避け、低い姿勢で接するなど、威圧感を与えない配慮をしてあげてください。
さらに、目を合わせる行為は敵意と取られがちなため、ゆっくりとしたまばたきで親愛の情を伝え、猫のペースに合わせて遊びやスキンシップを取りましょう。
猫の要求に一方的にならず、猫からのサインに応じて接することで、「この人は安心できる」という認識を深め、確固たる絆が生まれます。
まとめ

猫の行動は感情を映す鏡であり、「しっぽを立てる」喜びから「イカ耳」の不満まで、そのジェスチャーは愛猫の心理状態を読み解く鍵となります。
飼い主がこれらのサインの意味を正しく理解し、猫の気持ちに寄り添った適切な接し方を実践することが、猫の心を満たし、信頼と愛情に基づく強固な関係を築く土台となるでしょう。
愛猫のペースを尊重し、優しく見守る姿勢こそが、お互いの生活をより豊かにする秘訣です。