1.シャム

シャム猫は、現在のタイ王国であるシャムを原産とする猫種です。タイでは古くから寺院や王室で大切にされ、「ロイヤルキャット」として扱われてきました。その存在は極めて高貴なものとされ、一般人が飼育することは許されませんでした。
この猫種の最大の特徴は、サファイアブルーの美しい瞳と、成長に伴って濃い色があらわれるポイントカラーという独特の模様です。性格は非常に社交的で愛情深く、飼い主に対して強い絆を結びます。常に人のそばにいたがり、大きく特徴的な声でコミュニケーションをとるため、「犬のような猫」とも呼ばれるほどです。
かつては王族の権威の象徴であり、魂の守り神と信じられていたシャム。その長い歴史と独特な魅力により、現在も世界中で愛されています。
2.ロシアンブルー

ロシアンブルーは、ロシア皇帝も愛したとされる、歴史と品格を兼ね備えた高貴な猫種です。かつて、ロマノフ王朝のニコライ2世に寵愛された歴史を持ち、そのエレガントな外見と落ち着いた振る舞いは、ロシア貴族の象徴として長く愛されてきたと言い伝えられています。
最大の魅力は、青みがかった光沢のある美しい被毛にあります。この独特の輝きは「動く銀色の彫像」とも称され、鮮やかなエメラルドグリーンの瞳とのコントラストが、神秘的な美しさを際立たせています。
性格は、非常に物静かで控えめ、そして賢いと評される猫種です。一度心を開いた家族に対しては非常に深い愛情を示し、生涯の忠実なパートナーとなります。ロシアンブルーの鳴き声は「ボイスレス・キャット」と呼ばれるほど小さく、静謐な宮廷の空間で愛されてきた歴史が、この落ち着いた性格を形作ってきたのかもしれませんね。
3.ペルシャ

ペルシャは「猫の王様」の異名を持ち、古くからヨーロッパの王族や貴族に愛されてきた猫です。起源は古代ペルシャ(現在のイラン)で、16世紀にヨーロッパに伝わりました。特にイギリスのヴィクトリア女王に寵愛されたことで有名です。
ペルシャ最大の魅力は、長く密生したゴージャスで豊かな被毛です。また、大きな丸い目と平らな鼻を持つエキゾチックな容姿は、多くの王族たちを惹きつけました。その優雅で美しい外見から、一時は王族限定の猫種とされた歴史があります。
性格は非常に穏やかで物静か。甘えん坊で愛情深い一面も合わせ持っています。また、抱っこされることを好む傾向があり、そのゆったりとした気質とゴージャスな容姿が、慌ただしい王宮生活の中で、貴人たちの心を癒やす存在として重宝されていたようです。
4.コラット

コラットは、タイを原産とする猫種です。タイの古い書物にも記述があり、古来より幸運をもたらす猫として知られ、一般人の手に渡ることはほとんどありませんでした。
コラットの被毛はブルーの単色で、短く密生し、シルクのような光沢を持ちます。「雨雲の色」とも形容される独特の美しさが魅力です。瞳は成長に伴って変化し、子猫の頃はアンバーがかった色合いですが、成長すると鮮やかなペリドットグリーンへと変化します。
非常に賢く、好奇心も旺盛ですが、同時に繊細で用心深い一面も持っています。家族には深い愛情を示し、ひとりの飼い主に強く懐く傾向があります。
5.ターキッシュアンゴラ

ターキッシュアンゴラは、トルコ(旧オスマン帝国)のアンゴラ地方を原産とする、非常に古い自然発生種の猫です。長く優雅な体躯と、シルクのような美しい長毛、そしてふさふさとした尻尾が特徴として知られています。
ターキッシュアンゴラの被毛は純白が多く、16世紀にヨーロッパに紹介された際は、その優雅さからたちまち貴族たちの間で人気を博しました。フランスの女王マリー・アントワネットが愛した猫としても有名です。
オスマン帝国時代にはスルタン(君主)の宮殿で愛され、大切に飼育されていました。
性格は非常に活発で遊び好き、そして好奇心旺盛です。非常に知的で、家族とのコミュニケーションを好み、人間の行動をよく観察しています。甘え上手でありながら、自立心も旺盛で、犬のような忠誠心を示すこともあります。
まとめ

世界各地の王族や貴族に愛されてきた猫たちは、権威の象徴や幸運の使者として、また心を癒やすパートナーとして重要な役割を果たしてきました。
シャムの瞳、ロシアンブルーの輝き、ペルシャの優雅さなど、外見的な魅力に加え、賢さ、愛情深さ、人間に寄り添う穏やかな気質こそ、彼らが王宮生活の中で特別な地位を確立できた理由です。
これらの猫たちを迎えることは、何世紀もの時を超えて受け継がれてきた高貴な歴史と血筋に触れることでもあります。今では世界の多くの国で家庭猫として愛され、その魅力は時代を超えて広がり続けています。