猫が触られたくないときに見せるサイン

1.近づこうとすると隠れて出てこない
飼い主さんとの間にまだしっかりとした関係性ができていない場合、猫は近づこうとする飼い主さんの姿を見ただけで、素早く身を隠して出てこなくなるかもしれません。飼い主さんを警戒しているため、触られることを強く拒否している状態です。
2.触ろうとする、または触っていると逃げ出す
触ろうとすると逃げ出す場合、猫に恐怖心を与えている可能性があります。猫の正面上方から手を下ろすと猫は怖がるので、手は下からそっと差し出し、まずは指先のニオイを嗅がせてから、あごの下などの顔まわりを優しく撫でると良いでしょう。
また、特定の部位を撫でると逃げ出してしまう場合は、そこが猫にとっては触られたくない部位である可能性が高いです。慣れるまでは、受け入れてくれる部位のみ触るようにしましょう。
3.しっぽを大きく振る
猫は、気持ちよく撫でられていたにも関わらず、突然触られるのを拒否することがあります。これは「愛撫誘発性攻撃行動」と呼ばれている、猫に特有の行動です。習性からくる自然な行動なので、止めることはできません。
しかし、事前に「もうやめて!」というサインを送ってくれます。よく見られるのが、「しっぽを大きく振る」という行動です。他にも、耳を後ろに倒す、不機嫌そうに目を細めてじっと見つめる、毛を逆立てる、体をよじって逃れようとするなどの行動が見られます。
これらのサインを察知したら、スキンシップを中断して解放してあげましょう。
4.前足で手を払いのけようとする
「もうやめて!」のサインを見逃すと、猫は実力行使でやめさせようとします。その最初の行動が、前足で撫でている手を払いのけるというものです。最初は爪を隠していても、やがて爪を出した本気の猫パンチが繰り出されます。怪我をする前にスキンシップを中断しましょう。
5.威嚇・攻撃行動を見せる
猫パンチも無視して撫で続けると、シャーッという声で威嚇されたり、本気で手に噛みつかれたりすることもあります。
猫が触られるのを嫌がる理由

過去に撫でられて嫌な思いをした
愛猫を家に迎え入れて日が経つのに、一向に飼い主さんに気を許そうとせずに隠れてしまうという場合は、もしかするとこれまでのコミュニケーションの中で、体に触られてとても痛い思いや不快な思いをしたことがあり、それを警戒しているのかもしれません。
とにかく、猫がまだ飼い主さんを信頼できていないということなので、まずは関係改善を図り、信頼してもらえるようになることを最優先にしましょう。
猫が触られたくない部位
触られたくない部位や触られると喜ぶ部位は、猫によって異なります。しかし、急所であるお腹や、敏感な部位(足先、肉球、しっぽ、ひげ)は、嫌がる場合が多いです。逆に、あごの下、耳の付け根や耳介の裏側、頭などは、撫でられるのを好む猫も多いです。
猫によって違いが大きいのが、しっぽの付け根(腰のあたり)や背中です。優しく触れて、嫌がらないようなら撫でても大丈夫でしょう。その際、必ず毛の流れに逆らわないように撫でるのがコツです。
しつこく撫ですぎる
愛撫誘発性攻撃行動が出るきっかけは、詳細にはわかっていません。経験上、長く撫で続けると起きやすいようです。あくまでも猫の感覚なので、何分が目安といったこともありません。撫でられている猫の「やめて」のサインを見逃さないことが、唯一の回避方法です。
猫と上手にスキンシップするための対処法

基本は猫主導
愛猫との間にしっかりとした信頼関係ができると、体のどこを触っても基本的には嫌がらないようになることが多いです。しかし、最初の頃はあくまでも撫でるタイミングは「猫主導」であることが大切です。
飼い主さんの方から積極的に近づいていく間は、猫はなかなか心を開いてくれません。必要なケアはしっかりしながらも、スキンシップは猫の方から近寄ってきた時だけにすることが、仲良くなる近道です。
最初は喜ぶ部位だけを触る
最終的には、体のどこを触っても嫌がらないようになってもらう必要がありますが、最初はとにかく「体を触られることは良いことだ」と覚えてもらうことが大切です。そのため、喜ぶ部位だけを優しく丁寧に撫でるようにしましょう。
嫌がり始めたらしつこくしない
「やめて」のサインが出たら、しつこくせずにすぐに解放しましょう。爪切りや歯磨きなどのケアの最中でも一旦中断し、しばらくしたら再開することをおすすめします。「触られるのは不快だ」と思わせないようにすることを大切にしましょう。
まとめ

猫は賢い動物です。特に「嫌な経験」はすぐに学習し、回避するようになります。最初のスキンシップで失敗すると、強く警戒してなかなか心を開いてくれません。猫が自分から来るまでは、とにかく「待ち」の気持ちでいることが大切です。
信頼されると、体のどこを触っても平気でいられるようになることも多いです。その場合も、愛撫誘発性攻撃行動に注意し、愛猫の様子をよく観察して気持ちに寄り添ったスキンシップを心がけましょう。それが信頼関係を深める一番の近道です。