猫にも利き手がある

実は猫にも人間と同じように「利き手」があると考えられています。
ある研究によれば、多くの猫に利き手が存在すると報告されており、その割合は約75%にものぼると言われています。実験では、階段の上り下りやトイレに入るときなどの日常の何気ない行動を観察し、その結果それぞれの猫によく使う手や足があることがわかりました。
つまり、猫にも良く使う手、使いやすい手がある、利き手があるということのようです。
猫の利き手を調べる方法

猫の利き手は、簡単な観察で見分けることができます。観察する際は、特別なことをする必要はありません。遊びや日常生活の中で自然にあらわれる行動を注意深く観察するだけで十分です。
たとえば、おもちゃで遊ぶときやご飯のとき、顔を洗うときに左右どちらの手を使っているかを注意深く観察してみると良いでしょう。
上述の実験のように、トイレに入る際に最初に踏み入れる手、階段を下りるときに先に出す手を観察するのもおすすめです。
ただし、1回の行動を見ただけで猫の利き手を特定するのはほぼ不可能です。そのため、何日にもわたって粘り強く観察を続ける必要があるでしょう。猫にも飼い主さんにも負担にならない方法で観察しましょう。
オスは左利き、メスは右利きが多い?

驚くべきことに、猫の利き手には性別による傾向があると言われています。
一般的に、オス猫は左利きが多く、メス猫は右利きが多いとされています。そして、この性別による違いは脳の左右半球の使い方や、性ホルモンの影響が関係していると考えられています。人間の利き手にも脳の構造が影響していると言われていますが、猫も同様に生物学的な要因が関わっている可能性があるのかもしれません。
もちろん、これはあくまで統計的な傾向であり、すべての猫に当てはまるわけではありません。右利きのオス猫もいれば、左利きのメス猫もいます。あくまでもひとつの傾向として捉えるのが良いでしょう。
左利きの猫はストレスに弱くて心配性?

利き手と性格には関連性があるという説があります。これは、犬の研究でわかったことですが、右利きの犬よりも、左利きの犬のほうが不安やストレスを感じやすいという結果になりました。
もし、猫も同様であれば、新しい人やペットが家に来たとき、大きな物音がしたときなどに、左利きの猫は右利きの猫よりも強いストレス反応を示すかもしれません。また、不安を感じやすいことから心配性である可能性が高いとも考えられます。
ただし、これはあくまで統計的な傾向であり、個体差が非常に大きいことを忘れてはいけません。右利きの猫でも、環境の変化に弱く、繊細な性格の子はたくさんいます。利き手にとらわれず、愛猫がどんな性格なのかを考慮して対応することが大切です。
まとめ

猫にも利き手があり、その傾向は性別や性格にも関連している可能性があります。日常の行動を注意深く観察することで、愛猫の利き手を見つけ出すことができ、それはその子の個性をより深く知るための貴重な手がかりとなるでしょう。
あくまでも傾向ですが、利き手と性格の関連性があるとすれば、その子に合わせた環境づくりや接し方を考えるうえで、また動物福祉の観点からも非常に役立ちます。
今後、利き手と猫の行動や感情に関する研究がさらに進むことで、より個々の猫に最適なケアを提供できる可能性も出てくるかもしれませんね。