1.狩猟本能を刺激する「カサカサ」

今回のテーマ、オノマトペとは、擬音語と擬態語で成立する感覚的な言語表現のことです。ちなみに、オノマトペの語源は、古代ギリシア語の「onomatopoiia(オノマトペイア)」に由来しています。
たとえば、赤ちゃんが車のことを「ブーブー」と呼び、関西人が「この先をバーッと進んだらな、シュッとしたカフェがあんねん、そこを右にガッと曲がったら、あとはダーッと…」と道案内する際に、しばしばオノマトペが使われます。
猫が好むオノマトペで代表的なものは、スーパーの袋や紙袋などの「カサカサ」という音です。草むらを移動するネズミなどの獲物の音に似ているため、猫のハンター・モードがオンになりやすいと言われています。
また、都合の良いことに、スーパーの袋や紙袋は、獲物の気配を漂わせるだけでなく、猫の好奇心や探求心をもくすぐってくれます。内部に潜り込めば、即席のカプセルホテルです。多くの猫が好むのも当然と言えるでしょう。
2.食欲をそそる「カパッ!」

2つ目に紹介したいのは、猫缶を開ける際の「カパッ!」という音です
「カパッ!」という音を聞きつけたら、まるでレスキューのごとく現場に急行する猫もいます。おそらく、やがて訪れる歓喜の瞬間を待ちきれないのでしょう。ドライフードの袋を開けてもスルーするのに、猫缶に限って異様に反応する子もいるほどです。
お酒好きの飼い主さんで言えば、缶ビールを開ける「プシュッ!」のときと同じかもしれません。脳内では「シュワシュワ」、「ゴクゴク」、「プハーッ!」などの関連オノマトペが次々に連想されます。
猫は、優れた聴覚を持っているうえに、音と自分にとって良いことを紐づけして記憶する習性があります。猫の脳内では、きっと「カパッ!」=「美味しい猫缶」と認識されているはずです。
ただ、さすがに耳の良い猫でも、缶詰の種類を聞き分けるのは難しいらしく、ホールトマトやホワイトアスパラの開封音などが聞こえるたびに、誤出動を繰り返すことがあります。
3.安心感たっぷりの「モコモコ」

「モコモコ」の世界観もまた、猫の多くをトリコにします。
猫はとにかく、やわらかい生地、素材が大好きです。普段使いするクッションから冬場のブランケット、猫ベッドに至るまで、「モコモコ」感たっぷりのグッズに目がありません。
猫が「モコモコ」を偏愛するのは、安心感はもちろんのこと、抜群のフィット感、保温性に優れているからです。あるいは、母猫の胎内で兄弟猫といっしょにいたときの密な感覚を覚えているせいかもしれません。
冬になると、モコモコ・ブランケットに加え、飼い主さんの若干タプタプしたお腹がありさえすれば、愛猫は寒さ知らずで過ごせます。
一方、飼い主さん目線では、冬仕様になった愛猫のあふれんばかりの「モフモフ」ぶりは、触って良し、膝やお腹に乗せて良し、添い寝して良しのいいこと尽くめです。
雪が降る午後、「モコモコ」に包まれた「モフモフ」の愛猫が膝のうえでスヤスヤ寝る姿を見ていると、飼い主さんもいつの間にかグースカ眠ってしまいます。
愛猫家にとって、冬はまさにハイシーズンの到来です。
まとめ

私たち人間にとって「オノマトペ」は非常に親しみのある言語表現で、ポカポカ日和やザーザー降りなどのように、知らないうちによく使っています。
今回は、猫にまつわる「オノマトペ」を3つ紹介しました。猫は聴覚の鋭い動物なので、音を介した記憶がとても発達しています。本文でも紹介した「カサカサ」や「カパッ!」は、猫の野性本能を誘う典型例と言えるでしょう。
「モコモコ」に対する猫の深い愛着は、飼い主さんの「モフモフ」好きに匹敵するほどです。
おそらく、みなさんのおうち、それぞれに独自に育まれたオノマトペがあるかもしれません。猫との暮らしはオノマトペに満ちています。これからも愛猫と楽しく過ごしながら、次々と「名作」を生み出していってください。