猫に「本気噛み」されると危険な3つの理由

1.感染症のリスク
猫の口内には、人間にとって有害な様々な細菌が常在しています。代表的なものにパスツレラ菌やバルトネラ菌などがあり、これらが本気噛みによって傷口から体内に入り込むと、重篤な感染症を引き起こす可能性があります。
特にパスツレラ症は、噛まれた部分の腫れや激しい痛みを引き起こし、ひどい場合は蜂窩織炎(ほうかしきえん)や関節炎、さらには敗血症に至ることもあります。
また、バルトネラ菌は「猫ひっかき病」として知られ、リンパ節の腫れや発熱、頭痛などを引き起こす可能性もあるので注意しましょう。
これらの感染症は、放置すると重症化する危険があるため、猫に本気噛みされた際は、軽度な傷であっても気を付けるようにしてください。
2.傷口の深さ
猫の牙は非常に細く、鋭いため、噛まれた傷口は表面上は小さくても、皮膚の深いところまで突き刺さっていることが多々あります。これにより、傷口の奥深くまで細菌が入り込みやすく、表面からでは洗浄しきれないため、内部で化膿しやすいという特徴があります。
深く刺さった牙が、腱や骨、神経組織を損傷させる危険性も無視できません。特に、手の指や関節部分は猫に噛まれやすく、重要な組織が集中しているため、噛まれた場合は機能障害を引き起こすリスクも高まります。
そのため、見た目以上に深刻なダメージを受けている可能性を考慮し、適切な処置が必要です。
3.アレルギーの可能性
猫の唾液には、人間がアレルギー反応を起こす可能性のあるアレルゲンが含まれています。これは猫の被毛や唾液腺、皮脂腺などに存在するタンパク質の一種です。
本気噛みによってこのアレルゲンが体内に入ると、人によってはじんましんや発疹、顔や喉の腫れといった局所的なアレルギー反応を引き起こすことがあります。
さらに重篤な場合、呼吸困難や血圧低下を伴うアナフィラキシーショックを引き起こす危険性もゼロではありません。
猫アレルギーの自覚がない人でも、噛まれたことで初めて症状が出ることがあるため、本気噛みはアレルギーという観点からも危険が潜んでいると言えるでしょう。
猫はなぜ「本気噛み」をするの?

猫が本気噛みをする背景には、いくつかの心理的要因や状況が考えられます。最も多いのは、恐怖や痛みからくる自己防衛です。
大きな音や見慣れないもの、あるいは体のどこかに痛みを感じている時に、身の危険を感じて噛みつくことがあります。また、過度なストレスや欲求不満も本気噛みの原因となることも。
遊びが不足している、満足な休息が取れない、飼い主とのコミュニケーションがうまくいっていないといった状況が続くと、それが攻撃的な行動に繋がることがあります。
さらに、子猫時代にじゃれついて噛む行動をそのままにしていた場合、成猫になってもそれが習慣となり、狩猟本能が過剰に刺激されて噛みつくこともあります。
猫に「本気噛み」されたときの対処法

猫に本気噛みをされた場合、まず傷口を水道水でしっかりと洗い流し、清潔なガーゼや布で押さえて止血します。傷が深い、出血が止まらない、腫れや痛みが増す、発熱があるなどの症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。特に、整形外科や皮膚科を受診すると良いでしょう。
噛み癖を直すためには、猫との遊び方を見直すことが重要です。手や足をおもちゃ代わりにするのはやめ、猫用のおもちゃを使って遊ぶようにします。
噛んできたらすぐに遊びを中断して、ケージなどのハウスの中に移動することで、「噛むと遊びが終わる」と猫に学習させます。また、猫が安心して過ごせる環境を整え、ストレスの原因を取り除くことも大切です。
まとめ

猫の本気噛みは、感染症や深い傷、アレルギー反応など、甘噛みとは比較にならないほど危険なリスクを伴います。猫が本気で噛むのは、恐怖、ストレス、欲求不満といったSOSのサインであることが多く、単なる問題行動として片付けてはいけません。
適切な応急処置を施し、同時に猫の心理を理解し、その原因に応じた正しい対処を行うことで、猫との安全で健全な関係を築くことができますよ。