1. ハンター欲をそそる変幻自在の緩急

たいていの猫はおもちゃ遊びが大好きですが、困ったことに、あれほど興奮して遊んでいたのに、パタッと興味を示さなくなる瞬間があります。
もしかすると、原因は、飼い主さんの操る猫じゃらしが単調な動きに終始しているせいかもしれません。
猫の本来の獲物は、ウサギをはじめ、ネズミや野鳥、昆虫などで、どれも俊敏性に優れ、逃げ足の速さはピカイチです。
ただ一本調子に猫じゃらしを振るだけでは、本物の「獲物感」が出ません。ましてやスマホを見つめつつ、おざなりにやっていたとしたら…。
実際の獲物は、急に立ち止まったり、予期せぬ方向に進んだり、不規則な動きが適度に混じります。ハンティング時の猫にとっては瞬間瞬間が勝負です。「どうやって攻略してやろうか…」と野生本能をむき出しにして、ものにするチャンスをうかがいます。
飼い主さんがおもちゃ遊びするときも、本物の獲物と同じような動きをやって見せると、愛猫の好奇心を最大限に引き出せます。
思いもよらぬタイミングでピタッと止まったり、忍び足風に動かしたり、高く飛び跳ねたり、緩急を巧みにつけたら、愛猫も無我夢中になって猫じゃらしを追いかけてくれるはずです。
2.簡単には触らせないチラ見せテクニック

猫には隠れているものを好む習性があります。私たち人間で言えば、友人とのおしゃべりのなかで、「やっぱ、秘密にしとく…」と言われると、余計に知りたくなるのと同じ心理かもしれません。そういう意味で、チラ見せテクニックはかなり使える技術です。
たとえば、カーテンや家具の裏などの物陰から、猫じゃらしをチラッと覗かせると、そのものが目の前に現れるよりも、猫は興味を惹かれます。ついでに猫じゃらしを振って音を立てれば、鋭い聴覚が刺激され、よりいっそうハンター欲が高まります。
愛猫がパッと前脚を繰り出したら、猫じゃらしをサッと死角に引っ込め、タイミングを見極めてまたチラ見せする。そして、食いついてきた途端、逃げまどうネズミのごとく、猫じゃらしをリビングに走らせば、「そこにいたか!」と後を追いかけてきます。
チラ見せすることで、愛猫の狩猟本能を刺激する「じらしテクニック」の応用編としては、カーペットや毛布の下に隠した猫じゃらしを動かし、「こっち!こっち!」と誘う方法もあります。
3.手負いの獲物を演じ切る

前述した2つの遊ばせテクニックをものにできたら、次のステップ、「手負いの獲物を熱演する」を目指したいところです。
何度か攻撃を食らい、今にも力尽きそうなネズミを追いかけるとき、おそらく、猫の脳内では、アドレナリンが全開になっていることでしょう。
はるか昔、野生下での暮らしでは、ネズミは猫にとって大切な栄養源です。目の前のチャンスを逃せば、しばらくは食べられないかもしれません。絶好機をつかもうと、猫は必死になります。その野生本能は、みなさんの愛猫にも同じようにあるはずです。
ネズミ目線で「もうアカン…やられてまう…」という状況を、飼い主さんのおもちゃ遊びで表現できれば、愛猫はこれまで以上に目を輝かせながら、飛びついてくれるかもしれません。
飼い主さん自身も、フラフラになりながら、物陰へと逃れていく手負いのネズミ役に入り込むと、猫じゃらしの動きもより生々しくなります。
ただし、感情移入するあまり、愛猫の鋭い犬歯が我が首筋に突き刺さる場面をイメージし、「助けてー!」と思わず叫んでしまう恐れもあるので、想像(妄想)はほどほどにしておきましょう。
まとめ

今回は、愛猫が興奮するおもちゃ遊びのテクニックとして、「緩急をつける」、「チラ見せする」、「手負いの獲物を演じる」、の3つを紹介しました。
この3つを見てもわかるように、ネズミやウサギ、昆虫などの動きをリアルに再現すると、その分、猫じゃらしなどのおもちゃグッズも生き生きとしてきて、「獲物感」がよりいっそう増します。結果的に、愛猫も夢中になって追いかけてくれるはずです。
おもちゃ遊びは、愛猫はもちろん、飼い主さんにとっても大事なひとときです。上手に猫じゃらしを操って、愛猫のハンター欲を存分に引き出してみてください。
そうすれば、一心不乱に猫じゃらしを襲う愛猫の姿に、飼い主さんの眠れる野性まで呼び覚まされるかもしれません。