1.愛猫が安心できる環境を確保する

赤ちゃんが生まれると、それまでの暮らしが激変してしまうこともあります。環境の変化にストレスを感じやすい猫にとっては、非常に大きな分岐点です。
赤ちゃんはよく泣き、予測不能な動きも多く、ハイハイするようになってからは、興味の赴くままにあちこちへと移動したがります。窓際で気持ち良く寝ているところに、赤ちゃんが上機嫌に割り込んできたら、愛猫もさすがに迷惑です。
赤ちゃん誕生後、とりわけ心がけたいのは、愛猫が安心してくつろげるスペースを整えることです。具体的には、キャットタワーや隠れ家的な猫ベッド、ケージの設置などが挙げられます。デリケートな要素も多いトイレ対策としては、ベビーゲートで赤ちゃんを猫トイレに近づかせない工夫も有効です。
もともと猫は一人好きで、物陰や高所など、安全な場所で過ごすことを好みます。赤ちゃんが生まれて以降も、本能に根差した住環境を用意することで、ストレスが最小限に抑えられ、愛猫もリラックスして生活できるようになるはずです。
2.誤飲・誤食防止のための取り組み

赤ちゃんのいる猫暮らしでは、誤飲・誤食のリスクもつきまといます。
好奇心いっぱいの赤ちゃんは、気になったものは何でも手に取り、ときに口に入れようとします。
たとえば、愛猫の食べ残したドライフードを、赤ちゃんが誤って食べてしまうと、次項で説明する感染症などの健康トラブルの危険性が高まります。愛猫の食事場所は、赤ちゃんが立ち入らないように、ケージなどで仕切ることが大切です。
また、みなさんのおうちの身近にある小物(ボタンや電池、おもちゃのパーツ、輪ゴム、ビニール紐など)は、赤ちゃんだけでなく、愛猫にとっても危険な存在です。もし愛猫が輪ゴムを誤飲してしまうと、最悪の場合、手術が必要な事態に発展しかねません。
身のまわりの小物類と同様に、愛猫のおもちゃも、使用後は赤ちゃんや愛猫の手の届かない場所に保管するようにしましょう。
お互いの誤飲・誤食を防ぐには、日頃からの意識づけがとても重要です。「使ったらすぐに片づける」を徹底し、おうちの安全性向上に努めてみてください。
3.感染症対策や衛生管理も怠りなく

最後に、あらかじめ知っておきたいのは、赤ちゃんと愛猫の共同生活は、感染症の可能性があることです。
猫からヒト、ヒトから猫へ感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)には、猫の糞便接触で起こる「トキソプラズマ感染症」をはじめ、「瓜実条虫症」、「猫ひっかき病」、「真菌症」、「パスツレラ感染症」などがあります。
上記の感染症予防策としては、「完全室内飼育の徹底」、「ノミ、ダニの駆虫剤の投与(1~3か月ごと)」、「定期的なワクチン接種」が効果的です。
大人と同じように、赤ちゃんも猫の抜け毛や唾液、フケなどで猫アレルギーになることもあります。発症リスクをできるだけ軽減するには、「部屋のこまめな掃除」、「日々のブラッシング」、「空気清浄機の活用」などの対策がポイントです。
感染症を含めたシビアな衛生管理は、赤ちゃんや猫はもちろん、飼い主さん家族の健康を守る意味でも欠かせません。みなさんが快適に暮らしていくためにも、万全な体制を整えるようにしましょう。
まとめ

ハプニング性に満ちた赤ちゃんと慎重派の猫との暮らしは、一見、不釣り合いに見えますが、うまくやれば平和に共存できます。
今回は、その一環として、赤ちゃんと猫が安全に暮らすためのヒントを3つ紹介しました。
「安心できる場所の確保」は、猫の日常生活にとって必須の条件です。「誤飲・誤食の危険性」に関しては、飼い主さんの日頃からの取り組みが鍵を握ります。「感染症対策」は、愛猫のワクチン接種やノミ・ダニの駆虫剤が要です。
飼い主さんは無理することなく、家族と協力し合いながら、赤ちゃんと愛猫の健やかな暮らしのために、できることから取り組んでみてください。