猫が『やけど』をしたときの症状3選と対処法 起きやすいシチュエーションも解説

猫が『やけど』をしたときの症状3選と対処法 起きやすいシチュエーションも解説

『やけど』は猫の身にも起こり得る怪我のひとつ。なぜ起こる?どんな症状が出るの?実際に起きた場合の対処法は?具体的な症状について、リスクファクターも絡めながら詳しく解説いたします!

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫が『やけど』したときの症状と対処法

やけどが危険な場面

電気ケトルや炊飯器、ホットカーペット、石油ストーブなど、これらはすべて猫が『やけど』を負うリスク要因になり得るものです。

とくに冬場は危険が増えます。いざという時に備え、やけどで起こり得る3つの症状と対処法を紹介します。あわせて、先ほどの要因がどう絡んでくるのかについても解説いたします。

1.皮膚が赤くなる

毛繕いをする猫

特定の部位をしきりに気にしたり、執拗に舐めているなら要チェック。皮膚の状態を確認しましょう。

皮膚が赤くなっている、焦げ臭いにおいがする、被毛の一部が焦げているといった様子があれば、軽度のやけど(Ⅰ度熱傷)の可能性があります。

猫の皮膚は人より薄く、些細な刺激でもやけどをしやすい傾向があります。ホットカーペットや電気毛布など比較的低温のものでも、低温やけどのリスクがあります。

使用する際は、猫の平熱(おおむね38~39℃台)を意識し、長時間、同じ部位に熱が当たり続けないようにしましょう。寝返りが難しい寝たきりの猫へ使用する場合は、タオルをひく、こまめに体位をかえてあげるなどの対策が必要です。

Ⅰ度熱傷は最も軽い段階ですが、悪化予防や感染症対策のため受診をしましょう。自宅では、むやみに対応しようとせず、すみやかに病院にいきましょう。

2.水ぶくれ・皮膚のめくれ

皮膚のチェック

赤みだけでなく水ぶくれ(水疱)がある、あるいは皮膚がめくれている場合は、Ⅱ度熱傷に移行しています。肉球や腹部は被毛で見えにくいため、触られるのを嫌がる部位がないかも手がかりになります。

低温やけどの見落としにより進行したケース、電気ケトル・ストーブなど高温物への接触、炊飯器の蒸気を浴びたケースなどが考えられます。いずれも皮膚ダメージが大きい状態です。

すぐに様子見をしないで病院に連れていきましょう。

この際、水疱はつぶさない、軟膏や油分は塗らない、氷水は使わないこと。診療時間外は夜間救急を利用してください。

3.皮膚が焼けただれる

ぐったりする猫

被毛がはげ、その下の皮膚が白っぽい・黒く焦げている、感覚が鈍い、強い痛みがあるなどはⅢ度熱傷のサインです。熱湯を浴びたり薬品に触れたりしただけでなく、鍋やポットの転倒などでも起きやすく、緊急対応が必要です。

勝手な判断をせずかならず動物病院に電話し、指示に従ってください。

Ⅲ度では壊死組織の除去など、外科処置が必要になることもあります。以後は洗浄・内服・塗布薬・ガーゼ交換など、指示に沿って在宅ケアを行います。

まとめ

診察を受ける猫

やけどは猫種や年齢を問わず起こり得ます。なかでも、好奇心旺盛な子猫・若齢猫はケトルやストーブに近づく、遊びの勢いで器具を倒すなどの事故に注意してください。

一方、のんびりした性格や高齢の猫は、低温やけどに要注意です。ホットカーペット上で長く眠るとリスクが高まります。

低温やけどは、約44~50℃程度の温度でも、長時間(数十分~数時間)同じ部位が触れ続けると発生する可能性があります。猫は皮膚が薄く、人より悪化しやすいこと、自然治癒に任せないほうがよいことを覚えておきましょう。

受診時は、可能ならエリザベスカラーを装着して患部を舐めて悪化させるのを防ぐと安心です。

万が一愛猫がやけどをしてしまった場合、まずは飼い主さんが冷静になることが大切です。軽度であるⅠ度、またはⅡ度までのやけどの場合は応急処置を、それ以上の場合は病院に連絡をするようにシミュレーションをしておいてください。

日頃からの予防も重要です。「キッチンへの出入りを禁止する」「ストーブには囲いをつけておく」「お湯を沸かしている最中やカップラーメンの待ち時間は目を離さない」などの予防策を心がけましょう。

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