介護の必要性

完全室内飼育が普及し、良質で栄養バランスの取れたキャットフードを選べるようになりました。さらに、たくさんの動物病院の中からかかりつけ医を選べる時代になったことから猫たちの平均寿命も延び、今や15歳を越えるようになりました。
猫の平均寿命が延びるのは、嬉しいことである反面、介護の必要性も高まるということです。個体差があるものの、加齢とともに体の機能が衰えてくるため、猫もこれまでと同じようには暮らせなくなっていきます。
幸い猫は体が小さいため、たとえ寝たきりになっても、床ずれ予防の寝返り介助が体力的に難しいという飼い主さんは少ないかもしれません。しかし、仕事やプライベートと併せて愛猫の介護をするには、上手に介護用品を活用しなければ立ち行かなくなるでしょう。
そこで今回は、あると助かる猫のための介護用品をご紹介します。
あると助かる猫のための介護用品

1.防水シートとペットシーツ
猫のシニア期は、一般的に7歳ごろから始まります。シニア期の猫に多いのが、慢性腎臓病をはじめとする泌尿器系の病気です。おしっこの回数や量が増える、排尿時に痛みが伴うなどの症状が現れ、それが原因でトイレの失敗が増えていきます。
そこで役に立つのが、ペットシーツです。トイレの周囲の広い範囲にペットシーツを敷いておくことで、床や畳が粗相で汚れることを防げます。飼い主さんの留守が長い場合は、防水シートの上にペットシーツを敷いておくと、さらに安心できるでしょう。
2.縁の低いトイレ
加齢が進むと、猫も足腰の筋肉が衰えてきます。ジャンプができない、足が上がらない、よろけるといった症状が出てきます。そこで問題になるのが、トイレです。一般的に猫のトイレは高い縁に囲まれているため、中に入れなくなる猫が多いのです。
筆者は縁の低い猫用のトイレを見つけられず、子犬のトレーニング用トイレを流用していました。そのため、飛び散った砂の片付けには苦労しました。しかし現在は、シニア猫用に縁が低いトイレも多く売られているようですので、ぜひ探してみてください。
トイレまでたどり着けなくなったり寝たきりの状態になったりした場合は、オムツの着用も検討しましょう。
3.脚付きの食器または食器台
年をとってくると、頭を下げた状態で食べることが辛くなってくるようで、従来の食器では食事をしてくれなくなることがあります。
その場合に役立つのが、高い位置で食べられる脚付きの食器や従来の食器を乗せる食器台です。頭を上げた姿勢で食べられる高さになるものを、探してあげましょう。
4.療法食・介護食・流動食
シニア期の猫には、歯周病も多くなります。歯が抜けたり痛かったりすることで、今までのフードを食べられなくなることも多いです。また、慢性腎臓病や糖尿病などの持病で、療法食しか食べさせられなくなるケースもあります。
愛猫の歯の状態に合わせて、細かいフレークやペースト状、スープ状などの食べやすい形態で、必要な栄養が取れる総合栄養食・療法食を探して食べさせるようにしましょう。
5.行動制限のできる柵またはケージ
よろけながら歩くようになった猫を、ひとりで留守番させなければならないこともあります。目を離すのは心配だけれども、ベッドに縛り付けておくわけにもいきません。
そんな時にあると助かるのが、組み立て式の柵です。猫が飛び越えられない程度の高さで周囲を囲えば、愛猫が安全に過ごせる場所を、飼い主さんが自由に確保できます。柵内の床面にはペットシーツを敷き、給水器、食器、トイレ、寝床を設置しておきましょう。
組み立て式の柵は、比較的安価で自由に猫の居場所を作れるため、おすすめです。もちろん、適度な広さがある1段式の猫用ケージを購入しても良いです。
6.スロープ類
足元がおぼつかなくなってきたものの、まだ自力で歩きたい猫のために役に立つのが、スロープやステップです。トイレの手前、お気に入りのソファの脇、部屋の段差の手前などに設置することで、猫の安全な行動範囲をできるだけ広く確保してあげましょう。
7.愛猫の状態に合わせた寝床
若い頃はフカフカの寝床でも何不自由なく使っていても、足腰が弱って立ち上がる時に踏ん張れなくなることもあります。その場合は、ある程度の固さがあるクッションに変えてあげると良いでしょう。
また寝たきりになった場合、一番の問題が床ずれ予防です。猫は体が小さいため、高齢の飼い主さんの体力でも、寝返りを打たせるのも比較的容易でしょう。
しかし、就寝時や留守にする場合などを考え、床ずれ防止用マットの活用も検討してみましょう。
愛猫の様子に合わせてかかりつけ医に相談しよう

今回ご紹介した介護用品は、ペットショップやホームセンター、通販サイトなどでも簡単に購入することができます。しかしおすすめしたいのは、愛猫の様子をよく理解してくださっているかかりつけの動物病院に相談することです。
ペット用の介護用品も日進月歩で開発が進んでいます。愛猫の状態に合わせて、もっとも適した製品や使い方、工夫点などを指導してくれるでしょう。特に療法食や介護食、床ずれ防止用マット、オムツなどは、事前に相談することを強くおすすめします。
まとめ

まだ愛猫が若くて元気な間は、介護のことなど考えたくもないでしょうし、想像もできないかもしれません。しかし、愛猫がシニア期を迎えるのはあっという間です。
愛猫がまだ元気なうちから、シニア期の暮らし方を考えておきましょう。仕事や家庭のことと愛猫の介護を上手に両立させるために、頼りになる専門家や介護用品を把握しておくことは、きっと役に立つはずです。