1.『招き猫の日』は、招き猫に感謝を伝えるために生まれた

毎年9月29日にやってくる「招き猫の日」は、1995年に誕生した記念日です。
「日本招猫倶楽部」という愛好家グループによって制定され、福を呼んでくれる招き猫に感謝を伝える日として、一般社団法人日本記念日協会の公式認定も受けています。
「9 =くる」「29=ふく」で「来る福」という語呂合わせから、9月29日が選ばれたのだとか。
実はこの「来る福」というフレーズは、毎年9月ごろに開催される「来る福招き猫まつり」という感謝祭の名前にも取り入れられています。
2.招き猫のルーツ、実は複数の説がある

豪徳寺「招福猫児(まねきねこ)」にまつわる説
有力な説の1つに、東京都に現存するお寺「豪徳寺」にまつわるエピソードがあります。
彦根藩主(現在の滋賀県)の井伊直孝は、豪徳寺で飼われていた「たま」という猫に手招きをされて、お寺に入ります。
すると天候が急変し、落雷が発生。
結果として落雷から救われた直孝は、当時荒れ果てていた豪徳寺の支援を決めます。
お寺の存続に貢献したたまは、この世を去った後に「招福猫児(まねきねこ)」という像が祀られ、これが招き猫のルーツになったと言われています。
今戸人形「丸〆猫(まるしめのねこ)」にまつわる説
今戸焼の土人形「丸〆猫(まるしめのねこ)」にまつわる説もまた、招き猫のルーツとして有力とされています。
丸〆猫は江戸時代に大流行し、浅草の露店で売られている光景は、歌川広重の浮世絵「浄瑠璃町繁花の図」にも描かれているほどです。
現代の一般的な招き猫と違い、背中には「丸〆」と刻まれ「福を手に入れる」「福を独り占めする」といった意味が込められていたのだとか。
さらに現物も出土しており、現在は新宿区教育委員会が所蔵しているようです。
3.招く運は、色やポーズごとに意味が違う

色による違い
招き猫の色によって、ご利益が違うことを知っていますか?
最もポピュラーな三毛や白の招き猫は「総合運アップ」なので、迷ったら定番を選ぶとよいかもしれません。
黒は「厄除け」にご利益があるとされ、金は見た目の印象そのまま「金運」によいとされています。
さらに近年では「恋愛成就」のピンクの招き猫や「学業成就」の青の招き猫なども登場し、バリエーション豊かになっています。
あげる手のポーズによる違い
招き猫はあげている手によっても意味が変わり、左手なら「お客」右手なら「お金」を招くとされ、商売繁盛を願う人には特に縁起がよいものでしょう。
両手をあげた招き猫もいますが、お客もお金も招いて縁起がよいとされる一方で「お手上げ」ポーズに見えて、あまりよくないという意見もあります。
ちなみに、海外では日本式の手の向きが「追い払う」ジェスチャーに見られやすいという理由から、お土産用の招き猫は、手の甲を前にしてデザインされる場合もあるようです。
まとめ

招き猫は、日本人なら誰もが知るラッキーアイテム。
「9(くる)29(ふく)=来る福」という語呂合わせから、9月29日が招き猫の日に制定され、招き猫への感謝祭も毎年開催されています。
招き猫誕生には、豪徳寺の「招福猫児(まねきねこ)」や今戸人形の「丸〆猫(まるしめのねこ)」といった複数のルーツがありますが、当時から人々に幸運をもたらす存在だったことには変わりありません。
色やポーズによってご利益の意味が違うという奥深さも素敵です。
この記念日をきっかけに、あなたのお家にも招き猫を迎えてみてはいかがでしょうか?