『よく鳴く猫』と『鳴かない猫』は何が違う?考えられる3つの原因と、それぞれとのうまい付き合い方

『よく鳴く猫』と『鳴かない猫』は何が違う?考えられる3つの原因と、それぞれとのうまい付き合い方

猫の鳴き方には大きな個性があります。よく鳴いておしゃべりを楽しむ子もいれば、ほとんど声を出さず静かに寄り添う子もいます。その違いを前に「どう接したらいいの?」と迷う飼い主さんも多いでしょう。実は鳴く・鳴かないの背景にはいくつかの理由が隠れています。今回は猫の鳴き方に影響する3つの原因と、それぞれに合わせた上手な付き合い方を分かりやすく紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

鳴く猫と鳴かない猫の差はどこから?

並んで見つめる可愛い二匹の猫

猫の鳴き声には、性格や体質だけでなく、生活環境や人との関わり方も大きく影響しています。

よく鳴く猫を見ると「おしゃべりでかわいい」と思う人もいれば、「鳴かないけど大丈夫?」と心配になる飼い主さんもいるでしょう。

どちらも異常なことではなく、人でもおしゃべり好きな人と寡黙な人がいるように、猫の鳴き声の多さも個性のひとつです。

また、よく鳴く猫と鳴かない猫の違いは性格だけで決まるものでもなく、次のような3つの原因もあります。

1.品種や遺伝によるもの

まず大きな要因となるのは「品種」です。

たとえばシャムやオリエンタル系の猫はとても声が大きく、おしゃべり好きな傾向があるとされています。これは遺伝的な気質で、品種特有の性格の傾向により人とよくコミュニケーションを取ろうとする傾向があります。

一方、ロシアンブルーやブリティッシュショートヘアのように、比較的静かで鳴き声が少ない品種もいます。

同じ家庭で育てても、シャムは「ごはん!遊んで!」と積極的に声をあげ、ロシアンブルーは静かに寄り添う、といった違いが見られるのです。鳴き声の多さは、猫種による傾向の違いも関係しています。

2.生活環境や育ち方の影響

猫が育った環境も鳴き方に影響します。

小さい頃から人とよく接して育った猫は、人に向かって鳴くことで「要求が通じる」と学びやすいのです。

ごはんや遊び、かまってほしいときに鳴けば飼い主が反応してくれるため、「声を出すと良いことがある」と覚えているのです。

反対に、人と関わる時間が少なかった猫や保護猫の中には、鳴いても反応が得られなかった経験から声を出さなくなるケースもあります。

これは「無口な猫」というより、鳴き声を使う必要がないと認識しているのかもしれません。

3.体調や年齢による変化

健康状態や年齢によっても鳴き方は変わります。

高齢になると声がかすれたり鳴く頻度が減ったりすることがありますし、逆に認知症の症状が出ると夜中に大きな声で鳴くこともあるのです。

病気や痛みを感じて鳴き声が増える場合もあり、急に鳴き方が変わったときは病院で診てもらうことも大切です。

また子猫のうちはよく鳴いて母猫を呼ぶ習性がありますが、成長とともに自立し、次第に静かになっていく子もいます。

「鳴かなくなった=異常」とは限らず、体や心の変化による自然な成長過程の場合も多いです。

それぞれの猫との上手な付き合い方

飼い主に撫でられている猫

よく鳴く猫には「おしゃべりを楽しむ」姿勢が大切です。

要求にすべて応える必要はありませんが、無視ばかりすると猫が不安になるため、ごはんや遊びの時間をメリハリをつけて対応することで落ち着きやすくなります。

鳴かない猫には「静かでも安心している」と理解し、スキンシップは声より行動で確認しましょう。目を合わせてゆっくりまばたきしたり、隣に座るだけで十分に愛情を伝えられます。

まとめ

鳴く茶猫

猫がよく鳴くか、あまり鳴かないかは「個体の性格や品種の特性」「育った環境」「年齢や体調」といった要素で大きく変わります。

どちらが正解というものではなく、その子が安心して暮らしているかどうかが一番大切なポイントです。

声で気持ちを伝える子もいれば、静かに寄り添ってくれる子もいます。鳴き方の違いを「個性」として受け止め、無理に合わせさせるのではなく、その子のペースに寄り添ってあげることが、猫との信頼関係を深める一番の近道です。

鳴く猫も、鳴かない猫も、どちらも飼い主に信頼を寄せて生きています。私たちはそのサインを見逃さず、安心できる環境を整えてあげることが、猫との幸せな暮らしにつながるでしょう。

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