1.猫が顔を洗うと…

早速ですが、ここでちょっとしたクイズです。
有名な言い伝え、「猫が顔を洗うと…」に続く言葉を、次の三択から選んでみてください。
①桶屋が儲かる ②雨が降る ③ひたすらかわいい
③と思いきや、正解は、②です。
さて、本当に猫が顔を洗うと、雨が降るのでしょうか?
結論から言うと、科学的根拠はないものの、完全なデマとも判断できないのが正直なところです。
猫は気温や天候の変化に敏感で、低気圧が接近すると、リラックスや湿気対策のため、毛づくろいの回数が多くなることがあります。
さらに猫の立派なヒゲは、高精度な感覚センサーの役割を果たし、迫りくる低気圧を鋭く察知します。
雨になりそうなとき(低気圧の接近)、猫が顔を洗うようなしぐさを繰り返すのは、ヒゲについた湿気を取り除き、センサー感度を正常に保つため、とも言われています。
ヒゲに生じる不快感は、猫にとって、人間が想像する以上に無視できない問題なのでしょう。少しでも違和感があれば、まるで顔を洗うかのごとく、せっせとお手入れします。
その様子を興味深げに観察していた先人が、雨=猫が顔を洗う、と結びつけた結果、現在の「猫が顔を洗うと雨が降る」という言い伝えとして世の中に広まったのかもしれません。
2.オスの三毛猫は航海の守り神!?

天気つながりで言えば、かつての漁師さんと三毛猫(特にオス)に関連する言い伝えもよく知られています。
昔から日本では、縁起の良い「三」が入った三毛猫は、幸せをもたらす猫として認識されてきました(招き猫のモデルは三毛猫)。
とりわけ、オスの三毛猫は、遺伝の関係上で生まれる確率が約3万匹に1匹という希少価値もあって、非常に重宝されてきたと言います。
一方、自然に対峙する漁師さんたちの世界では、三毛猫は、天気予知や航海の無事、大漁祈願を担う、ある種の守り神的な存在です。
天候の急変や水難事故のリスクなど、人間のコントロールできない海では、科学的真偽はともかく、縁起の良い三毛猫が何よりも精神的な支えになったのでしょう。
1956年の第一次南極観測隊には、オスの三毛猫「たけし」も同行しています。漁師さんと同じように、困難な航海を無事に乗り切るため、安全祈願を三毛猫に託したわけです。
現在でも、相変わらず、漁師さんたちの間でオスの三毛猫は人気があると言われています。
ちなみに、海外の古い言い伝えには、「寝ている猫を起こしてはならない」(フランス)や「猫がいなくなると、ネズミが踊り出す」(ヨーロッパ各地)、「猫のように足から落ちる」(スペイン、ポルトガル。意味は、困難を乗り切る)などがあります。
3.猫除け用のペットボトルは効果がある?

最後は、みなさんにとってもおなじみの日常風景にまつわる都市伝説です。
民家の門や塀のうえ、植え込み、電信柱など、街のあちこちに水の入ったペットボトルが置かれています。もはや日常化していて、改めて物珍しく眺めることもないほどです。
これらのペットボトルは、通称「猫よけ水」と呼ばれるもので、猫の侵入や糞尿などを防ぐのが目的とされています。
では、この「猫よけ水」は本当に効果があるのでしょうか?
答えから言うと、科学的根拠は一切ありません。もっともらしい顔をした、ただの都市伝説です。
もともとのきっかけは、アメリカで始まった「水の入った瓶は犬よけになる」という噂話の類です。いつの間にか、「犬」から「猫」へ対象が変わり、日本に渡ると、テレビの影響力もあって、世間の常識になったいきさつがあります。
最初のうちは用心して避けても、慣れてくれば、猫は「猫よけ水」に見向きもしません。完全にスルーして通り過ぎていきます。
今でも多くのみなさんが「猫よけ水」をガードマン扱いしているのも、実際の効果を信じているというよりも、一種の気休めのため、と言ったほうが正確かもしれません。
「猫よけ水」を炎天下にさらし続けると、光が一点に集中した結果、火災が起こる可能性もあります。
置く、置かないの判断はあくまで個人による選択ですが、火事の危険性があることだけは十分に理解しておきたいものです。
まとめ

今回は、「猫が顔を洗うと雨が降る」、「三毛猫特有の縁起の良さ」、「猫よけ水」について紹介しました。
猫にまつわる言い伝えや都市伝説を振り返ってみると、いかに猫が私たち人間の暮らしに深く浸透しているかがよくわかります。
猫と人間がいっしょに暮らす限り、今後も、数え切れないほどの言い伝えや新たな都市伝説が生まれることでしょう。
題材にされていることも知らず、今日も明日もまた、猫はマイペースに日々を過ごし続けます。