愛猫の足取りが変…猫の『歩行異常』の原因4選とチェックすべきポイント

愛猫の足取りが変…猫の『歩行異常』の原因4選とチェックすべきポイント

猫の歩き方がいつもと違う時、怪我や整形外科疾患以外にも原因があることをご存知ですか?この記事では猫の歩き方がいつもと違った場合に考えられる原因とそれぞれの特徴についてご紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

︎1.怪我

レントゲン

猫の歩き方がおかしい場合、怪我をしたのかなと考える飼い主さんは多いと思います。

実際、猫は交通事故、猫同士の喧嘩、高い場所からの転落、爪が肉球に刺さるなど、怪我により起こる歩行異常はとても多いです。

出血などの外傷がある場合は、怪我が原因だとわかりやすいですが、場合によっては外傷がなく骨折や脱臼などが起きている事があります。

歩行異常の原因が怪我だと見分けるポイントとして、怪我による歩行異常が起きている場合、患部に触れると猫は非常に痛がり、声をあげて鳴く事もあります。そしてその痛みは、怪我をした時を境に急に発生します。

歩行異常の種類としては怪我をした足を上げたり、足を引きずる様に歩いたりします。

また、片足のみに痛みや歩行異常が見られる事があると言うのも特徴のひとつです。

怪我による歩行異常が疑われる場合には、急性の激しい痛みが発生するため、なるべく早く動物病院を受診し、レントゲン検査や痛みを取る治療を行う事が大切です。

︎2.変形性関節症

猫の足

変形性関節症とは、関節の軟骨がすり減り、関節の形が変形することで痛みや歩行の異常が出る病気です。

中高齢の猫で多く見られ、初めは高い場所に登らなくなったり、少し活動性が低くなったりするなどから始まり、症状が進行してくると足を上げて歩いたり、足を引きずったりする事があります。

ほとんどの場合で症状は徐々に進行する事が多いのが特徴です。

変形性関節症では、根本的な治療がなく、痛みがある場合にはその痛みを注射や飲み薬で取り除く方法が取られます。また、飼い主さんには猫のベッドの位置を低くしたり、床を滑らない素材に変えたりしてもらうなど、猫が過ごしやすい生活環境を整えて貰います。

変形性関節症は緊急性は低いですが、痛みがある様子の場合には動物病院への受診を検討しましょう。

︎3.前庭疾患や脳神経疾患

脳と神経

ふらつく様な歩き方や足を引きずるような歩き方などが見られる場合、原因のひとつとして前庭疾患や脳神経疾患が疑われます。

猫の前庭疾患や脳神経疾患は原因が不明で突然起こる事が多く、歩行異常の他にも眼振(目が揺れる)、斜頸、てんかん発作などが併発する場合もあります。

また、歩行異常はあるものの、四肢を触っても痛がる事はなく、脱力や麻痺など感覚が鈍くなる傾向があります。

脳や神経系が原因の場合、その原因を突き止めるためには全身麻酔をかけてMRIなどを撮る必要がありますが、腫瘍や椎間板ヘルニアなど原因がはっきりする事は少なく、原因の分からない特発性の場合も多いです。

てんかん発作などを併発すると命に関わる事もあるため、この様な歩行異常が現れた際もできるだけ早く動物病院を受診しましょう。診察室内で異常が見られづらい場合もあるため、異常を感じたときに動画を撮影しておくことも有意義です。

︎4.心筋症

聴診

猫の歩行異常の中でも最も緊急性が高いのが、肥大型心筋症が原因で起こる歩行異常です。

肥大型心筋症は、心臓の筋肉が異常に分厚くなる事で、心臓の血流を運ぶポンプ機能が低下する、猫に多い病気です。

肥大型心筋症は、うまく運べなくなった血液が心臓の中で血栓を作ってしまう事があり、これが猫の後肢の付け根部分の細い血管に詰まると、猫は突然激しい痛みと共に片方または両後肢の麻痺から立てなくなり、これを動脈血栓塞栓症と言います。

動脈血栓塞栓症では、突然の激しい痛みから猫がパニックになり家具等を倒しながら走り回ったり、大きな声で鳴き叫ぶ事もあります。

そして、麻痺が起きた足を触ると非常に痛がる傾向もあります。

動脈血栓塞栓症は、激しい痛みと後肢麻痺の後に突然死する事もあるとても危険な状態です。

この様な症状が見られた場合には、様子を見ずに緊急で動物病院へ行きましょう。

︎まとめ

キャリーに入る猫

猫の歩行異常は原因によっては、緊急的に命に関わる怖い病気が隠れている場合があります。特に前日までは無症状だったのに、急激に歩行異常が現れた場合には、早めに動物病院を受診する事が重要です。

猫は激しい痛みを伴うと、いつもはおとなしい子でも、不本意で飼い主さんを噛んでしまったり、爪を立てて逃げ回ったりする事があります。

動物病院を受診する際には、飼い主さん自身も怪我に注意し、普段からキャリーケースをベッド代わりに使用するなど、万が一に備えて猫を安全に運べる方法を考えておく事も大切です。

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