1.肥満(食べ過ぎ、横取り上等)

よく言われるように、「肥満は万病のもと」です。愛猫の見事な食べっぷりに飼い主さんが手放しで喜んでいると、あっという間に「重量級」へと成長してしまいます。
猫の肥満は、糖尿病や心臓病、関節への負担などの病気のリスクと隣り合わせです。本能の赴くままに食べ過ぎると、見た目はまんまる、かわいらしくなっても、やがて愛猫は病に苦しむ恐れがあります。愛猫想いの飼い主さんであれば、無視できない状況です。
参考程度に、猫の一日に必要な摂取カロリー量を確認しておくと、体重1kgあたり約50~60kcalがだいたいの目安となっています。たとえば、4kgの猫は、約240~250kcalくらいです。
愛猫の肥満防止のために、飼い主さんは適切なカロリー計算に基づいて、毎日の食事を用意する必要があります。
つい食べ過ぎてしまう猫には、ウェットフード(猫缶やパウチ)の活用が効果的です。
実践方法としては、全体の必要摂取カロリー内で、栄養価の高いドライフードの量を減らす代わりに、ウェットフードの分量を増やしてみてください。ウェットフードは、水分量が多く、食べごたえもあるので、いつもより早く満足感を得てもらいやすくなります。
また、多頭飼育環境下で、横取りによる肥満が問題化した猫には、「別々の部屋で食事」「食事の時間帯をずらす」「ケージに入って食べてもらう」などの対策が有効です。
毎日、定期的におもちゃ遊びなどで身体を動かすように心がけると、愛猫も健康を維持できます。
2.早食い

食いしん坊な猫にありがちなのは、早食いです。
猫はもともと早食いで丸飲みが食のスタンダードです。野生下でモタモタしていたら、ライバルや天敵にせっかくの獲物を奪われかねません。「食事は手早く」が猫の基本スタイルです。野生本能が強く、食いしん坊な猫ほど、その傾向が際立ちます。
では、早食いが猫の健康問題にどう影響するのか?
猫が早食いすると、短時間にフードを体内に詰め込むため、どうしても吐き戻しが多くなってしまいます。特に、ドライフードは胃の中で水分を吸って膨張しやすく、結果的に取り込んだフードが逆流して、嘔吐につながります。
同時に、早食いは、一気にフードを平らげるので、満腹感を得にくいのが特徴です。お腹いっぱいになるまで早食いを続けると、いつの間にか、一日の必要摂取カロリー量を軽々とオーバーしてしまいます。その先に待っているのは、愛猫の「肥大化」です。
他にも、フードで喉を詰まらせたり、猫のケースでは稀ですが、胃に負担がかかって「胃捻転」を引き起こしたりする危険性もあります。
早食い対策には、「食事を複数回に分ける」「早食い防止の器に変える(底に突起物があり、食べにくい)」「知育玩具を活用する(考えながら食事できる)」などが効果的です。
多くの猫は、落ち着いた環境での食事を好みます。もし騒がしいことが早食いの原因であれば、まずは、まわりの状況を改善するようにしましょう。
3.人間の食べ物に興味を持つ

食いしん坊な猫は、食に対して常に貪欲です。その矛先は、人間用の食べ物にも向けられます。
ところが、人間の食べ物には、猫にとって有害なものがたくさんあります。
たとえば、カレーやハンバーグなどでおなじみのタマネギを猫が口にすると、赤血球が破壊され、貧血症を引き起こし、最悪の場合、命を奪われます。長ネギやニラ、ニンニク、らっきょうなどのネギ類の仲間もすべてNGです。
また、みなさんが好んでつまむチョコレートやナッツ類は、嘔吐、下痢、尿失禁などの中毒症状、毎日の楽しみにしている方も多いワインは、急性腎障害の危険性があります(ぶどうの加工品はどれもダメ)。
ちなみに、部屋のインテリアとしてつい飾りたくなるユリ科の植物も、猫には有毒です(花だけでなく、茎、根、花瓶の水に至るまで命に関わる)。
猫は、人間が思う以上に嗅覚の鋭敏な動物です。気になる匂いにつられ、飼い主さんの隙を突いて、パクパク食べてしまうことも十分にあります。口に入れた後で苦しむのは愛猫です。それだけは絶対に避けなければなりません。
愛猫の健康を守るために、飼い主さんは以下の取り組みを実践してみてください。
- 人間の食べ物は絶対に与えない(一度味を覚えると、再度おねだりに来る)
- 食べ物を放置しない(シンクやテーブル、ゴミ箱など)
- 猫に有毒な食べ物は扉付きの棚などに収納しておく
- ゴミ箱をフタ付きのものに変える
猫との暮らしは楽しく幸せな一方で、食べ物を含め、さまざまな危険に取り囲まれている――そのことを自覚したうえで、食いしん坊な愛猫の誤食、誤飲防止に努めることが肝心です。
まとめ

愛猫が食欲旺盛だと、何だかうれしくなるのは飼い主さんの偽らざる本音でしょう。ただし、あまりにもケタ違いなレベルになってしまうと、やはり、大問題です。
今回は、「食いしん坊な猫」が陥りやすい3つの注意点を紹介しました。「肥満」「早食い」「人間の食べ物に興味を持つ」、この3つはどれも愛猫の健康を脅かすリスクがつきまといます。
取り返しのつかない事態になる前に、飼い主さんはあらかじめ対策を試みるようにしましょう。本文で紹介した内容が、その後押しになれば幸いです。