1.偏った食事や栄養バランスの崩れ

最も多い原因は、日々の食事内容です。とくに手作りごはんや安価なキャットフードを与えている場合、鉄分が十分に摂取できていないことがあります。
猫にとって必要な鉄は、肉類に多く含まれる「ヘム鉄」です。このヘム鉄が少ない食事を続けていると、少しずつ体内の鉄が減ってしまいます。
人でいうと、毎日インスタント食品だけで生活しているような状態に近いかもしれません。短期間では目立たなくても、じわじわと健康をむしばみます。
とくに成長期やシニア猫、妊娠・授乳中の猫には、より多くの鉄分が必要です。体が欲しがっているタイミングで不足すると、症状が出やすくなるのです。
2.消化管のどこかで出血している

胃や腸など、体の内側で出血している場合も、鉄が失われてしまいます。血液中の鉄は、出血によって外へ流れ出るため、いくら食べ物から補っても追いつかなくなることがあるのです。
見た目には元気そうでも、うんちが黒かったり、頻繁に吐いたりしている場合は要注意。これらは「見えない出血」のサインかもしれません。
とくに中高齢の猫は、腫瘍や止血異常、その他の出血病変などが隠れている可能性もあり、早めの受診が大切になります。
3.体が鉄をうまく使えていない

ごはんに鉄分が含まれていても、それを体が活用できなければ意味がありません。吸収を妨げる病気や、腎臓の機能低下などが原因で、鉄が十分に働かないことがあります。
一見元気そうに見えても、貧血が進行していた…ということも。猫は不調を隠すのが得意なので、飼い主が気づきにくいケースも多いです。
また、感染症や慢性疾患があると、体が鉄の吸収を一時的にブロックすることもあります。これは「体が自分を守るための防衛反応」ともいえますが、長引くと逆効果になってしまいます。
猫の鉄分不足を防ぐには?

まずは、健康管理がしやすい栄養バランスのとれた総合栄養食のフードを選ぶことです。基準を満たしている総合栄養食であれば、基本的には鉄分も含まれています。
手作りごはん派なら、獣医師の指導を受けながら、必要な栄養をしっかりと設計しましょう。レバーや赤身肉など、鉄分の多い食材をうまく活用するのもポイントです。
また、定期的な健康診断も行うようにしましょう。血液検査で貧血や鉄不足がわかることが多いので、年に1〜2回はチェックしておくと安心です。
日々の様子をよく観察し、「いつもより眠そう」「毛並みがボサボサ」といった小さな変化を見逃さないようにしたいですね。
まとめ

猫の鉄分不足は見えにくい不調だからこそ、日ごろの小さな変化に気づくことがとても大切です。食欲がない、いつもより眠ってばかりいる、そんな様子は体からのSOSかもしれません。
栄養バランスのとれた食事や定期的な健康チェックを心がければ、鉄分不足は防ぐことができます。
愛猫の「なんとなく元気がないな…」というサインを見逃さず、健康で長く一緒に暮らせるよう、できることから始めていきたいですね。