1.完璧を目指してしまう

理想が高く、完璧を追求してしまう飼い主さんほど、うまくいかなかったとき、メンタル面で大きなストレスにさらされてしまいます。
愛猫との暮らしは、幸せな一方で、思い通りにならないことも多く、それなりに「生傷」が絶えません。実際に引っ掻かれることもあれば、大事な家具で爪研ぎをされたり、海外旅行のお土産を壊されたり、新品のカーペットに嘔吐されたりします。
「猫は飼い主を引っ掻いてはならぬ」「猫は指定された場所以外、爪研ぎしてはならぬ」「猫は新品のカーペットに嘔吐してはならぬ」といったように、いつの間にか、飼い主さんが「ナラヌ王国」の王様になってしまうと、おそらく、精神的な負荷がかかり、クタクタにくたびれるだけです。
爪研ぎからイタズラ、深夜の大運動会まで、猫の行動の多くは野生本能に突き動かされたものです。生まれつきのものなので、変えようがありません。飼い主さんができることは、ささやかな対策を施すことぐらいです。
たとえば、「爪研ぎされたら困る場所はあらかじめ保護カバーで覆う」「たびたび開催される深夜の大運動会にはたまに保護者参観してみる」など、愛猫との暮らしを楽しむためには、具体的な対策と気持ちのゆとりが欠かせません。
完璧主義な飼い主さんほど、自分が完璧を目指しているなどとは思いもしないので、日頃から気をつけてみてください。
2.一人で抱え込んでしまう

食欲不振や夜鳴き、粗相など、愛猫と暮らしていると、それなりに悩みやトラブルも起こってきます。特に、単身暮らしの飼い主さんは、すべてのお世話をこなすため、より一人で問題を抱え込んでしまいがちかもしれません。
愛猫の問題で気持ちが沈んだり、イライラしたり、眠れなかったり、自分の好きなことに興味を持てなくなったりするのは、明らかに肉体的・精神的不調のサインです。そのまま放置すると、最終的に愛猫のことが疎ましくなってしまう可能性もあります。
そんなときは、信頼できる猫好きさんの力を借りるのが一番です。「借りる」と言っても、愛猫のお世話を任せるのではなく、抱えている現状を率直に話してみてください。
たとえば、なかなかゴハンを食べてくれない愛猫に困っていたら、事情を打ち明けることで、「うちの子もそうなのよ!」と共感してくれる猫好きさんもいるかもしれません。悩んでいる人が自分だけではないと知ると、人は意外に気持ちが軽くなります。
仮に相手が経験豊富な猫好きさんであれば、実体験に基づいた貴重な情報を教えてくれたり、深刻にとらえがちな問題も笑い飛ばしてくれたり、いろんな意味で心強い存在になってくれます。
そして、肝心なのは、数々のトラブルが積み重なって、愛猫に対して良くない気持ちを抱いたとしても、「猫好きとしてありえない…」などと自分を責めないことです。
いったん自己嫌悪に陥ると、無限の負のループが続き、結果的に飼い主さんの心身の健康を損ねてしまいます。愛猫との暮らしには、ときに負の感情を受け入れることも大切です。そのことを忘れないようにしましょう。
3.愛猫に依存してしまう

猫を飼ったら、四六時中一緒にいたい――そう願う飼い主さんもいるかもしれません。
ところが、実際に愛猫を迎え入れ、ずっと密着した生活を続けていると、双方に好ましくない影響が出ることもあります。
飼い主さんの立場で言えば、常に愛猫のことが心配でたまらず、過干渉気味にお世話した末、身も心も疲れ果ててしまうことです。
愛猫の視点に立つと、「不安分離症」になりやすいことが挙げられます。「不安分離症」とは、外出時などで飼い主さんと離れ離れになると、極度な不安状態に陥ることです。鳴きやまなかったり、イタズラを繰り返したり、粗相したりなどの症状が表れます。
愛猫が「不安分離症」になれば、飼い主さんはますます気に病み、過剰なお世話に拍車がかかります。そのあげく、愛猫はよりいっそう飼い主さんから離れられなくなり、「不安分離症」の症状が悪化していく――まさに悪循環です。
飼い主さんにいたっては、愛猫のために自己犠牲を払った結果、日常生活もままなりません。迎え入れた当初に思い描いた愛猫暮らしとは真逆の状況です。
愛猫を第一に考えるあまり、依存関係の閉じられた世界に入り込んでしまうと、自分の状態を客観視できなくなります。いったん頭を冷やすためにも、愛猫と適度な距離感を保つことが重要です。
愛猫の要求には、状況に応じてスルーする技術を使い分ける、あるいは、一人でお留守番できるように少しずつ練習する、など、飼い主さんができることから始めてみてください。猫は順応性が高い一面もあるので、そのうちに慣れてくれるはずです。
お互いに一人きりで過ごす時間を楽しめるようになると、より成熟した関係性に発展した、と言えるかもしれません。
まとめ

今回は、「育猫ノイローゼ」になりやすい飼い主さんの特徴として、「完璧主義」「孤立」「依存関係」の3つを取り上げました。
3つに共通して言えるのは、自分で作り上げた世界のなかで、すべてを完結させてしまうことです。順調にいっているときは良いのですが、ひとたびつまづいてしまうと、とたんにマイナス方向へと傾いていきます。愛猫にとっても悪影響が避けられません。
よく言われることですが、一人で抱え込まずに、適度に人に頼って、愛猫ともほどよい距離感で接すれば、いろんな面で風通しが良くなります。
もし身近に頼る人がいなければ、「あ、またやっちゃってるわ…」と自分の完璧主義にツッコミを入れるようにしておくと、ドツボにハマることも少なくなるかもしれません。
愛猫も、飼い主さん自身も健やかでいられてこそ、幸せな暮らしです。これからいろいろと落ち込むこともあるかと思いますが、この世で出会ったお互いの縁を大切にしながら、なるべく上機嫌に過ごしてみてください。