猫が体調不良になっちゃった!飼い主がお家ですべき対処法とは?【現役獣医が解説】

猫が体調不良になっちゃった!飼い主がお家ですべき対処法とは?【現役獣医が解説】

猫ちゃんはマイペースな子も多く、おうちの猫ちゃんとの適切な距離感をつかむのが難しい!と感じている飼い主さんもいるのではないでしょうか。適切な距離感は大切ですが、体調不良になった際は飼い主さんからのケアや飼い主さんに動物病院へ連れて行ってもらうことは不可欠です。では飼い主さんがお家でできることはどんなことなのでしょうか?

飼い主さんが猫ちゃんにしてあげなければならないこと

横になる猫

猫ちゃんと一緒に生活をしていくうえで、ご飯を与えることや生活環境を整えてあげるなどの最低限の行うべきことがありますが、体調変化などが見られた場合の緊急時に飼い主さんが猫ちゃんにしてあげるべきことがあります。

どんなことができるよう責任を持たなければならないのでしょうか。

普段との変化に気づく

獣医さんやペットショップのスタッフさんなどは動物さんや猫ちゃんのプロですが、その子のプロではありません。

日常生活を一緒に過ごしている飼い主さんだからこそ気づける小さな変化が実は体調不良の初期のサインであることも多いです。

普段との変化に気づけるよう、おうちの猫ちゃんへの注意を向ける関係性だと理想的です。日々じっと観察していると、猫ちゃんは窮屈に感じてしまうかもしれません。

食欲、排泄、行動パターンなど項目を決めて少し気にするようにすると普段と違う際に気づける可能性が高いです。

投薬や薬の塗布、消毒をする

入院で処置を行う場合もありますが、自宅へ帰ってから毎日のケアが必要な場合、投薬や薬の塗布、消毒などの処置を飼い主さんができる関係性である必要があります。

痛みや違和感、体調が悪い中で触れようとすることを嫌がる猫ちゃんも多いと思いますが、普段から少しでも触れられる関係性であると、家庭でできることの選択肢も増えます。

飼い主さんができない場合、入院して動物病院で行うという猫ちゃんの負担にもなり得る選択肢や治療をあきらめるという選択肢をせざるを得ないこともあるでしょう。

病院へ連れていく

体調が悪くなれば動物病院へ連れていくことができればそのあとの対処ができることが多いです。しかし、動物病院へ連れていくこと自体が猫ちゃんにとってはハードルが高いケースもあるでしょう。

家の外へ出ること、キャリーケースへ入ること、動物病院へ入って処置をしてもらうこと、猫ちゃんによって嫌なことは様々です。

負担になるからと言って動物病院へ連れて行かないことで体調は悪化して命の危険に直結してしまうこともあります。

まずは家庭内で捕まえて、キャリーケースなどの移動のための入れ物に入ってもらえるような関係性を築く必要があるでしょう。

普段からどんなことができると良い?

キャリーケースで眠る仔猫

ではこれらのことができるようにするには飼い主さんは普段からどのようなことを気を付けて生活すべきでしょうか。

おうちの猫ちゃんの行動パターンを把握する

まず、小さな変化に気づけるように普段の行動パターンを把握することは大切です。ある程度猫ちゃんのルーティンがあることが多いので、普段はどのように過ごすかを把握できると安心です。

病気の早期発見だけでなく、動物病院へ連れていきたいときや処置を家庭でしたいときにどのような気のそらし方をすればよいか、どのようなことなら負担に感じないかということも想像しやすくなるでしょう。

おうちの猫ちゃんの普段の生活に興味を持って、どんな行動パターンを普段しているのか知ってみましょう。

一緒に暮らし始めて間もないころはわからないことも多いですが、期間が長くなるにつれ、わかることも増えてきます。

キャリーケースやクレートの中に入れるよう慣らしておく

移動の際に不可欠なのがキャリーケースやクレートのような、しっかりと閉まる入れ物に入ってもらうことです。

動物病院へ連れていく際に、キャリーケースなどに入ることが負担にならないと、何か心配事があった場合などに受診のために連れていきやすくなります。

また、災害時や安静が必要な場合などに、中に入って落ち着いていてもらうことができるため、選べる選択肢も増やすことができます。

好きなごはんの傾向を把握しておく

体力が消耗しているときや食欲が減退しているとき、薬をごはんに混ぜたいときに好きなごはんを与えることは有意義です。

好きなごはんの傾向がわからないとたくさんのご飯をすべて与えてみてどう反応するかということを把握することから始めなければならないため、好きなごはんを見つけるまでに長い時間がかかってしまうでしょう。

普段から好きなごはんの傾向が把握できていると、苦手な投薬の時にどんなご飯に混ぜてみたら食べてくれそうかという想像もしやすいです。

家庭で投薬ができることで、体調不良時も入院や通院で注射をしてもらう以外の選択肢が増えるため、猫ちゃんへの負担が軽減できる可能性が高いです。

触れることのできる関係性を作る

体に触れることで得られる情報はたくさんあります。少し肉付きが落ちて痩せたということや、触られると嫌がる部位の有無、傷などがあった時に触れて確認することなど家庭で確認できることが増えるでしょう。

また、消毒や塗り薬の塗布などの処置も、触れられる関係性が築けているとしやすくなります。体調が悪い時や体に違和感のある時から触れることを始めようとすると、嫌がって難しい可能性が高いです。

元気で機嫌のいい時から少しずつ慣らしていくと良いでしょう。

どうしても飼い主さんがケアすることが難しい場合は?

診察される猫と見守る飼い主

普段から飼い主さんが努力して、関係が上手に構築できればいざというときに飼い主さんがお家でケアできるという選択肢が増えますが、猫ちゃんの性格や生い立ちなどから難しい場合もあるでしょう。

どうしても飼い主さんと猫ちゃんとの距離を縮めることが難しい場合、どうしたらよいでしょうか。

往診を上手に利用する

動物病院へ連れていくことが難しい場合、お家で猫ちゃんを診察してもらえる往診のシステムを利用することも選択肢の一つとして挙げられるでしょう。

ただし、往診をしてくれる動物病院を探す必要があること、お家で処置や診察をしてもらうために、飼い主さんが捕まえてネットやケースなどに入れることができる必要があることなど、いくつかの条件があります。

また、往診ではできる処置や検査も限定されるため、動物病院で様々な機材がそろっている中での診察とは条件が異なります。

症状や疑わしい疾患によっては動物病院での検査や受診を進められる場合もあるかもしれません。

オンライン診療を利用する

近年、動物病院での受診だけでなく、オンライン診療も法律で認められました。

しかし、オンライン診療を行っている病院がまだ限られることや、飼い主さんが猫ちゃんの症状を上手に伝える必要があること、オンライン診療を行う上でのルールが決まっているのでその中で行う必要があることなど、壁となり得る問題もあります。

おうちの猫ちゃんの性格や見られた症状によってはオンライン診療が適さない場合もあるため注意が必要です。

かかりつけの先生との信頼関係を築く

一番おうちの猫ちゃんのことを良く把握しているのは、普段から診療を行っているかかりつけの先生であることが多いでしょう。

性格や、飼い主さんとの関係性などを把握したうえで、最善の策となり得る案を提案してくれるかもしれません。

不安に思っていること、治療方針に関する飼い主さんの希望など相談のできる信頼関係が築けていると、体調不良で困った際に専門家としてアドバイスがもらえるでしょう。

また、猫ちゃんと獣医師の先生やスタッフさんとの関係が良好であれば、入院という選択肢も猫ちゃんの負担が少なく行える可能性が高いです。

まとめ

飼い主と猫

猫ちゃんはマイペースで、独特の距離感を望む子も多い生き物です。飼い主さんも戸惑うことが多いかもしれません。

しかし、それぞれの猫ちゃんに負担にならない形で飼い主さんと猫ちゃんの信頼関係が築けていると、いざというときに選択肢が増えて後悔をする機会も減るでしょう。

無理に行う必要はありませんが、より猫ちゃんとの生活を充実させるために、猫ちゃんとの一生の中でする後悔を減らすために、普段から少しずつ距離を見直してできることを増やしてみていただけたらと思います。

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