猫には絶対に与えてはいけない『要注意な魚介類』4種

1.生のイカ・タコ・貝類・甲殻類
イカ、タコ、そして多くの貝類は、猫にとって危険な魚介類の一つです。
これらの食材には「チアミナーゼ」という物質が含まれており、これがビタミンB1を分解してしまうため、継続的な摂取により重篤なビタミンB1欠乏症を引き起こします。
症状としては、運動失調、痙攣、意識障害などがあらわれ、治療が遅れると不可逆的な神経障害や死に至ることもある病気です。
少量摂取した程度で、すぐビタミンB1欠乏症を引き起こすわけではありませんが、もし摂取後に猫の体調に異変が見られた場合は獣医師に相談しましょう。
なお加熱をすれば食べられますが、猫に必須な食材でもないので、あえて与える必要はありません。
2.青魚(サバ、アジ、サンマなど)
青魚は一般的に栄養価が高いとされていますが、猫に「イエローファット病(黄色脂肪症)」を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
イエローファット病とは青魚に含まれる不飽和脂肪酸が猫の体内で酸化し、皮下脂肪が炎症を起こす疾患です。症状には発熱、食欲不振、皮膚の硬化などがあり、ひどい痛みが生じることもあります。
また青魚には多量のヒスチジンという物質も含まれており、これが細菌によってヒスタミンに変化し増加しすぎると、アレルギーのような反応を引き起こすリスクも。
そのためフードのトッピングやおやつに少量与える程度では問題ありませんが、毎日たくさん青魚を与えるのは控えましょう。
3.塩漬けの魚
塩分を多く含む加工魚や魚卵は、猫にとって危険な食べ物です。塩鮭、塩サバ、燻製サーモンのような加工された魚には、多量の塩分が含まれています。
体が小さい猫にとって、過剰な塩分摂取は腎臓に大きな負担をかける場合があり、腎臓病のリスクを高めたり、すでに腎臓病を患っている場合は症状を悪化させたりする可能性があるのです。
ほかにもイクラ、たらこ、しらすといった魚卵やその他の魚介類も、同様に多くの塩分を含んでいるため、猫には与えないでください。
基本的には人間用の味付けなどの加工がされた食品を与えることはおすすめできません。
4.調理済みの魚介類(人間用)
人間用に調理された魚介類は、猫にとってさまざまな有害物質を含んでいる可能性があります。
たとえば「玉ねぎ」や「ニンニク」などの食材。これらの食材は猫の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こす原因になりかねません。そのほかアボカドやナッツ類なども、猫に中毒症状を引き起こす危険性のある食材として知られています。
くわえて人間用の調理には多量の塩分、油分、香辛料が使用されており、これらは猫の消化器系や腎臓に大きな負担をかけます。
人間用の食べ物は人間向けに作られており、猫への安全性は確立されていません。猫が興味を持って近づいてきても猫に与えないでくださいね。
猫のごはんは「総合栄養食+水」で問題ない

猫の健康を維持するためにシンプルで、かつ必要な栄養が摂れる食事は、実は「総合栄養食」と「新鮮な水」の組み合わせです。
飼い主さんのなかには「猫には特別なものがいるのでは?」と心配される方もいますが、総合栄養食と表示されたキャットフードは、猫が生きていく上で必要な栄養素がすべてバランス良く配合されており、それだけで猫の健康を十分にサポートできるように作られています。
ビタミン、ミネラル、タンパク質、脂質、炭水化物など、猫が本来必要とする栄養が過不足なく含まれているため、別途サプリメントを与えたり、手作り食を加えたりする必要は基本的にはありません。健康な猫であれば総合栄養食と新鮮な水だけで、健やかに毎日を送ることができます。
ただし病気の関係で栄養素を調整しないといけない場合は、獣医師と相談し「療法食」が必要となるケースもあります。
また総合栄養食といえど、給餌量には注意しましょう。多すぎ・少なすぎでは猫の健康を保てないので、パッケージに記載される目安量を参考に与えるようにしてください。
水分補給も忘れてはいけません。総合栄養食はフードタイプが「ドライ」のものが多く、別に水分をとらないと、たちまち水分不足に陥ってしまいます。
飲み水を用意するのはもちろん、飲水が進まない猫にはドライフードをふやかしたり、水分補給ゼリーをおやつに与えたりして、水分不足を招かない工夫が必要です。
まとめ

多くの人が抱いている「猫=魚好き」というイメージは、必ずしも正しいものではありません。
むしろ一部の魚介類は猫にとって深刻な健康リスクをもたらす可能性があり、飼い主として正しい知識を持つことが重要です。
もし猫に魚介類を与える場合は必ず加熱し、骨や皮を取り除き、味付けはせず、新鮮なものを少量にとどめておきましょう。
猫の主食は総合栄養食のキャットフードが理想であり、魚介類はあくまでも補助的な食材に過ぎないもの。基本的にはトッピングで少量与える程度でとどめることをおすすめします。猫は魚好きの概念にとらわれず、正しい知識を持って、猫の健康を守りましょう!