猫にとって「ストレス」になる3つの天敵

1.環境の変化
猫にとって、予測できない環境の変化は大きなストレス源となります。例えば、引っ越しは、見慣れない場所、異なる匂い、新しい音など、あらゆる要素が猫を不安にさせます。家具の配置換えといった些細な変化でも、猫にとっては自分のテリトリーが脅かされるように感じられることもあるようです。
また、来客が頻繁にある場合や、家族構成の変化(新しいペットや赤ちゃんが来るなど)も、猫の日常のルーティンを乱し、精神的な負担となり得ます。
家の外から聞こえる工事の音や、大きな声での会話、頻繁に鳴る電話やインターホンの音といった騒音も、猫の聴覚を刺激し、常に緊張状態に置く原因となるのです。
これらの変化は、猫が安心して過ごせる場所が少ないと感じるため、ストレス反応を引き起こします。
2.不適切な飼育環境
猫の基本的な欲求が満たされない不適切な飼育環境も、重大なストレス要因です。特に、清潔でないトイレは、猫が排泄を我慢したり、トイレ以外の場所で粗相をしたりする原因となるので注意しましょう。
汚れた食器や水飲み場も同様に、猫に不快感を与え、食欲不振や脱水を引き起こす可能性があります。
また、猫は高い場所から周囲を見渡すことを好むため、隠れる場所や高い場所(キャットタワーなど)が不足していると、安全だと感じられる場所がなくなり、常に不安を感じることもあるようです。
運動不足や遊びの不足も、猫の狩猟本能を満たせず、フラストレーションが蓄積する原因となり、ストレスにつながります。
3.人間関係の変化や過剰な干渉
猫は独立性が高い動物ですが、飼い主との関係性もストレスに大きく影響します。飼い主の不在時間が急に増えると、猫は孤独を感じ、分離不安になることがあります。
逆に、猫が嫌がっているにも関わらず、過剰な抱っこや一方的な触れ合いを強制されることも、大きなストレスとなります。猫は自分のペースで人との距離を保ちたい生き物なので、無理な接触は不快感を与え、人間不信につながる可能性もあるでしょう。
また、多頭飼いをしている場合、猫同士の相性が悪いと、縄張り争いやいじめが発生し、継続的なストレスとなることがあります。
これらの人間関係や同居猫との関係性の変化、または不適切なコミュニケーションは、猫の安心感を損ない、精神的な負担をかけてしまうのです。その場合すみ分けできるようなスペースを作るなど配慮してあげましょう。
「ストレス」が猫にもたらすトラブルとは

猫が慢性的なストレスを抱えると、心身にさまざまなトラブルが生じます。
心理的な面では、不適切な場所での排泄、過剰な毛づくろいによる脱毛や皮膚炎、食欲不振あるいは過食、攻撃的な行動の増加、あるいは逆に引きこもって隠れるといった問題行動が見られるようになります。
これらの行動は、猫がストレスを感じているサインであることが多いです。身体的な面では、排せつを我慢することで起こる膀胱炎といった泌尿器系のトラブル、下痢や便秘などの消化器系トラブル、さらには免疫力の低下により風邪をひきやすくなったり、他の病気にかかりやすくなったりすることもあります。
ストレスは万病の元となり、猫の健康寿命を縮める可能性もあるため、なるべく早く対策をとるようにしましょう。
猫の「ストレス」を軽減するための対策法

猫のストレスを軽減するためには、まず猫が安心して過ごせる環境を整えることが重要です。
具体的には、常に清潔なトイレと食器を用意し、猫が落ち着ける隠れ家や高い場所(キャットタワー、窓辺の棚など)を確保しましょう。
日頃から適度な遊びの時間を設け、狩猟本能を満たしてあげることも大切です。おもちゃを使った遊びや、知育玩具などを取り入れるのも良いでしょう。
多頭飼いの場合は、それぞれの猫が自分のスペースを確保できるよう、トイレや食事の場所を複数用意するなどの配慮が必要です。
また、猫のサインを読み取り、過剰な干渉は避け、猫のペースに合わせたコミュニケーションを心がけましょう。これらの対策を行っても改善が見られない場合や、体調に異変がある場合は、迷わず動物病院を受診し、獣医師に相談してください。
まとめ

猫にとってのストレス源は、環境変化、不適切な飼育環境、人間関係の問題など多岐にわたります。
これらが続くと、粗相や脱毛などの問題行動、膀胱炎や免疫力低下といった健康トラブルにつながるので注意が必要です。
ストレス軽減には、安心できる環境整備、適切な遊びと距離感の維持が大切です。異変があれば早めに獣医師に相談するようにしてくださいね。