1.回数

個体によって差はありますが、一般的に健康な成猫は、1日に2〜4回おしっこをするといわれています。
ただし、回数はあくまでも目安。大切なのは普段との違いです。いつもよりも大幅に増えたり減ったりした場合は、以下のような病気が隠れている可能性もあります。日ごろから、おしっこの回数をチェックしておくとよいでしょう。
- 回数が多い:膀胱炎、尿石症、糖尿病、腎臓病など
- 回数が少ない:脱水、尿石症(閉塞性)、尿路閉塞、疼痛など
2.量

健康な成猫のおしっこの量は、体重1kgに対し20~30mlが目安とされています。猫によってはこれより少ないことも、若干多いこともありますので、おしっこをする回数と同じように、「通常に比べて大きな変化がないか」に着目しましょう。慢性腎臓病ではゆっくりと尿量が増えていくので気付きづらいかもしれませんが、体重1kgあたり50mlを超えると危険サインです。
使用後の猫砂の塊の大きさを見たり、ペットシーツの重さを計測するとおおよその量を把握できます。また、最近では尿の量や回数などを自動で計測して、アプリで記録できる最先端のトイレもあるようですよ。
- 量が多い:腎臓病、糖尿病、内分泌疾患、肝疾患、子宮蓄膿症など
- 量が少ない:尿路結石や膀胱炎など
3.色

猫のおしっこは、通常、濁りのない透明な黄色です。普段と色が違ったり、何か混ざったりしていたら、注意が必要です。色付きの猫砂だと変化が分かりにくいこともあるため、白色のペットシーツを使うなど、工夫してチェックしてみてくださいね。
- 濃い黄色、オレンジ色:脱水、肝臓や胆嚢のトラブルなど
- 赤色、ピンク色:膀胱炎、腫瘍、玉ねぎの誤食による中毒、溶血性疾患など
- キラキラしたもの等が混じっている:尿路結石、細菌感染など
4.におい

猫のおしっこには、「フェリニン」といわれる特有の成分が含まれており、健康な猫でも独特なにおいを発します。しかし、健康状態によってはいつもとは違ったにおいがすることも。
トイレを掃除する際には、量や色などとあわせてにおいにも異変がないか確認し、病気の兆候を見落とさないようにしましょう。
- ツンとくるアンモニア臭:脱水や細菌性膀胱炎など
- 甘酸っぱいにおい:糖尿病、過度なストレスなど
- においがしない:慢性腎臓病など
動物病院を受診すべきタイミングとは?

以下のような症状が見られたら、特に注意が必要です。健康診断も兼ねて、動物病院を受診することをおすすめします。その際には、おたまやスポイトで採取したおしっこを持参すると、よりスムーズに診察や検査を受けることができますよ。
血尿が出ている
おしっこに血が混じっているときには、膀胱炎や腫瘍、溶血性疾患などの可能性があります。赤色だけでなく、ピンク色や茶色っぽいこともあるので、意識してチェックするようにしましょう。
トイレに行くのにおしっこが出ない
おしっこの通り道である「尿道」がふさがる尿道閉塞である場合は、命に関わることもあり、特に注意が必要です。放置せずに早めに受診を。
排尿時に鳴く・痛がる
おしっこする時に、痛そうにしていたり、あまりにも頻繁に「ニャー」と鳴くようであれば、膀胱炎や尿道炎といった泌尿器系の病気が考えられます。
まとめ

猫はもともと不調を隠しやすい動物といわれています。
そこで重要なのが、飼い主がしっかりと健康管理をしてあげること。特に食欲と排泄の観察は重要です。日々のお世話の中で、おしっこや排泄時の様子をチェックする習慣をつければ、ちょっとした変化にも気づけるようになりますよ。
異変や疑問を感じたら「大丈夫だろう」と放置せずに、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
飼い主の小さな気づきが、愛猫の命を守る大きな力となり、ともに過ごす時間をより安全で幸せなものにしてくれるでしょう。