猫にも人にもうつる皮膚病『疥癬』ダニが原因のこの病気、症状や対策、予防法を解説

猫にも人にもうつる皮膚病『疥癬』ダニが原因のこの病気、症状や対策、予防法を解説

猫の皮膚に寄生するダニが原因となって引き起こされる皮膚病の「疥癬」。感染力が強いため人間にもうつる厄介な人獣共通感染症です。あっという間に全身に炎症がでてしまうため、早期の治療や予防のための対策を取らないと、猫に辛い思いをさせてしまいます。愛猫の健康を守るためにも、疥癬について知り、私たち飼い主ができる予防法を実践していきましょう。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

疥癬とはどんな病気?

顔を掻く猫

疥癬とは寄生虫感染症の1つで、「ヒゼンダニ」というダニが猫の皮膚に寄生することで起こる皮膚病です。ヒゼンダニは、猫の皮膚の角質層でトンネル状の穴を掘って生活し、中で排泄や産卵を行います。

疥癬の症状が引き起こされるのは、ヒゼンダニそのものや排泄物、分泌物へのアレルギー反応によるものです。感染してからすぐ症状が発生するわけではなく、約2~6週間程度の潜伏期間があるといわれています。

ヒゼンダニはとても感染力が強い寄生虫で、人間にも感染するケースがあるのできちんと対策を取ることが重要です。

疥癬の症状

毛が抜けた部分のアップ

猫がヒゼンダニに寄生され疥癬になると、皮膚に炎症が起こり激しい痒みを引き起こします。まずは皮膚が厚くうろこ状になり、手触りがゴワゴワになったり耳の先にかさぶたができたりといった症状が表れたのちに、だんだん強い痒みを感じるようになるのです。

皮膚の炎症が酷くなっていくと大量のフケや脱毛も見られるようになり、あまりの痒みから掻き壊して血や膿が出てしまうこともあります。

初めは一部の炎症だったものがあっという間に広範囲に広がってしまうのも疥癬の症状の特徴で、幼猫や老猫が感染すると食欲がなくなるなど衰弱してしまうので早期の治療が鍵です。

疥癬になる原因

皮膚に傷がある猫

疥癬は外で暮らす野良猫や野生動物に多く見られ、感染の原因となることが多いです。健康な猫がすでに疥癬に感染している猫や動物と直接触れ合うことで、ヒゼンダニが移動して感染してしまいます。

また、完全室内飼いをしている家猫であっても、飼い主が外の猫や動物に触れてヒゼンダニを持ち帰ってしまうことで感染する危険があるので注意が必要です。

なお、他の動物に寄生するヒゼンダニが猫に寄生した場合、卵を産んで増えることはないものの赤みを伴う発疹が出ます。痒みから掻いてしまって細菌感染する可能性があることにも注意しましょう。

飼い主ができる予防策

駆除薬を投与される猫

疥癬を予防するためには、完全室内飼いを徹底して感染している猫や他の動物との接触を避けることや、飼い主自身も安易に野良猫と接触しないなどヒゼンダニを家の中に持ち込まないようにすることが大切です。

多頭飼いで感染した猫がいる場合は健康な猫と隔離して接触を避け、お世話をする際には予防着や手袋を着用しましょう。

感染した猫や動物と接触すると衣服にダニがついてしまうので、着用した服をすべて交換して、煮沸消毒もしくは50℃で10分間加熱をすると感染拡大防止の対策ができます。

そして、生活環境は清潔な状態を保つように心がけ、ヒゼンダニにも効果のあるタイプのノミやダニの駆虫薬を定期的に投与することで感染を防ぎましょう。

まとめ

診察される猫

猫が疥癬になると、アレルギー反応により激しい痒みが出るなど、とても辛い症状が引き起こされます。掻きむしって出血や化膿を伴うこともあり、皮膚へのダメージはもちろん、猫自身に多大なストレスも与えてしまう厄介な病気です。

完全室内飼いの猫でも、飼い主が持ち込んだヒゼンダニから感染してしまう危険もあるため、本記事で紹介した予防策を参考にして対策していきましょう。

感染初期には皮膚の異変が見られますので、いつもと少しでも違う点があると感じた場合は獣医師の診察を受けてください。

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