1.猫の足の構造

猫が立っている時に地面につけている足の部分は足の裏ではなく、指です。つまり、猫は常につま先立ちの状態で暮らしています。猫が足の裏を地面にべたっと接地するのは、座っている時だけです。
このような足の着き方(歩行様式)を、「指行性」と言います。猫の他には、犬、豚、カピバラ、鹿なども同じ様式です。ただし、鹿のように蹄のある動物の場合は、設置している部分が指先に当たる蹄の部分なので、蹄行性とも言います。
私たち人間のように足の裏(蹠)をべったりと地面につけるような歩行様式は、蹠行性と言います。霊長類や熊、パンダ、モルモット、ウサギ、カンガルーなどもこの様式になります。
足の着き方は異なりますが、猫の足も人間の足も、基本的な構造は同じです。ただし、蹠行性の動物は指の数が多くて器用に動かせるという特徴があるもののあまり速くは走れない、指行性の動物は指の数が少なく器用さがないものの速く走れるという違いがあります。
2.猫の歩き方

猫は、移動する速さによって、歩き方を変えます。また、獲物を狙う際にはネコ科動物だけに見られる独特な歩き方をします。ここでは、猫が見せる6種類の正常な歩き方をご紹介します。
ウォーク
猫の基本となる、普段の歩き方です。どんな時でも必ず2本以上の足が地面についているため、身体が宙に浮くことはありません。前進時には、約60%の体重を前足が支えて体を上に持ち上げ、後ろ足が前方へと押し出す力となっています。
猫の足跡を見ると、4本の足跡が一直線に並び、しかも後ろ足が前足の足跡と重なっています。これは、前足についている触毛によって安全を確認した場所を前足が踏み、後ろ足が同じ場所を辿るためです。この歩き方のお陰で、細かい飾り物が並んでいる棚の上でも、猫は飾りを落とすことなくスイスイと歩くことができます。
側対歩
ウォークよりもやや速い歩き方で、基本的には左右の同じ側の前足と後ろ足を連動して動かします。ただし、足を着地させるタイミングが微妙に変わってきます。
ペイシング
側対歩を速くした歩き方で、側対速歩とも呼ばれます。足の動かし方は側対歩と同じですが、動かすタイミングが同時になり、地面を蹴った後に身体が宙に浮くのが特徴です。
トロット
ペイシングよりもさらに速い歩き方で、速歩とも呼ばれます。ペイシングと同様に、地面を蹴った後に身体が一瞬宙に浮きますが、対角にある前足と後ろ足が同じタイミングで動くのが特徴です。
ギャロップ
猫が急いでいる時の歩き方(走り方)で、宙に浮いている時間が長くなり、前と後ろの左右の足が、それぞれ連動して動きます。
カエル飛びのように、後ろ足で地面を蹴った後に身体が宙に浮く走り方を、シングルサスペンション・ギャロップと言います。また跳び箱を飛ぶ時のように、後ろ足で地面を蹴った後と前足で地面を蹴った後のそれぞれで宙に浮く走り方を、ダブルサスペンション・ギャロップと言います。
ステルス歩行
足の関節を大きく曲げ、そのままの姿勢でゆっくりと、そろりそろりとにじり寄るように歩くのが、ステルス歩行です。狙いをつけた獲物に忍び寄る時の歩き方で、これはネコ科動物に特有の歩き方です。
獲物に飛び掛かる前にお尻を左右に振る動作を見せますが、これは地面が硬いことを確かめている動作だと言われています。
3.猫の歩行異常

正常な歩き方が6種類もあるため、愛猫の歩き方に違和感を感じた時に、「同じ側の足が同時に動いているのは異常?」などと混乱することがあるかもしれません。しかし、猫の歩き方に違和感を感じる場合、その原因には病気やケガが潜んでいることも多いため、普段の歩き方を把握しておくことをおすすめします。
猫の歩き方の異常性を確認する場合、下記に注目すると良いでしょう。
- 特定の足を引きずったり、持ち上げっぱなしにしていないか
- ふらついていないか
- 歩くスピードが異常なほど遅くないか
- 周囲の家具などにぶつかりながら歩いていないか
- 足の上げ方が高すぎたり低すぎたりしていないか
歩行異常の際に考えられる原因は、ケガ、関節炎、目の病気、耳の病気、熱中症、感染症、脳や神経系の病気などさまざまです。違和感を覚えた場合は、様子を見ようとせずに、できるだけ早く動物病院で診てもらうようにしましょう。
4.猫が音を立てずに歩ける理由

猫が音を立てずに歩ける理由には、肉球の存在と爪の構造の2つがあります。
猫が地面に設置させている指先には、肉球があります。肉球の内部は、蜂の巣のようなハニカム構造と厚い弾力性のある脂肪層を持っています。そのため、着地の際の衝撃を和らげたり、関節への負担を軽減し、音を立てずに移動できることにも役立っています。
また猫の爪は、犬の爪とは異なり、常に指の外に出たままではありません。リラックスしている時には指の間に隠されているため、歩行時に爪が地面に接することがありません。そのため、フローリングのような床の上を歩く時でさえ、音を立てることがありません。
まとめ

猫の足の構造や6種類もある正常な歩き方、異常歩行を見極める際の着目点、音を立てずに歩ける理由など、猫の「歩く」にまつわる話をご紹介してきました。猫好きな方には興味深い雑学でもあり、愛猫の異変を察知するためには知っておきたい基本とも言える知識です。
いざという時、獣医師にスムーズに説明できるよう、普段の歩き方をしっかりと観察しておきましょう。違和感のある歩行の様子を動画撮影することで、獣医師に説明しやすくなることも覚えておくと良いでしょう。